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夫婦の終わり

離婚届の提出は、元妻に任せることにした。
相手の親御さんが大丈夫なのか気がかりだが、もうこれ以上は言わないことにした。最終的な結論は、私と元妻で出したのだ。
離婚届に必要事項を記入し押印した状態で元妻が持っていたので、後は適当に証人を立ててもらい、役所に持って行ってもらえば完了するはずだ。

その日、私は出社していた。
会社を出るときにLINEを確認したら、無事に離婚届が受理されたことを知った。

車通勤なのだが、帰りの運転中にスピッツの『ルキンフォー』が流れた。ちょうどその時の心境にぴったりの曲だったため、私は大泣きした。
思い出で散らかった部屋を元妻は出ていった。どこまでもつづくデコボコの道をずっと歩いていく。

涙で前が見えないドライブだった。

このまま進むのはとても危険なので、近くのコンビニの駐車場に入った。
目の前の景色が霞んでも、自分の意志でちゃんと車を操縦できるんだな。でも、制御できなくなる前に、ちょっと休む必要があるんだ。

まるで人生みたいだ。一度立ち止まって休むことも大事なんだろうな。


2年間の結婚生活を含めた6年間の付き合いの中で、元妻と言い合いをするような喧嘩というのはなかったと思う。馬事雑言を言ったこともなければ、言われたこともなかった。

夫婦というのは、どれだけ愛せるかというよりも、どれだけ許せるかが大切だと思う。
距離を置き、離婚を経て、私は元妻を許すことができた。

・結婚生活の中で、生活の負担が自分に偏っていたのが許せなかった。
・理想の将来が描けないのが許せなかった。

もっと話し合えば、話し合えないのならあきらめて許す心の広さを持っていれば、もしくはちゃんと喧嘩すればよかったのかなと思っている。

いや、最後は話し合えたか。

別れる理由として、モヤっとしているものはすべて解消した上で離婚した。円満離婚というやつだ。


気持ちを切り替えて次の人生を歩もうとしている元妻を羨ましく思う。
私も、いつまでも過去を悔やんではいられない。未来に向けて踏み出さなくては。

これも一つの経験か。
一人の女性と出会い、結婚し、離婚した。それだけのことだ。

まだまだ私の人生は終わらない。


2020年5月


*これは一年前の、別れ話が始まってから離婚に至るまでの日記です。
 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

*このnoteのはじまり



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