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#207 何と戦っているんですか?

 道ゆく人に聞いてみたい。「何と戦っているんですか?」「それはなぜですか?」「それにあなたは喜びを感じるのですか?」などと、ウッザいことを聞いてまわりたい。もちろんそれは迷惑行為だし、コミュ障のわたしにはネタでもできない。

 「は?別に何かと戦ってるとか、無いんだけど?」と仰るあなた。では、何故ギュウギュウ詰めの電車に乗ってまで、会社に急ぐのですか?到着が遅れたら、部隊が全滅したりするのでしょうか?

 ゴールデンウィークに渋滞と行列を味わいに行く皆様、何と戦っているんですか?紛争地隊から逃げるのですか?食料の配給待ちですか?ミッキーに会わないと死んだりするのでしょうか?

 XやInstagramやTikTokの皆様、何と戦っているんですか?映えたりバズったりしなければスマホが爆発したりするのですか?

 なんか、どうでもよくないですか?5月病で会社を辞めてもいいし、就活したくなければしなくていいし。

 もともと、あなたのことには誰も注目していないし、やってはいけないと思っていることの大半が、やったところで秒で忘れ去られる出来事なんですよ。

 電車の人身事故ってしょっちゅうあるでしょ?あれに心を痛ませている人がどれだけいます?その死に方を選ぶというのは相当ですよ?そういう時のよくある台詞…「死ぬなら人に迷惑かけずに死ねよ!ったく!」と言うあなた!何と戦っているんですか?

 現代社会は人間のエネルギーを浪費しています。それも、ゴマから油を搾り取るが如く勢いで、ギリギリと締め付けています。

 まずは労働による拘束、これで週5日を支配する。そして、週2日の休日は、蓄積した疲労の回復と、労働(つまらないこと)の代償としての、レジャーや買い物に費やされる。年に数回ある大型連休は、その代償的行動をより大きなスケールで行わせるために存在する。夏のボーナスをアテにしてクレジットカードを気前よく使ったら、それを支払うために、労働による拘束はより一層強くなる。

 昔ながらのサラリーマン文化には、「マイホームを購入したら、遠方に転勤させる」というものがありました。住宅ローンを抱えている者は、そう簡単には辞めないからです。

 対象者にはだいたい配偶者がいて、子供がいるケースも当然多い。ほとんどの場合、単身赴任を選ぶことになります。実は、わたしの所属する会社には、まだこの文化が残っています。(リモートワークの定着で減ったのかな?知らんけど…)弊社に問いたい、何と戦っているんですか?

 「もう5月かぁ…」と、時の流れが早いことに絶望的な感覚を抱く人もいることでしょう。でも、季節が進もうがどうでも良くないですか?あなたそれ止められますか?無理でしょ。

 きっと、たぶん、わたし達はもっとスローに生きていいんです。タイパなんかどうでもいいんですよ。好きなことを、必要なだけやって、あとは食べて寝ていればいいんです。戦わなくてもいいんです。大丈夫です。わたしもあなたも、人類史にその名は残りません。

 ところで、わたし達は何故、無益なシャドーボクシングを強いられるのでしょうか?それはきっと、指標が間違っているんですね。

 GDPは地球環境を考慮していません。森を切り倒して木材として売ればGDPは上がりますが、森が持っていた生態系サービスは失われます。そして、GDPは人々の幸福とは基本的に関係がありません。名目GDPでも、実質GDPでも、一人あたりGDPでも同じです。「人々が幸福で喜びに満ちた暮らしを送れているか」ということは、この指標では測れません。

1934年に経済学者のサイモン・クズネッツが発案したGDPは、「一定期間内に国内で産み出された物やサービスの付加価値の合計」と定義されるが、戦時中に政府が戦車の購入費を捻出するために導入された経済指標だった。それゆえ、そもそも社会福祉の指標として使われることは意図されていない。

上記、WIREDの記事より引用

 戦時において、どれだけの生産力(継戦能力)があるかを調べるための指標ですから、人々の幸福と無関係であることは仕方がないのです。そのため、新たな指標が必要だということになるのは、当然のことだと思われます。

 しかし、相変わらずGDPが尊ばれるのには理由があります。ちなみに、ここから先のお話は完全なる私見、妄想です。

 世界はたぶん、まだ戦争をしています。世界大戦が終わっていないのです。わたし達は便宜上、世界大戦を第1次(WW1)、第2次(WW2)と分けて呼びますが、これは「帝国主義の戦争」として、一連の戦争だと捉えた方が良いのではないかと考えています。

 その後の、米ソ冷戦と数々の代理戦争、そして宇宙開発。それらに敗れたソ連は、プーチン体制ロシアとして復活した今、ウクライナへ侵攻し、かつての領土を取り返しに来ています。

 中国の急速な軍備増強と、北朝鮮の核開発による東アジア情勢の不安定化は、米国による日本・韓国の対共産主義国家の防衛線化による反応であり、やはり戦争が続いているのです。実際、朝鮮戦争は終結していません。

 現在の中東情勢も、ナチス・ドイツ崩壊後のユダヤ人の処遇(イスラエル建国の承認)に端を発するものだと言うこともできます。つまりこちらも、世界大戦の継続だということです。

 話を戻します。「だからいまだにGDP」なのではないでしょうか?なんとなく、雰囲気でGDPを豊かさの指標にしちゃってるなー、という話ではなくて、きっとまだ戦争中なんですよ。世界は。

…ところで、何と戦っているんですか?
 
 
 
続編記事を書きました。有料設定していますが、最後まで無料でお読みいただけます。

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