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小説『砕け散るところを見せてあげる』

この前見た映画の原作
映画を観ると原作も読みたくなる

小説を読んで驚いたのが
映画と小説のギャップがほとんど無い
この小説自体が
軽い文体というのか、しゃべり言葉で書かれているので
映画をもう一度脳内で再生しているかのように読める

高校生の恋愛、というには過酷過ぎる話だが
映画の感想とほとんど同じ

清澄は
玻璃の一挙手一投足にどんな意味があるのか
視線一つ仕草一つにどんな想いがあるのか
いつも何を考えてどう過ごしてるのか
何が好きで何をしたら喜ぶのか
笑って欲しい
守りたい
いつもそう考えて行動している

清澄には
女の子の、彼にそんな風に思ってもらいたい
彼とこんな風に過ごしたい
が詰まってる

結婚して夫婦になったって同じだと思った
察して欲しいは甘えとか
察して欲しいは通じないと言うけれど
相手を好きならきっと相手をよく見て
相手のことを一生懸命考えると思う

どんなことを言ったら喜ぶか
今どんな気持ちでいるのか
何が辛いのか
何に困っているのか
どうしたら幸せだと思ってくれるか
どうしたら笑顔を見せてくれるか

相手を見てよく考えたら分かるはずのことが
たくさんある
女はどの世界でも割とそうやって生きている
表情や仕草、息遣い醸し出す雰囲気
相手の非言語的なサインをキャッチする

男性は本当にそういうものが見えないの?
見てたらある程度分かるは女の甘えなの?
いけない、つい話が逸れた

そんな純粋な恋愛が描かれるその奥に
巨大なUFOが迫る

清澄と玻璃の距離が近づくにつれて
大きくなる不穏な空気とその正体
2人には太刀打ちできそうもないその巨大さに
この先どうなるの?とハラハラする

小説の書き方自体が実はあまり好みではなかった
なんていうのかな
とろどころに笑いを取るような表現が多くて
ちょっとそれが気になる

でもそれは映画で実際の高校生達が繰り広げる日常生活の
どこにでも溢れている世界であって
映画で観ているとそこまで気にならないし
むしろ良いなぁとさえ思う

小説にも文字の表現ではあるけれど
かなり痛々しい場面がある
映画のそれと合わさって辛くなる

それでも純粋な愛と信じる力はすごいと思える話だった

個人的には尾崎姉妹が好き(○︎´艸`)

清澄の周りの人間たちがとても良い
もちろん田丸もね
あと清澄のお母さん、看護師っぽくて笑えた
それに救われる


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