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その後の、イヤホンスパイラルが終わった話(泥沼の音質改善グッズ編)

 イヤホンスパイラルは終わっても、オーディオ沼から抜け出したとは言えない。ヘッドホン沼、ケーブル沼、DAC/アンプ沼…etc…財産と限度額を吸い取る罠は至る所に存在します。幸か不幸か、そうしたものにもいくらか散財を重ねて、現在は自分なりに納得できる環境が完成しています。もしかしたら沼に片足を突っ込んだ誰かの役にたつかもしれない、という期待を込めて、振り返ってみました。

音質改善グッズという泥沼

 物欲がまだまだあるのに、イヤホンもアンプもケーブルも揃ってしまった病者の堕ちる場所、音質改善グッズの沼です。

 イヤホンやケーブルにはまだ、使えなくても道具としての価値がそこそこあるので、気に入らなければ売るなりプレゼントするなりできた訳ですが、ここまで来ると、それすらままならない。音質改善するか、はたまたゴミかのヒリヒリするギャンブルショッピングです。玉石混交の、音質改善の旅をご紹介しましょう。

・【おすすめ】コトヴェール ノイズ・雷サージプロテクタ SFU-005-3C

 電源ラインのノイズを除去するアイテムです。壁コンセントから流入するノイズをカットするためオーディオ機器に使う派と、壁コンセントへのノイズ流出を防ぐためオーディオ以外の機器に繋ぐ派があるそうですが、私は前者です。自宅用で使用しているDACアンプ FiiO K7の電源に使用したところ、音が明瞭になる効果がありました。

 万が一、オーディオで効果を感じられなくてもPCやルーターに使うこともできますし、約1万円という価格も(オーディオ基準では)良心的なので、電源ノイズ対策を検討している方におすすめしやすいアイテムです。

・オーディオ用電源タップ

 コトヴェールの先には、プロケーブルの超越重鉄タップを使っています。このタップを追加したことによる音質変化は感じた事がありません。構造上、外来ノイズや振動に強い(分厚い金属製で、ものすごく重いので)という事は間違いないと思いますが、必要かどうかは価値観次第ですね。

 コンセントの口数とケーブルの長さ違いで価格が異なります。わたしは二個口の2mを購入しました。

 また、電源タップに水晶を詰めると音質向上するというオカルトをどこかで見て、ならばと購入しタップ内部にざらざらと流し込んでみたのですが、特に変化はありませんでした。

・GaN充電器とトリガーケーブル

 K7付属のACアダプタはでかくて邪魔なので、コンセント周りをスッキリさせたい、という目的が第一義で、ついでに音質向上したらなおいいなと思っていたのですが、音の変化はよくわかりませんでした。わたしが使用しているのは下記リンク先の組み合わせです。(ちなみに、K7で使うトリガーケーブルは12Vです。こうした製品は本体をぶっ壊す可能性があるため、スペックや標準付属のACアダプタの表示をよく見て購入しましょう)

・【おすすめ】FX-AUDIO Petit Susie&Petit Tank LE

 ACアダプター(トリガーケーブル)とK7本体の間に追加してノイズを除去するアイテムです。これは効果を感じましたね、音がクリアになります。音質改善系のハードウェアとしては破格の安さですし、これはいい買い物だったなと思っています。

 Petit TankとPetit Tank LEも併せて使ってみましたが、Petit Susie単体使用でも十分に効果があります。Tankは音に厚みが出るというか、パワーが増したような感じがしますね。Susie2連とかTank2連も試しましたが、使いすぎは禁物のようです。現在は、Susie+Petit Tank LEの組み合わせで使っています。ただし、K7の電源コネクタと径と長さが微妙に異なるようで、奥まで刺さらずガタつきがあり抜けやすいです。そのため私は別途、絶縁ワッシャーを入れてガタつきを抑えるようにしています。(抜けやすいのは変わりませんが…)

・【おすすめ】仮想アース(KOJO Crystal Ep・オーディオみじんこ SILVER HARMONIZER AC&ET)

 私の環境では、音がよりクリアになり、出力される情報量も増加したように感じました。K7だけではなく、NW-A306やBTR7に刺しても実感できる効果がありましたので、結構ハマったアイテムです。想像ですが、私の環境がポータブルだったり省スペースなものばかりなので、表面積の大きい金属(シャーシ)を模したかのような、電位の安定が云々かんぬん…という効果が大きかったのではと思いました。

 個人的には、音質改善グッズの類では唯一まだ買い足してもいいと思うくらい好きなのですが、環境によって変化を実感できるかは異なるうえ、なにげに高価なので人には勧めづらいアイテムでもあります。なお、リアルアースとは別物だと考えているので、仮想アースと併用しています。

 KOJO製とオーディオみじんこ製の2種類を併用していますが、音の違いは特に感じませんでした。どちらも高域が拡張されたかのように情報量が増加した印象を受けます。それによって低域が痩せたりはしませんが、環境によっては、相対的に印象が薄くなる感じがするかもしれません。

 KOJO製のCrystal Epは、価格は高いですが、前面のプラグ部分を取り替えたり、背面のキャップを取り外して連結させることもできます。そのため、将来的にオーディオ環境が変化しても対応しやすい製品と言えます。実際、私は上記リンクの2製品を購入した後、3.5mmプラグ版の方をRCAプラグに変更するため、プラグ部分のみ追加購入しました。

・【おすすめ】Riskyさん製 カタパルトケーブル

 私の環境に限った話かもしれませんが、仮想アースでややハイ上がりになったバランスの偏りは、Riskyさん(@Risky0516)制作のカタパルトケーブルを使用する事で、修正する事ができました。

 少し話は逸れますが、有線イヤホンを使う利点と楽しさは、DACやアンプ、ケーブルやアクセサリー等を組み合わせて理想の環境を構築できる、ある種のDIY要素にあると思います。オーディオみじんこさんや、Riskyさんのような個人クリエイターの製品も素晴らしく、同人文化的な魅力がある製品を試すのもとても楽しいです。

 こうしたDIYが沼と言われる所以は、善し悪しの判断が聴感に寄らざるを得ないためです。プラセボに過ぎないことを「音質が激変!」などと叫んでいるとか、余裕でありまくりの恐ろしい世界です。

 イヤホンにもアクセサリーにも言える事ですが、長期に渡って多くの人に支持されている、定評のある製品を買うのが最も安全です。仮想アースやカタパルトケーブルには音質改善の効果がある、と私がここに記すことで作者さんに貢献出来たらいいなと思っています。

・オーディオ用のアースケーブル(KOJO Clone1,2)

 よくある緑色のアースケーブルと、オーディオ用のケーブルに有意な音質差はあるか?まぁ無いだろうとは思っていたのですが、効果は実感できませんでした。

 アーシングそのものは我が家では良い結果が出ていると感じています。オーディオグレードのものでなければ安い投資なので、アース付きのオーディオ機器があったら、試しに壁アースに繋いでみると良いと思います。そこに高価なケーブルを用いるかどうかは、価値観によりますね。たしかに、冷蔵庫や洗濯機の後ろから出てるような緑色のアースケーブルをオーディオに繋ぐというのは格好悪い気がしますが、それだけの違いのような気もします。

・ケーブルインシュレーター(KRYNA Helca2)

 コトヴェールのケーブルと、カタパルトケーブルに取り付けています。どちらも、装着後は音の明瞭度がほんの少し上がった感じがしました。ごくごく僅かな変化なのでコスパは悪いですが、これを取り付けたケーブルの見た目がいかつくて気に入ってます。自分が感じたような効果が人にもあるかどうかは分からないので、積極的に人に勧めるものではないな、と思ってはいますが私はこれを4本持っています(笑)

・ノイズイジェクター(AET EVO-NE0510NI)

 空いているRCA端子に取り付けると、「電気ノイズを大幅に低減する帯電防止素材から空中に放電を行い音質アップ」する等と謳っている製品ですが、これに効果を感じたことは全くありません。環境によって効果に差があるのだと思いますが、少なくとも私の環境では無意味なアクセサリーだと判断し、現在は使用していません。

・パルシャット(NRF-005T)とセンダスト合金(MWAシリーズ)

 オヤイデが販売しているノイズ除去のテープですね。ノイズが気になる場所にペタッと貼る訳ですが、問題はその場所がどこだかさっぱりわからない事です。完成品のオーディオに外側から貼って効果を実感できるかは貼ってみてのお楽しみ、全く変化を感じない事もあり得ます。

 パルシャットは実感できるような効果はなかったですね。音質に影響を与えない事が売りなので、除去すべきノイズが無かったということの現れだとしたら、正しい結果のような気もします。唯一、イヤホンケーブルのプラグを回して外せる製品があったので、内部に貼ってみたときは効果を感じました。やはり自作ユーザーが基盤のノイズ元に貼るとか、そういう使い方をするものなんじゃないですかね。

 センダスト合金の方は、貼る場所と量によって、明確に音が悪くなる事があり、使い所を選ぶ感じがしました。貼りすぎると高域が曇った感じ、全体的にスカッとせずぼやけた感じになるのですが、そうした変化があるという事はインチキな商品ではなく、使いどころに対して適切な量を用いればイイ効果が得られる事があるかもしれない、という気がします。

 この使いどころが難しいセンダスト合金、スマホの裏側に貼ると効果を感じました。トランスポーターとして使用していたXperia AceⅢの背面に貼った際、多少音がクリアになった印象を受けました。

 NW-A306は流石ウォークマン、貼っても変化を感じませんでした。AK PA10も同じく、パルシャット併用で本体を覆うくらい貼ってもほぼ変化なしでしたね。ちなみに、PA10はUSB-C端子から仮想アースにつないでみても、ごくごく僅かに変わったか?という程度の変化しかなかったので、音質改善グッズが入り込む余地のない、完成度の高い製品でした。

 巻いてあるテープの製品とシートタイプの2製品(シートの方はサイズのバリエーションもあります)があります。テープの方は薄く、シートの方は分厚いです。ケーブルに巻くならテープですし、何らかの筐体にベタっと貼るならシートの方が使いやすいと思います。

 パルシャットとセンダスト合金(MWAシリーズ)との違いについては、パルシャット販売開始時のオヤイデ公式ブログで説明されています。どちらかを買ってみたいけど、どう選べばわからないという場合には参考になると思いますのでリンクを貼っておきます。

・家中のケーブルにフェライトコアをつける

 つけましたが、そもそも電気に無知な素人が良かれと思ってやったことって、だいたい余計だったりするものです。コスパがいいように思えて、ケーブルの太さに合わせて何種類も買いましたので、思ったより散財した気がします。
ONUとWi-FiルータのACアダプターにつけるとネットが早くなりましたね。通信速度みたいに数値で分かるなら沼らなくていいんですけど、それが分からないからオーディオってやつは困るんですよ。

その他に試した対策

・電球を交換する

 LED電球はスイッチングノイズが云々かんぬん…という話を見かけたため、居室の照明を白熱電球に交換しました。Wi-Fi内蔵のスマートLED電球など、電波を出しながらLEDでもあるということで最悪だと思い、便利ではあるけど音の方が大切なので取り替えました。まぁ…音質改善の効果はよくわかりませんでした。光源として白熱電球の色味は好きですね。

・アンプの熱対策

 AK PA10とK7を重ねて使った時に、かなり熱かったので対策をしていました。熱はノイズを発生させたり製品の寿命を縮めたりするだろうとの考えから、双方にヒートシンクをつけていました。現在、PA10は手放し、K7単独で使っているので特に必要はないのですが、よく冷えた方が安心できる気がしてK7には現在も付けたまま使用しています。

・【超おすすめ】不要な家電(特に電波を発するもの)の電源を抜く

 音質改善グッズではないのですが、コトヴェールや仮想アースに匹敵する効果があったので書いておきます。これが効くかどうかは環境によると思いますが、我が家では絶大な効果がありました。

 なにせ半径数メートル以内の範囲にスマートスピーカー6個と5Gのフェムトセルがありましたので、電源ラインのノイズも無線に起因するノイズも相当あったのではないかと思います。
使用する家電のみコンセントを差す、使用するデバイスのみWi-FiをONにする。電気代の節約になりますし、ネットも高速になります。なんとなく思いついてこれを試したときは、音が良くなるわネットが爆速になるわでひっくり返りました。ガジェット好きの方には是非チェックしてもらいたいポイントですね。

 空きコンセントにはオヤイデの電磁波吸収コンセントキャップ(MWA-EC)をつけています。効果のほどはよく分かりませんが、この製品は厚手のセンダスト合金なので、そこそこ信用して使っています。

・アルミホイル

 音質改善グッズを買いすぎてお金が無くなってきた頃、ふと思いつきました。ケーブルとか電源タップとか、アルミホイルでぐるぐる巻きにしたらノイズ対策できるのではないか?さらには、巻いたホイルにアースをとれば万全だろうと、思いつく限りいろいろ巻いてみましたが、オーディオ用のケーブルやらなんやかやで備えてきたのに、こんなもので音が変わるようでは逆に困る訳で、実際効果はありませんでした。100均のアルミホイルを2箱使ったあたりで「何をやっているのだろう…」と感じて、貧乏くさい気分でいっぱいでした。

面倒くさくなりました

 あるとき、仮想アースに繋がっているRCA端子がすっぽ抜けていることに気が付きました。
幸いなことに、端子を差すと「あぁ、この音だった」と思える変化がありましたのでよかったのですが、すっぽ抜けたままの音でも何も疑問を感じていなかった自分に笑ってしまいました。

 そこからいろんなアクセサリーを着脱してみて、あってもなくても変わらないものなら、むしろつけない方が良いという方針に切り替えました。それまでは、合体ロボさながらに購入したもの全てを装着しては満足していたのですが、あれは完全に自己満足、モノを買った高揚感がプラセボとして聴感に影響した結果だったと思います。

 世にある大抵の音質改善グッズは、だいたい何かしら音の変化はあると思います。(アドパワーソニックはただの小さいシールでしたが)
購入して、わくわくした気持ちでセッティングして音の変化を実感した時って、音が良くなったと思いやすいんですね。さらに、時間が経ってそのアクセサリーを外してみるとまた音が変わるわけで、なくてもよかったと思いやすいのも、またオーディオあるあるです。まさに沼ですね。

・聴感による音質評価について

 イヤホンでもアンプでもなんでもそうですけど、オーディオのレビューは感情的な意味での減価償却が済んでいない評価なんて当てにならないです。購入の高揚感が冷めきった後も、自分のオーディオに欠かせないアイテムとして使い続けているかどうか、壊れても買い直したいと思うほど必要なのかどうか、そういう事が重要なんだと思います。上述したアイテムの数々は全て、その感情的な減価償却が済んでいるものばかりです。何か(何だろう…)のご参考になれば幸いです。

☆その他のオーディオ・ガジェット系記事について

 こちらのリストで、オーディオやガジェット、Amazonのおすすめ商品(アフェリエイト)を発信しています。フォローしていただくと、イヤホンスパイラルが終わったなどと宣言しておきながら、結局アンタは買い物依存なんだね!とか、アンタだって「コスパ最高!」とか言うてるやん!いうことが、よくわかると思います。(実際、冒頭の購入品リストはときどき機種が増えたり★を消したりしています…)

それではみなさま、よいポタオデを。

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