天涯孤独(仮免)
昔、雨宮まみさんがブログで「信じがたい時間眠ってしまう」と書いていて、「ああ、良かった。そういうことがあるのって私だけじゃないんだ」と安心した記憶がある。
私は昔から平日は夜ふかしな女だが、休みになるととにかくひたすら眠っていた。ちょっと病的なくらいにベッドにいるのが私の長らくの心身の疲労回復法だ。特に、仕事のことやら何やらでストレスを抱えている時期は、全く起き上がれない。寝ている間だけしか、不安から解放されないから。
私の脳内は常に心配事で占められていて、嫌なシミュレーションがエンドレスで上映されている。眠っている時だけは、その不快から逃げられるのだから、眠りに逃げない方が不自然だ。強制的なシャットダウン。
しかし、ここ1年半くらいは、あんまり眠りに逃避した記憶がなかった。休みの日でも、とにかく外に出ていた。
母親と祖母の介護をしていたからだ。
土曜日に、めっきり認知症の進んだ母の手伝いに行けば、日曜日にしか施設に入ってもらった祖母の手伝いに行けない。つまり、土日は常に予定がある状態だった。
だから、ずっと寝ている暇なんて無かった。
しかし、先月父のあまりにも私の尊厳を軽視した言葉により、私は実家のアレコレから手を引いた。父からのメールは今も基本無視している。
私は友達も多くないし、しかも友達はみんな遠方に住んでいる。
仕事は対人援助職なので、平日は人に会いまくる代わりに、休日は誰にも会えなくなった。
結果、眠る時間が取り戻された。
なので、私は久々にとにかく眠る休日を過ごすようになった。
睡眠と同時に、読書と自炊の時間も取り戻しつつある。
今は久しぶりに一穂ミチ先生のBL小説『ワンダーリング』を読んで、ひとりで大盛り上がりしている。私はこの物語に出てくる超善良な超金持ちのスパダリ攻めと倫理観の欠如した気まぐれ我儘女王属性の受けが大好きなので、何度読んでも飽きない。
介護を放棄したら、正直な話、私は少し幸せになれた。
眠って、食べて、好きな本を読む。
私は私のために時間を使うことを忘れていたのだと、気づいた。
天涯孤独でも幸せに生きることを諦めないようにしようと、心に決めつつ最近は生きている。
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