いつかの君

いつかの思い出を思い出して、涙する事があるのだろうか。

いつかの風景を思い出して、恋焦がれることがあるのだろうか。

誰かと一緒に行った場所を思い出して、懐かしむ

いつか交わした言葉を思い出して微笑む

いつか君が約束してくれた事を思い出して絶望する

君が見たであろう景色を見て涙する

君と歩いた街をもう一度1人で歩いてみる

笑った顔を思い出していつものように笑ってみせる

「ねぇ、いつものように話しかけてよ」

そしたら、いつものように返すから

思い出の一つひとつが懐かしい

懐かしさに潜む切なさが心地良い


揺れた心を取り戻すかのように再び漕いで行く


「私の世界は美しい」と言った君の夢は

いつも悍ましかった

絶望と失望の果てにある孤独を受け入れた

そんな君が僕の日常に入ってきた

僕と一緒でも孤独が付き纏う君はいつも上の空

それでも喜怒哀楽を見せてくれるのだから、とても嬉しい

君にとっての喜怒哀楽のエネルギーはどのくらいなんだ?

ふと思い浮かんだ事は僕の胸にしまっておくことにした

不粋な事は聞くべきではない


いつかの君が言った

「果てにあるのは大したものじゃない。
  自分が在るだけだ」

どこまで行っても自分だと。

君に、僕の感性は豊かだと褒められた事がある

私より優れた感性だと言った

感性が優れているかといって美しいわけではない

美しさについてここで述べるのはよそう

いつかの君は確かに美しかった

君の世界の権化だったのだろうか

これは僕が決める事ではないので、心に留めておいた


いつかの君へ。

君の日常はどうだった?



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