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音を楽しむ

先週、私にとって2つの大きなサプライズがありました。

一つは、なにぬ猫さんが私の愛猫たちをモデルに描いてくださったこと。

それについてはこちらの記事に書きました。

なにぬ猫さん、改めてありがとうございました。

そしてもう一つ。
パピコクレさんが、私のハンネを素敵な絵詞に変えて下さいました。

私のハンネ「音・楽・帳・工・房」を表す素敵なイラスト。
そしてそこには、私の愛猫たちまで入っている♪

私も、こんな素敵な「音楽帳工房」になって、皆さんを楽しませるような音楽が作れるよう、精進したいです。

パピコクレさん、心より御礼申し上げます。

さて、私は絵心の方は全くありませんが、一応クリエーターのはしくれ。
音楽で、いろいろなものを表現することなら、ある程度はできます。
ある程度と言いましたのは、もともと音楽は抽象的なもので、説明を入れれば、「あ、なるほどね」と言われることもありますが、その説明自体、かなりこじ付け臭いものになるからです。
音楽でも、歌ものなら詞に意味内容がありますが、音楽自体には具体的なものはありません。明るいとか暗いとか、軽やかとか重苦しいとかいったイメージだけです。

絵はその点、抽象絵画もありますが、具体的なものが表現できます。
先日しっぽのしらべさんの子猫譲渡会でお会いした猫玉さんから、dot.さんの愛猫のドットちゃんを描かれた絵を見せて頂きました。
とても可愛いかった。
音楽では、それは不可能です。

ただ、音楽には、抽象的な表現を生かした別のやり方があります。
もちろん抽象的ですから、作曲者が説明しないと何がなんだかわかりませんが、私がよくやるのは、人の名前をメロディに変換する方法です。方法は幾つかありますが、機械的に変換しますので、名前がそのまま音楽になります。機械的な変換では心が入らないじゃないかと思われるでしょうが、違います。音楽は、基本的にメロディだけでできていますが、メロディは重ねたりずらしたり引っ張ったり圧縮したり、自在に変えられます。そこに作曲者の心が投影されます。それは、抽象的な「音」を使って作る音楽だからできることだと考えています。

音楽はメロディだけでできる? それはおかしい。音楽には三要素と呼ばれる「メロディ」「リズム」「ハーモニー」があるじゃないか。

ごもっともです。
ですが、それらは分離できない、いや、してはいけない、というのが私の作り方です。

でも、音程感の少ない打楽器にはメロディがない。リズムが独立しているじゃないか。

その通りだと思いますが、音程感が全くなくても、それはメロディと考えています。

それから、ハーモニーは、メロディが重なって生じるものです。メロディがないところにハーモニーは生じない。ただそれは、私の作り方、ポリシーからくるものですので、批判があることは承知しています。

話が、やや錯綜しましたので、戻します。
人の名前をメロディにする方法についてです。

以前、モーツァルトの自動作曲システムという記事で、アルファベットの並びを使って曲を作ることができるというお話をしました。

これは、モーツァルトが作った短いフレーズを、その並び順を変えることで、それぞれ違う音楽ができるというシステムです。

このほかに、全く違うシステムでメロディを作る方法があります。

モーリス・ラヴェルがその作品「ハイドンの名前によるメヌエット」で使った方法です。

その方法を説明しましょう。

音階にはAからGまでの名前が付いています。
日本語ではイロハニホヘトの7文字が使われることも多いですが、どちらもハ長調のラシドレミファソの一音一音に対応しています。

 ラ  シ   ド  レ   ミ  ファ   ソ     シ
 A  B  C   D   E   F   G     H

ドイツ式では、シはHと標記されますので、上の一覧ではHも入れてあります。

そうすると、この8文字だけでできている言葉なら、そのままメロディに変換できます。

バッハ(BACH)はそうやって自分の名前をメロディにして曲を作っています。ただ非常に短いメロディですから、モチーフというメロディの構成要素の形で使っています。

モーリス・ラヴェルは、この方法でハイドンをメロディにしました。

ハイドンの綴りはHAYDNです。このうちYとNは、ラシドレミファソのどれにも対応していません。

そこで、これを拡張した方法を使いました。

変換表は次のようになります。(等幅の字体でないと、ずれがあります)

ラ シ ド レ ミ ファ ソ
A B C D E F G
   H
 I  J  K L M N
O P Q R S T U
V W X Y Z

この変換表によって、ハイドン(HAYDN)は、

シラレレソ

になるんです。

このメロディを使ってラヴェルが作曲したのが、「ハイドンの名によるメヌエット
というピアノ曲です。この曲、ひょっとすると、mikepunchさんの朝の談話会(仮称)で、紹介されるかもしれません。^^

ただ、私が思うに、この変換表のIの位置が恣意的です。
なぜIを左端に寄せてにしたののか、わかりません。

実は、これはラヴェルが自分で作ったシステムではありません。

Wikipediaの説明を引用します。

『ハイドンの名によるメヌエット』(Menuet sur le nom d'Haydn)は、モーリス・ラヴェルが1909年に作曲したピアノ独奏曲である。

1909年はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン没後100年に当たるため、パリの月刊音楽雑誌「ルヴュ・ミュジカル・マンシュエル・SIM」(SIM = Société Internationale de Musique)は没後100周年記念号を企画し、6人の作曲家に「ハイドン」にちなんだピアノ曲を作曲するよう依頼した。その1人がラヴェルであり、他には次の5人が依頼に応じた。

クロード・ドビュッシー - 「ハイドンを讃えて」
ポール・デュカス - 「ハイドンの名による悲歌的前奏曲」
レイナルド・アーン - 「ハイドンの名による主題と変奏」
ヴァンサン・ダンディ - 「ハイドンの名によるメヌエット」 Op.65
シャルル=マリー・ヴィドール - 「ハイドンの名によるフーガ」


つまり、ある音楽雑誌の企画だったので、上の変換表も、特に深い意味もなく作られた可能性があります。

もし、上の変換表で、Iを左側に寄せますとこうなります。(等幅の字体でないと、ずれがあります)

ラ シ ド レ ミ ファ ソ
A B C D E F G
   H
I J K L M N O
P Q R S T U V
W X Y Z

これを使っていたら、ハイドンは

シラドレファ

になって、全然違う曲になったことでしょう。


さて、このメロディの作成システムですが、システムが大好きな理系ヲタクの音楽帳工房は、今年になってから、それを利用した作品も作っています。
これまで作ったものは、ある音楽サイトで一緒にコラボ活動した方々のハンネを使ったものだけですが、同じことをnoteでもやろうとたくらんでいます。^^

今のところ、考えているハンネは、いつも大変お世話になっているdot.さん、朝の談話室(仮称)で毎日のようにお付き合いのあるmikepunchさん、私の愛猫を描いて下さったなにぬ猫さんとパピコクレさんです。

名曲はできませんが、変な音楽ならできます。^^
そして、もし、もし気に入って頂けたら、そのタイトルにお名前を入れさせていただきます。(但し使用料は払いません^^;)


どんな曲ができるかは、ハンネの綴り次第ですが、先ほど書きましたように、その方のイメージが、たぶん何らかの形で反映されたものになるはずです。
でも音楽は抽象的ですから、多少イメージがずれても、言葉巧みに言い抜けします。^^

また、いつできるかは不確定です。

ですが、必ず作ります。

ということで、勝手ですがどうぞよろしくお願いいたします。

最後に、これまでどんな曲ができたのか、一つご紹介したいと思います。

つるじーさん(turug)という方(爺さんではありません。爺さんの私より2回り若い方です)のハンネを使わせて頂いて、いくつか作ったものの一つです。
ややジャジーな、ノスタルジックな雰囲気のクラシカルな曲になりまして、turugさんにも気に入って頂けました。

ご参考までに、って何の参考だかわかりませんが、よろしければお聴きください。

タイトルは、ノットゥルノ・ノスタルジカ
(Notturno Nostalgico per turug)
意味は「turugさんの名によるノスタルジックな夜想曲」といったところです。

ノットゥルノ・ノスタルジカ
曲:古い音楽帳(音楽帳工房)
制作:2020年5月





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