【読書記録】窪真澄「ふがいない僕は空を見た」より『ミクマリ』 ダメな主人公との接点は何処か

主人公の『おれ』は、このあたりに住むうすらぼんやりしたガキの典型的で健康的なセックスライフと違う世界で生きていると冒頭で高らかに宣言する。え、どいうこと?違う世界って?疑問符を持って進む読書が見るのは、金を貰って夫持ちの女に性を売る男子高校生の日常、それもコスプレで…。普通の読書には簡単に受け入れ難い主人公の造形だが、不思議と惹かれていくのは「おれ」の母親が自宅で助産婦をしておりその仕事を手伝う中で「おれ」の中に「女に過度にロマンチックな幻想を抱かず」「生でセックスすれば子供はできる」と言った現実世界とのリンクが確固としてあるからなのかもしれない。そしてその共感可能な現実世界と理解不能のエロなコスプレ不倫売春世界とのつなぎ目がD組の高校生松永さん、と言う気がしました。松永さんが世界を救ってくれる、そんな展開があればと思う。

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