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デザインと好奇心は、国境を超えて旅をする

モダンデザインの源流がバウハウスにあるとするならば、デザインはその始まりから、多くの困難に立ち向かってきました。

1919年にドイツで設立されたバウハウスは2度の移転の末、1933年にはその短い活動を終えます。しかし、その後アメリカに渡った初代校長のウォルター・グロピウスや、建築家のミース・ファン・デル・ローエの活躍をはじめ、バウハウスの思想は世界中のデザインに影響を与え続けてきました。設立から100周年を記念した展覧会やイベントが、昨年から世界中で開催されているのもご存知の通りです。

いま、デザインを志すわたしたちの前にも多くの困難があります。移動の制限やオンラインへの移行により、延期・中止されたプロジェクトや展覧会の話も耳にしたり。その一方で、国や文化の違いを超えてデザイナーが交流するオンラインプラットフォームが次々に生まれているのも事実。

riceもベトナム・ホーチミンを拠点に活動するクリエイティブ・ファームとして、様々な活動に参加してきました。今日はそのなかから、オンラインで視聴いただけるプロジェクトを紹介します。

シンガポールから中継されるアジアのクリエーターの声

まずはシンガポールのデザインスタジオ Foreign Policy が立ち上げたインスタグラムのプラットフォーム @designdiplomacy から。

アジアのクリエーターを中心にインスタライブでの配信を重ね、今は卒業したばかりのデザインの学生が卒展作品を紹介する「The Grad Show & Tell」を配信しています。スタジオツアーからはじまることも多く、インドネシアのスコールや香港の路上といった環境、それぞれの国や地域のアクセントのある英語とあいまって、まるでアジアを旅しているような感覚をおぼえるチャネルです。

ここで配信されたクリエイティブ・ディレクター Joshuaのトークはriceのインスタグラムアカウント @thisis.rice からご覧いただけます。日本語訳は来週 noteで掲載予定です。


ロンドンのスタジオが伝える世界のクリエイティブシーン

次に紹介するのは、ロンドンのグラフィックデザイン事務所 ag office が立ち上げた@livetalkfrom について。

2020年3月〜5月の間に100本近くのインスタライブを配信してきたこのチャネルでは世界のデザインシーンで活躍するクリエイターが登場。グラフィックデザイナーの国際組織 Alliance Graphique Internationale のメンバーも多く参加していました。現時点ではIGTVなどでの再配信はされていませんが、スピーカーのアカウントで視聴できる場合もあるようですので、ぜひチェックしてみてください。

ここで配信されたクリエイティブ・ディレクター Joshuaのトークも、riceのインスタグラムアカウント @thisis.rice からご覧いただけます。日本語訳は8月末にnoteで掲載予定です。


世界の都市をめぐるソーシャルディスタンスの実験

最後に、モノクルマガジンやアクネスタジオの仕事で知られるクリエイティブディレクター David Michonと、クリエーターとプロジェクトをつなげるプラットフォームであるASK US FOR IDEASによって実現した「Where We Stand」というイニシアティブを紹介します。

ロンドン、パリ、ニューヨークに、シンガポールやホーチミン、シドニー他。世界各地から参加する15組のクリエイターやデザイナーが「距離をとる」という新しい都市生活のニーズと、その対応を探るプロジェクトです。

A Manifesto

わたしたちは、これまでも、ひとりぼっちだった
                         それはノーマルなこと
「ニューノーマル」という使われすぎた醜い言葉は
                    しかし核心をついたものでもある
これからはずっと、この言葉が、今日をあらわすものになるだろう
「わたしたちの新たなリアリティ」
もうひとつの醜い言葉
   今、そこから美をみつけよう
わたしたちが再び占拠することで
終わりの感覚を、現実にしよう
その終わりを、はじまりとして、この手に握りしめよう
     1
      2
       3
つながるために
新しくするために
変身させるために
わたしたちは空間を使うことを約束した
             わたしたちはいつだって、より良いものになる
                      より良くすることができる
閉じ込められることによって
いまだかつてないほどに、わたしたちは近づいたのではないだろうか
 (Remi Oshibanjoによる英語の原文はこちら

ロンドンの作家 Remi Oshibanjoによるマニフェストが象徴するように、そして上海を拠点に活動するキュレーターAric Chenが書き示すように、これは「個人の権利・欲求・責任」と「社会」の間にうまれる矛盾に挑戦するものです。

ロンドンのサッカー場やベルリンの空港、パリのポンピドゥーセンターにシンガポールの植物園など。各都市における公共空間が、新しいビジュアルシステムの実験場になっています。

ホーチミンの路地をとりあげた riceによるプロジェクトは、こちらから。日本語によるレポートも近日中にnoteで掲載予定です。

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移動が制限される日々にあっても、わたしたちは好奇心とデザインを諦めない。遠くの国で頑張るあなたに、この声が届くことを祈って。


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