思うこといろいろ
ちまちま四日もかけて書いたのに、
なんだか常にいらだち、頭の中がうるさくて、誰とも話したくなくて、でも出勤してしばらく業務に当たればべらべら話せた。
にしてもどうもむかむかする、と思った矢先に本当に胃や胸がむかむかしていた。一昨日と昨日は体調がげろげろで、昨日なんかは出勤して一時間で「もう帰りなよ」と上司から早退を提案されてしまう始末。
帰宅して、ひたすらひたすら眠り、まだむかむかしているのに晩ご飯はおかわりをして、夜もたっぷり眠ったら、むかむかは月が連れ去っていた。
近所の喫茶店のミックスサンド。息子のお気に入りメニュー。でも絶対食べきれなくて、おかんは日替わり定食+どでかミックスサンド半分をかっ食らうはめになるのだ。おいしいし夢みたいなサンドイッチだしで幸せぎゅうぎゅう、おかんみるみる肥える肥える。
よく健康診断の項目に「一年(十年だっけ?)以内に10kgの体重増減があったか」とある。
わたしゃーこの七ヶ月で9kg増えましたわよ\( )^0^( )/
もしあの項目が「一年以内」なら、あと五ヶ月でいちきろ守らなければ。いやいやいちきろくらい変わらんやろ、もうアウトやで、とかとか考える。アウトでもセーフでも、この急激な体重増加も体のバランスに関わってしまっているんじゃあ?
仕事の制服が、特にズボンがすんなり上がらなくなった。今までのMサイズを手放すときがきたのか……と思ったら。
「あの……今日、体重測定お願いしていいかしら」
入浴介助も終盤、脱衣所に戻りバスタオルで体を拭きながら、女性利用者が尋ねてきた。
「いいですよ。お体拭けたらどうぞ」
足元にデジタル体重計を置く。数ヵ月前まで、毎週決まった曜日に測定していた。本人希望で始めた記録は、「家で計るからいいや、面倒くさくなっちゃった」と本人希望ですぐ終わりを迎えた。
そろりと女性が乗る。最後にここで計った数値は、9kg増える前のわたしとほぼ同じだった。今回は、……!?
「や……痩せなきゃ!」
女性は目を丸くして、小さく震えた。
「最近、Mサイズの服が小さく……なった、気がして、Lサイズに買い換えた、ばかりで……」
こそっと体重計から降りてなお、つま先をぼんやり見つめて言葉を詰まらせる。
「せっかく……新しい服と出会ったんだもの。もうちょっと着たい、かもなぁ」
言い切ると、ふっと鼻で笑った。
「このままでいっかぁ!」
屈託のない笑顔だった。9kg増えたわたしとそう変わらない数値だったが、年齢的にもその増え方は気がかりだったが、女性は鼻歌まじりに着衣に取りかかる。
久しぶりに計ってあの数字なら、驚くよなぁ。わたしもそうだった。まずい! と凍りついた。でもそうか、新しい服かぁ。出会っちゃったんだなぁ、そりゃあ着るのが楽しみだよなぁ。
まだLサイズの制服ズボンとの出会いがないから、ぴょんぴょん飛び跳ねながら引き上げて履くことにした。誰が引き合わせてくれるんだろう、というのは言わないことにする。
陽気もよくなり、新しい生活を始めやすい季節。職場にも新規利用者さんがわっと増えた。
介助施設にて「ご新規さんが増える」というのは、その分だけ「枠が空いた」、つまり「利用できなくなった人が増えた」のだ。
デイサービスでいえば「自宅で暮らせなくなった」場合がほとんどだ。「他のデイサービスを利用するからこっちは辞める」という理由もたまにあるが。
自宅で暮らせなくなったとはまぁ、施設入所かいのちを果たしたか、とか、なるわけで。
もうこの記事に登場する方にも会えなくなった。せっかく入選作が本になっても、読んでもらう時間すらなかった。人生の最期に書ききりたいものがある、と話していたが、かなわなかった。
ひとってかんたんに、ふとした瞬間いなくなる。
楽な仕事じゃない、理不尽な要求もされる、こんがらがった困りごとをぶつけられてこっちも混乱する。それでも。
ひとの数だけある人生のゴール付近で、まだ新しい趣味や出会い、生きがいを提供できるなんて、思い出を増やす手助けができるって、すごいことじゃないか? そこからパワーをもらえるなんて、介護者の、だって介護職員って他人だよ、なのに残り長い人生に多くを刻んでしまうとは。いのちのふれあいって、見えないいのちを吹き込むよなぁ。なんて。思ってしまう。
現実的に考えて、文学フリマでの出店は、わたしには無理だ。当日にまたゾンビと化したら? それ以前にもよりの開催地が京都だろうけど、日曜日に一人でいっさいがっさい運び込み、設営して売って岐阜に帰って、夫は絶対仕事だろうに、子供はどうする? 次の日に支障は? 新幹線で行く? 車で行けるか?
本を作る意志は変わらない。出店先を別で考えてみた。となると売るジャンルも変わる。ので。とにかく書いて届けなければ。読めるうちに、読めるひとに。継続は力なり。
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