★エクアドル★愛犬チワワの怪我と陽気な獣医の話
先日、愛犬チワワのランボーちゃんを旅行中に数日間、知人宅に預けた。離れているのが寂しくて、早く戻って会うのを楽しみにしていたけれど、思わぬ状況が待ち受けていた。
ランボーを預け先に迎えに行く直前、夫の携帯に「ランボーの首元が腫れていて、元気がない。」と連絡がはいった。家に戻ったランボーの首と顔は大きく腫れあがり、私の顔をみると一瞬目を見開くものの、元気はなく自分のベッドに顔をうずめて突っ伏してしまった。いつもなら一目散に飛びついてくるのに。夫は心配しつつも「獣医に連絡して、診てもらって。」と言い残し仕事に出かけた。
のんびり屋の獣医さんに連絡する
車を運転しない私は、送迎付きの「獣医兼トリミングサロン」を利用している。いつも、にこやかな若い獣医のディエゴ先生がお迎えに来る。ディエゴ先生は「何時にお迎えに行けばいいですか?」と聞くわりに、いつも遅刻する。最初30分遅れくらいだったけど、いつしか数時間遅れになり、この間は20時間遅れで来た。すぐに来てくれるか不安だったけど、ぐったりしたランボーをどこに連れて行けばいいかわからない。とりあえずディエゴ先生に連絡したら、その日は珍しく時間通りに来てくれた。
「コモエスタ~♪」といつもの陽気な感じで現れたディエゴ先生に、ランボーの腫れた首元を見せると、サッと顔色を変えて色々聞いてきた。でも何を言われているかわからない(私のスペイン語よ・・)。たまたま家政婦のマリセラさんがいて、「セニョーラ(私のこと)は昨晩遅く帰ってきたばかりで、詳細は分からない。犬はよその家に預けていた。」と説明してくれた。ディエゴ先生は、ぐったりしたランボーを車に乗せて、いそいそと病院に連れて行った。その30分後、なぜか仕事に出かけた夫から「今から帰ります。」と電話があった。
本気出してきたのんびり獣医
私とコミュニケーションがうまく取れないため、ディエゴ先生は、英語の話せる獣医仲間にお願いして、夫に電話をし、「奥さんがショックを受けるといけないので、あなたに電話をしたのですが、ランボー君は蛇に噛まれた可能性が高いです。もし毒蛇だった場合、死に至る可能性があります。いま全力を尽くしていますが、噛まれた状況がわからないので、間に合えばいいのですが。」と伝えてきたという。戻ってきた夫は、万が一の時に備えて早めに帰ってきた。「ランボーは大丈夫」と思いつつも、気がかりで旅の疲れもあるのに休めなかった。その日、ディエゴ先生のクリニックでランボーは点滴を打ちながら、血液検査の結果が出るまで経過観察されていた。
経過観察を終えたランボーは、ディエゴ先生に連れられて戻ってきた。相変わらずぐったりしている。「血液検査の結果、毒性のものは見つからなかった。だけど、何かに噛まれたことが原因で菌がはいり、体調不良の原因になっているので、引き続き様子を見るように。」と、ディエゴ先生は言い、傷口に塗る薬と消毒液をくれた。そして、「薬局で人間用の胃薬を買ってきて、指定の量をランボーに飲ませるように。」と、処方箋も渡してくれた。夫に「何に噛まれたのか状況がわからないので、心配だ。」とも言っていた。帰り際にディエゴ先生はグアヤキルの24時間診療ペットクリニックの英語が話せる獣医さんと自分の携帯番号を渡し、「何時でもいいので変わったことがあれば、すぐにこの電話番号に連絡してください!」と言ってくれた。
陽気で心優しい獣医さんに感謝
その翌日から1週間、毎朝ディエゴ先生はランボーの様子を見に家に寄ってくれた。「心底に気かけてくれてありがたい・・・。なんて心優しい先生だ。」と私にはもう感謝の気持ちしかなかった。おかげさまで3日後くらいから、首の腫れが原因で食べ物が呑み込めなかったランボーも、徐々に餌を食べられるようになり元気になった。元気になったのをみて、ディエゴ先生も本当に喜んでいた。ただ、噛まれてから1週間の間に、念のためにした血液検査の結果が1か月以上たった今も届かない。たぶん、ディエゴ先生は「ランビートはもう元気だから、血液検査の結果はもういいじゃん♪」と思っているのかもしれない。私も特に気にしていない。いま、ランボーは元気で飛び回っているから。
多分、犯人はネズミ
ディエゴ先生と夫は、ランボーを噛んだ犯人は「蝙蝠かそれとも蛇か?」と推察していたけれど、蝙蝠が小さなランボーの首元まで低空飛行して噛むとは思えないし、預け先も蛇など庭で一度も見たことがないと言っていた。ランボーを襲ったものの正体は、未だにわからないけれど、おそらく「ねずみ」だと思う。この間、預け先の家の前を散歩で通ったら、ずぶぬれの丸々と太った大きなネズミが排水溝から出てきて、大きな牙をむいて私を威嚇し、また排水溝の中に戻っていった。今回、ランボーは一命をとりとめたけれど、実際、犬を庭や公園で遊ばせているときに蛇に噛まれて死んでしまう犬猫もいるらしい。思ったよりペットフレンドリーなエクアドルで開放的になりかけたけれど、「我が仔の安全には気を配らないと」思った出来事だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?