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学生最後の労働日

1年以上続けていたバイトを、先月末で退職した。その日は本来シフトが入っていないんだけど、とあるスタッフが休みで代打として僕が入った。たったの2時間だけだったが、この場所で働く最後の2時間だと思うと、退勤時間が来てほしくないと思ってしまった。いつもは早く終われ終われと内心唱えているのに。

店内に入ると、パートのMさんと遭遇。
見た目はちょっとケバいけど、とても優しくてしっかり者で仕事ができて、店への愛着も人一倍強い、個人的に僕が一目置いていた人。普段の仕事ぶりから性格の良さや内面的な魅力が滲み出ていて、年齢が近くて独身であればもっとお近づきになりたかった(笑)

そのMさんにとりあえず「今日が最後です、お世話になりました」とご挨拶し、バックヤードへ。入るやいなやYさんに遭遇。
Yさんは僕がこの職場に最初に来た時の教育係の一人で、はっきりとした物言いで僕の間違いをいつも指摘してくれた。前の日もシフトが被っていたのだが、明日で最後なんですと言うと、名残惜しそうな顔は全く見せずに「あんたの一番直さないといけないのは・・・」といつもの毒舌ぶり。でも、こうやって指摘してくれる大人がいるのは有難いことなんだな。そう噛みしめながら聞いた。
この日は特に大した会話はせず、Yさんがシフト上がりの時に軽くご挨拶をした。「また店に来てね」と言って去っていた背中は、何となく寂しそうにも見えた。

タイムカードを押して、持ち場へ向かう。Iさんと交代だ。
Iさんは僕が今日で最後だということを知らなかったようで、驚いていた。パートさんの中で一番物静かなIさん。でも仕事を共にするうちに徐々に会話も増え、普通にいい人だと分かり、最近はちょっと仲良くなったかな~と勝手に思っていた。
僕が最後に店を出る時、店の前まで見送り?に来てくれて、最後まで別れを惜しんでくれた。そういえば初対面はドライな印象だったのを思うと、感慨深いものがあるよね。僕なりに職場の人間関係は築けていたのかな。笑

後から来た後輩のUくん。
学生スタッフの入れ替わりが激しい中、彼は僕が最初に来た時からいる数少ない若手のベテラン。今年まではまだいるらしい。頑張っておくれよ。彼には僕の使わなかったリングノートをプレゼントした。

この日も色んなお客さんが来た。

商品の場所を聞いて教えるが、なかったと言って戻ってくるお爺さん。
セルフレジに異物を入れてエラーを起こしたのに一切謝らないおばさん。
耳が不自由なのか筆談で接客し、最後には笑顔を見せて帰ったおじさん。
セルフレジの使い方が分からなくて隣の友達に聞いていた男子高校生。
etc.

面白かったな。
最後の1分まで飽きなかった。

お客さんの数だけドラマがある。人は見た目だけでは分からないことがたくさんある。このバイトで学んだ大切なことの一つだ。明らかに悪意のあるクレーマーを除いて、僕はどんなお客さんにも優しく丁寧に接することを心がけていた。それが店員として当たり前だと思って。幸いにも、ありがとうと言ってくれるお客さん、常識的なお客さんが非常に多くて、続けるモチベになった。そこは本当に感謝しなくちゃいけない。

上司は怖かったし、何度も何度も怒られたし、理不尽なこともあったけど、これでよかったと思う。社会勉強になったというか、社会人になる前にこういう経験ができてよかった。理不尽は当たり前で、仕事はできて当たり前。与えられた仕事を全うする責任感、柔軟に物事に向き合う対応力。上司に話しかけること一つを取っても、空気を読んで上手いタイミングで声を掛けるという難しさがある。まだまだ僕は未熟だけど、このバイトで本当に多くのことを勉強させてもらった。感謝するばかり。

ひとつだけ、個人的に物足りなかったのは「出会い」。バイト先で付き合うということに憧れがあった僕からすれば、ここはあまりそういう場としては相応しくなかったと思う。働きに来ているのであって恋愛にうつつを抜かすなんて!というお叱りはご尤もとして、でも実際バイト先で付き合っている大学生は世の中に五万といるだろう。だから僕は期待していた。

でも最初入った時にいた同年代ぐらいの女性はすぐに辞めてしまい、もう一人いた後輩の女の子はある時飛んでそれっきりである。最初は仕事を覚えるのに必死で、恋愛どころではない。そもそも気軽に雑談できるような空気でもない。仲良くなれるきっかけがないままに、途絶えてしまった。

因みに↑の後輩女子に関しては、ある時急に電話がかかってきて、謎の会話をした。後日シフトが被った時に会うと、どうも酔っ払っていたみたいで、それからちょっと彼女が気になっていたのだが、なかなかシフトが被らずいつ会えるんだろうと思っていたら飛んでた。あう。

その後も特に気になる女の子は入ってこず、たまに他店舗に行くとタイプの女の子が働いていたりして、その度に「この店舗にすればよかった」と後悔していた。飲食店や式場、コンサートホールに行くとかわいい女子ばかりでまた後悔。僕の人生こんなことだらけ。

もう一度大学一年生に戻れるなら、学生が多くて男女比率が偏っていないバイトを確実に選んでいただろう。新しく大学生になる君は、ぜひ参考にしてほしい。どんなバイトを選んでもそれは自分の成長に繋がるけど、どうせなら仲間が多い方が、出会いが多い方がいいよね

ま、とにかく約一年やり遂げた。
当初は卒業するまでの数ヶ月間だけのはずが、まさか一年延びるとは思ってなかったけどねw

他にやってきたバイトもそうだが、自分で投げ出して辞めたことはない。
何だかんだ不平不満を垂れつつも、最後までやり通した。自分を褒めたい。

店長にまだご挨拶できていないので、菓子折を持って今度訪問するつもり。一度退職した者はスタッフルームに立ち入りできない。次が正真正銘、最後の入室になると思うと寂しくなるなぁ。

何だかんだ愛着を持ってしまっている自分が可笑しい。

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