#21「読書」
“もともと「書く」という行為は好きだ。大学時代なんかは「自分は活字と仲良くなることなど基本的にありえない」と踏ん反り返っていたが、よくよく記憶を紐解けば小学校の図書室の本は一冊返却すればまた一冊、絶えず読み続けていたクチじゃないか。『デルトラクエスト』『怪談レストラン』等の定番タイトルは言うまでもなく、小説やエッセイ、果ては分厚い上中下巻に分かれた『西遊記』をしっかり読了するなどし、貸出カードのハンコ欄を真っ赤にしている12歳の自分と目が合った。”
そして大人になった今、僕は書くことを、そして再び「読む」ことも始めた。
今日はここ最近の読書事情を、僕個人の備忘録的な意味合いも兼ねて。
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とりあえず今現在は、ということでしかないんだが、毎朝出かける前の30分と、毎晩寝る前の30分間を読書の時間ってことにしている。
もちろん日中にも読める時は読むんだが、なにせ日中の予定は状況次第で何かとブレるので確実に時間が取れているという意味では朝晩の時間に限る。そしていずれも強烈な睡魔に圧迫されている時間。スケジュール的な意味でも、取れる時間は30分が限界だ。
朝はどちらかというと勉強になる本を、夜は物語やエッセイを読むようにしている。一日二冊読み進めてるってことですね。これは脳のインプット機能が朝に最も優れており、時間が経つほど減退していって夜は振り返りや定着の時間とした方が適切なためだ。これもまた読書の中で得た知識である。
一般的な厚み(2〜300ページ程度)の本なら、一日30分ずつ読んでいけばものの一週間くらいで読了できてしまう。
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持論として(受け売りなのだが)、新書を次から次へと手に取るというより、既に持っている伝説の名著を何度も読み倒して自分のものにする方が有益と捉えている。
朝読むような本は割と今手元にあるものだけでも良い本が多く、なおかつそれらをまだ完全に自分のものにはできていないという自覚がある。そのため順繰りではあるが同じ本を何度も何度も繰り返し読んでいるのがここ1,2年の主なスタイルだ。以前このコラムでも結婚の話かなにかで紹介したかもしれないが、メグ・ジェイ著『人生は20代で決まる』なんかがその例だ。
夜読むような本についても、今まで集めた好きなアーティストやタレントのエッセイが多い。好きな人の人生というのは何度読み返しても楽しい。お気に入りのエッセイが一冊あるんだが、これは個人的に一番好きな人の著作なので名前を記載することは避けたい。好きな人に"自分だけのヒーローでいてほしい"と思う独占欲は誰にもお分かりいただけるものと信じたい。他で言えば、星野源のエッセイ全4冊『そして生活はつづく』『働く男』『蘇える変態』『いのちの車窓から』は全編読了している。他にも色々だ。
小説に関しては近頃はあまり読まないのだけど、いくつか好きな話がある。ドラマのノベライズ本や外伝小説、わずかだがライトノベルなんかも好きなものを集めた時期があり、その一部が今も書棚に鎮座している。変わり種としてはミュージシャン・黒木渚のオリジナル小説。基本的にミステリアス・ハード路線という印象だが唯一所持している『鉄塔おじさん』は親近感と奇異とシュールとアダルトが絶妙な分量で配合された、トータル的にはとてもマイルドな一冊だった。
あとは歌集ですね。俳句、短歌、詩歌の類は基本的にあまり得意としてこなかったのだが、こと現代短歌というジャンルは大好きで、そのノールール感(ルールはあるのだろうが)、万能感、意外性にはいつも新鮮なエキサイトをもらえる。
機会があるたびに紹介しているのは九螺ささら著『神様の住所』。現代短歌の如何なるかを知るには最良だと思う。さらに興味を持っていただけたなら萩原慎一郎著『滑走路』をおすすめしたい。
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