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2023/2/3 米雇用統計強すぎる

今週のFOMC・雇用統計がメインイベントだったが雇用はとんでもなく強い結果に。市場予想の3倍近くの雇用者数、ヒストリカルに低い失業者数、平均時給も予想を上回る結果に。

ドルは一気に買われ、金利も短期主導で上昇。株売り。多少上げても戻すだろうという声も多かったがここまで乖離すると果たして。。というところである。

先週末のFED番記者であるNICKのコメント通り労働市場がタイト化している懸念が実現した格好。

先週の経済データは失業保険申請件数の少なさといい、消費の強さといい、これまでのハト派織り込みとは逆行する方向(とはいえ流れを変えるほどのものではない)という結果が多かった様に思える。
それを打ち消すかの様なFOMCでのパウエルの「ディスインフレ」コメントであったが、利上げの頂が見えたかと思ったらまだまだ先があるかも知れないと懸念される内容である。


米国においては昨年初頭からサプライチェーンの逼迫やコストプッシュインフレに端を発したインフレ懸念が台頭し、その後それらは落ち着きを見せて今のもっぱらの話題はサービス部門のインフレというところである。
そもそもコロナにて需要が引っ込んだサービス部門がリオープニングにより息を吹き返してきたが、飲食店のサーバーを思い浮かべれば分かるように雇っても育てて、接客や料理のサーバをつつがなく出来るようになるまでは時間もかかる。そもそも給付金をがっぽりもらって働く意欲を失った人も少なからずいるという中では労働もなかなか戻ってきていない。ということか。そう言った中でなかなか穴埋めが進まないサービス部門の賃金が中々CPIを下げてくれないだろうという話はよく言われているところだが、労働市場の強さは依然として強く、これでは来年の利下げを織り込んでいるマーケットも不安が増してしまいそうだ。

次の利上げの話や来年利下げがあるかないか、という点はFEDの動向とマーケットがそれをどれだけ信用するか、すなわちFEDの信任。あとは実際のデータに尽きる為読みづらいところになっているが、
そもそも各国や人々がコロナで分断されたことによってもグローバルな規模でインフレを下支えするという声もある。
コロナ前のデフレがグローバル化(による効率化)の功績?であるとするなら、ニューノーマルには中々以前の状況には戻り切らない可能性もあるかも知れない。


先日のニック記者の記事では利上げが経済に波及するラグについても言及されていた。その「ラグ」がどうなのかは計り知れない。どちらかというと弱い数字が目立つような気もしていたが、FEDは昨年と比べて利上げのスピードを緩めることから、利上げの効果を確認する時間があるといったもの。

確かにサプライチェーン問題で吹き上がった財の価格が下がったとて、賃金がいつ戻るかは分からない。そういった意味での戻りを確認するまで、ということであれば、今市場が見立てている利下げも遠のいていく。

利上げの効果にはラグがあると言われているが、そのラグが長期間ならば昨年の利上げの効果は今年の初めに出てくるものであり、FEDはすぐには追加利上げはせずに、暫く高水準を維持するだろうという。
これはマーケットの大半がこの見方であるとされ、今年から来年にかけて利下げが行われるという見立て。長期の金利カーブがフラットになっていることもそれを示唆するとも言われている。

他方でラグが短かければ昨年の利上げは効果が既に出てきており、追加利上げを行い、高水準を維持するだろうとのこと。
一方で、ラグは短いという参加者もいる。経済は強靭であり、引き締めの効果は長続きしないという。

これをどう受け止められるか。

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