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さあ、今日も真っ黒の服で、でかけようか

わたしは今日も、誰かの生き方の模倣であることを隠すために

真っ黒の服で街にでる。



instagramでインフルエンサーが来ていた

あのブランドの

あのデザインの

漆黒カラーをチョイスした。クローゼットの中の服たちは

ニヤニヤしながら揺れている。


この服に特に思い入れがあるわけではない。

ーこれを着ていた、あの人の生き方ー

を模倣したくて2万円を払ったのだ。

せめてもの抵抗に、流行りのカラーではなく漆黒を選んだ。

そこに私のダサさが溢れ出ている。

あの人に憧れてる私がバレるのが恥ずかしいのだ。

自意識過剰も甚だしいし、不必要プライドを持ち合わせているひねくれた奴だ。


着る人次第で、服にはいくらで価値をつけることができるのだろう。

みんな、自分の生き方をまとっているんだ。


すれ違う人の全員が、私のことなど見ていない。

それでも私は、今日も自分のダサさを身にまとって街にでるのだ。

そのダサさこそが、私の今であり、私の生き方なのだ。


真っ黒の自分が、わたしらしい。


表参道ヒルズのウィンドウを鏡がわりにブラウスの裾を直す。

さて、一服してから、歩き出そう。



ri_studio




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