物語の書き始めは上手くいく…が。Ⅱ
昨日の続きということで、陽の目を見ない物語りのザックリとした内容PARTⅡです。
✱2✱
炎に飲まれる家に両親を残し、従者に連れられて一人他国へ逃げ延びた。
視界と脳裏に焼きついた両親の最後の姿。言葉。
何故自分たちは、死に追いやられなければならなかったのか。まさか、叔父に。
泣きくずれて意識をなくしてしまった娘が気づいた場所は、何処ともしれない湖の畔だった。
水面に浮かぶ自分の顔が、ユラユラとゆれて、とても気味が悪い。気分が悪くなる。 炎の渦に飲まれる我が家と、両親の姿が、脳裏に張り付き、何を見ても赤く見える。
ここがどこなのかもわからないが、どうやら生き延びたことだけはわかった。力の入らない足をどうにか立ち上げて振り返った時、何かとぶつかり、湖へ落ちかける。
娘はそれでいいと思い目をつぶったが、身体はフワリと抱き起こされた。
娘を抱き起こした少年は、自分のせいで落ちそうになったことを、娘の手を取ったまま詫たが、娘は何も反応がない。
表情のない、泣き腫らした目とやつれた頬。
少年は自分が馬を休ませている場所へ娘を連れて行った。 そこは森の入口付近で、馬は草を喰み、柔らかな風が草花を揺らしている穏やかな場所だった。
そこへ少年の従者らしき者がやって来て、娘の素性を気にする。 しかし娘は自分の素性を正直に話すわけにはいかなかった。 ここがまだ自分のいた国の近辺なら、いつ叔父がやってくるとも限らないからだ。
何も言えずまごついていると、少年は優しい笑顔で、魔物が住むこの森の近くに放っておくわけにはいかないと言って、娘を自分の馬に乗せ、従者の言う事に耳をかさず、歩き始めた。
娘が連れてこられたのは立派な屋敷で、すぐにどこかの貴族の城だとわかった。
屋敷の者たちは少年に言われた通り、娘の身支度を整え始めた。
真っ黒な長い髪に、真っ黒な瞳。赤い唇は紅をつけなくても赤い。肌の色は陶器のように白く艶やかで、鏡に写ったその姿は大変美しかった。
ただ一点。身につけていた瑠璃色の胸飾りは誰にも触れさせようとはせず、首にかかったままだった。
礼儀正しく、所作の優雅さは、娘の出自が貴族階級であることを物語っており、口を開かないことから、何かあって記憶をなくしているもしれないと、少年の両親は娘を離れに住まわせることにした。
少年は何かあってもなくても離れに顔を出し、話さない、笑わない娘のために、あれこれと話しかけたりプレゼントを用意したりするが、全く反応がない。
そんなある日のこと、娘付のメイドから、誰かが娘に会いに来ているようだと話を聞き、少年は離れに出向くと、姿を隠して娘に会いに来る者の姿を確認しようとした。
すると、それは…娘が誰にも触らせないという瑠璃色の胸飾りから、人が、現れた。
娘はその男と声を出して話をし、微笑む。
少年は自分が見ているものが何なのか、もっとよく見たくて、つい近寄ってしまった。
娘の相手はすぐに気づき、少年に軽く会釈をすると、娘を住まわせてもらっていることに感謝をのべ、挨拶が遅れた事を詫た。
娘も、男からの許しがないと、話もできなかったことを少年に詫びる。 そして男は少しづつ、娘の素性を話してきかせた。
男の話から、娘の国の惨状について、少年も話を聞いたことがあったことを思い出した。 しかし、焼けた屋敷からは両親と娘の遺体が見つかったと聞いていた。 まさか娘の遺体が作り物だったとは……。娘が身を隠すには、そうするしかなかったと、男は話した。 そして自分が今まで顔を出せなかったのは、国の様子を監視するためだったこと。 叔父が娘は両親と共に灰になったと信じていることの確認、それと、娘が二度と自国へは戻れないこと。 これらを確信し、娘の元へ戻ったということだった。
この話はすぐに少年の両親に伝えられることとなり、娘のこれからをどうするかの話し合いがされた。
少年の両親は娘がいなかったため、養子にしたいと言い出したが、娘はなかなか良い返事をすることはなかった。
そんな折、少年の住む国の国王の元へ、娘の叔父がやってくることになった。
娘たちがいなくなった国では、あっという間に国の財政が傾いたため、支援の申し出に来たと言うことだった。
支援のかわりに叔父が差し出すのは、叔父の娘だったが、国王はそれを拒否。 皇子には既に婚約者がいることを告げ、自分の娘を無理にでも皇子の妻にしようとする叔父に、あまりしつこいようだと支援の申し出も断ると言い放った。
この国の国王。 それは少年の父親であり、皇子は少年のことだった。 そして、婚約者と言ったのは、娘の事だった。
瑠璃色の宝石から出て、事のてん末を聞いていた男も驚いたが、娘もそれ以上に驚いた。 しかし、嘘も方便、本心ではないだろうと、娘と男は顔を突き合わせた。
だが、国王と皇子は本気だった。
娘は拒んだが、二人とお妃様も意見を曲げなかった。 どうして娘が拒むのか、その理由を知りたいと娘に話したが、口を閉ざしてしまい、離れにこもるようになった。
瑠璃色の宝石から出てきた男は、娘と話し、何故婚約者になれないかを話し出す……。
といった感じのお話を考えています。本当にアイデアを考えている段階がとても楽しい🎶
次回、できれば明日、3本目を披露したいなと思います。
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