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ヘシオドス『神統記』から学ぶ

ヘシオドス『神統記』とは

ヘシオドスという紀元前700年頃の古代ギリシャの詩人の処女作で、カオスからの世界の創造、神々の系譜、ウーラノス、クロノス、ゼウスの三代にわたる政権交代劇を描き、ギリシャ神話の宇宙観の原型とされます。

『神統記』から何を学ぶのか

『神統記』では、最終的にゼウスが神々の王となりますが、タルタロスつまり奈落の巨大な空洞の中には、ゼウスとの闘いに敗れた巨人族(ティーターン)が、あるいはテューポーンなど荒ぶる力が閉じ込められているのです。我々の大地、ゼウスの秩序は不安定なのです。ヘシオドスは弟のペルセースとの苦々しい裁判沙汰で現実生活でははかばかしく達成されない正義について考えなければいけなかったのです。

民主主義やキリスト教の秩序がゼウスの秩序だとしましょう。そして、第二次世界大戦で敗れたファシズム、古代にキリスト教の勢力に敗れた多神教の諸宗教がティーターンやテューポーンなどであるとしましょう。やはり民主主義やキリスト教は不完全であり、一歩間違えればファシズムや多神教の諸宗教などの荒ぶる力が閉じ込められている蓋を開けてしまうのでしょう。みなさんは民主主義や、神の前に人は皆平等というキリスト教の秩序の下に眠るその荒ぶる力の存在を感じているでしょうか。21世紀はもしかすると秩序がその荒ぶる力に耐えられなくなり破綻する時代かもしれません。荒ぶる力の復讐が始まるかもしれません。もう、後戻りはできません。『神統記』に描かれている親殺しの罪を取り消すことはできません。復讐の女神たちエリーニュスは生まれてしまったのですからね。21世紀に生きる我々はその、荒ぶる力が復讐をしにくるという受け入れ難い事実を受け入れなければいけないのです。復讐を助けるか、ゼウスの秩序を守るかはみなさん次第です。

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