#102 違和感は無視できない

コロナが猛威をふるう中、病院実習(通称ポリクリ)がスタートした。
ところどころコロナの影響で縮小していたり、中止になっているが概ね予定通り行われている。

病院実習に出ると胸にstudent doctorと書いたカードを付け、ケーシーと呼ばれる真っ白い実習着を着ることになる。

座学の時とは異なり医療者と接する時間が増える。
専門用語や英語の横長な言葉が飛び交う中、僕らは突っ立って眺めているだけだ。

「いや〜座学より刺激があって楽しいね」

こう話す同期もいる。
バカにしているとか、見下しているとかそういう汚い心は一切なくそう言える人が少し羨ましく思う。

その同期にとっては、朝8時から始まるポリクリが有意義なものなのだろう。
平日の8時から17時まで有意義な時間を過ごせて満足できるなんて、なんて幸せなんだろうと思うのだ。

お気付きの人もいるでしょうが、僕はその反対だ。
残念なことに突っ立って見て、付いて回って色々説明されても正直楽しいとは思わないのだ。

もちろん出された課題や、疾患について勉強はする。
しかし、今の所僕にとっては有意義な時間ではない。

とある上級医の先生にこう言われた。

おかしいなと思っても、しがみついてやらないと医者として大成しない。
定時に帰りたがる医者にロクなのはいない。
研修医はresidentと書くけど、意味は「住む」ということ。
つまり若いうちは病院に住めということ。

頷く同期を尻目に、きっと僕は死んだ目をして先生を見つめていたと思う。

確かに勉強しなければいけないことは山のようにある。
医師になって7年目の先生は、国試受けた時の知識を10とするなら、今必要だなと思う知識量はその100倍あると言っていた。

だとしても僕は上級医の先生が話した上の言葉が正だとは思えないのだ。
これはきっと僕がポリクリを楽しいと思えていないのとも関係があるのだろう。

ポリクリが楽しいと思えている頷いていた同期は、きっと自分もresidentになっtら、病院に住む勢いで勉強しよう。と思ったはずだ。
彼は先生の発言に違和感はなかったと思うのだ。

僕はその先生の発言は身体には沁みてこなかった。
医療者を志すものとしては非常に残念なことなのかもしれない。

だからと言って、悲観的になるわけでも必要以上にネガティブになることもないのが僕の特徴である。

こんな気持ちの自分と対面した時の僕の気持ちは、

まあこんなものか。

くらいのもので、医師としての道が閉ざされたわけでもない。
むしろ他の選択肢にも目がいくようになり僕としては、このポリクリがいいきっかけになるのではとも思う。

あれほど目指していたところにきても、それで全てが決まるわけではないんだなあとしみじみです。


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