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#12「メイク」

 自慢じゃないが、昔からあまりお肌に困ったことがない。えへ。
 乾燥肌や濃ゆい髭、色黒などで悩んでいた友人たちを尻目に、なんらのスキンケアも必要とせず、今日まで概ね健やかな柔肌を維持してきた。

 Instagramのプロフィール欄にもある通り、ほっぺの柔らかさに関しては右に出るものはないというほどひとかたならぬ自信がある。小学校時代はこの頰に惚れ込んだクラスメイトが毎日触りにきていた時期があって、その鬱陶しさに困り果て、当時たぶん唯一友達のことを明確に嫌いになったほどだ(ちなみにそのクラスメイトは男子だし今は全然嫌いじゃないのでどうか安心して欲しい)。
 当時はもちろん、現在でもあの頃ほどじゃないが中々ハイクオリティなほっぺを持っていると自負している。白いしね。

 若干話が逸れた。ほっぺの話っていうとちょっと違うんだよなあ。今日はメイクの話をしたかったのだ。

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 以下、男性だ女性だと言う言い回しで話が進んでいくんだが、話を簡略化、または書きやすくするための便宜上の言い回しであります。個々によりジェンダー的にしっくりこない言い回しなんかもあるかもしれないが、あしからず今回は一旦マジョリティをベースとして書かせていただいた。

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 内定をもらった会社で、少しの間宿泊研修を受けていた時期があった。もちろん男女の宿泊は別だったが、朝になると宿舎の掃除で顔を合わせる。「おはよ〜」の次に「何時に起きた?」なんて言うと、女子たちは我々男子にはとても考えられないような時間に起きていたりして、いやあ、やっぱ女子って大変なんだなあ、なんて男子みんなで驚いていたりした。
 もちろん個人差はあるようだった。みんな別の人間だから、大枠でやるべきことは一緒でも当然そのやり方や内容にはわずかに違いがある。どこかの工程で人一倍時間を必要とする人、逆に速攻で終わらせてしまえる人、使う道具や場所やその順番が違う人などなどだ。
 それでもやはり我々よりはずっと早くに起き、身だしなみの整った状態で現れた女子を前に、寝癖も直さず満身創痍で米を食らう相部屋の仲間を見て、男って自分を含めつくづく愚かで幸せな生き物だなあと思わされた。

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2,401字

特に有益な情報はありませんが、読んだ方にとって普段目も向けないような他愛のないもの・ことに改めて触れるきっかけ、あるいは暇潰しになったら幸いだなと思っています。

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