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#59 両手にトカレフ
どんな話なのか全く想像がつかなかったけれど、装丁に惹かれてずっと読みたかった念願の1冊。
すらすら読めました。
金子文子という実在する方の昔の虐待(日本の話)を主人公のミア(イギリスの少女)が読んで共感しながら、フミコの存在に助けられている印象を受けた。
イギリスでは家庭に階層があって、ミアのように団地に住んでいる低階層の人たちはシングルマザーの上に薬物中毒だったり、虐待をしたり、ネグレクトだったり様々な問題を抱えていることが分かった。性的虐待を代わる代わる母親のパートナーから受けていたり。
そのトラウマと言ったら想像しがたい。
そして貧困の中にいて、制服も買い換えられなかったり、毎日の食事に困っていることを知った。
そこまで困窮している人がイギリスにいるということを私は知らなかったし、知ろうともしなかったのかもしれない。
ミアのようなヤングケアラーは日本でも問題視されている。
ソーシャルワーカーに保護されることが彼女たちの幸せだと勝手に思っていたけれど、兄弟離れ離れになりたくないなどの思いが複雑に絡み合って、逃げるという選択になってしまう実態も知った。
この本を読んで自分の無知さを改めて突き付けられた。
リアルという言葉をミアの同級生のウィルが良く使っている。
彼は彼女を最初はラップをきっかけに知ったかもしれないが、調理実習でさりげなく助けたりしてくれている。(おそらく好意があるから?)
そして普通のクラスメイト男子、ウィルの存在はミアにとってとても大きかったに違いない。
普通に恋ができることも幸せなのかもしれない。
さまざま考えさせられたし知ることができたが、重すぎない話で自然とすらすら読める。
また読み返したいし、この著者の別の作品も読みたい。
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