「他人が悪い」と考える傾向の人間と、「自分が悪い」と考える傾向の人との比較・成長能力の差について

日本人は基本的に何かあった時には「自分が悪い」と思う自責傾向がある人の方が多いです
しかし、最近の若年層や中高年層には何に関しても「他人が悪い」と思う他責傾向の人が増えているように感じます

最近丁度、日本人の中では数が少ない他責傾向の強い人と関わる機会があったので、その人をサンプルに心理的分析を加えてみようと思います


【何でも自責することは、悪いことだけではない】

まず先に、何でも「自分が悪い」と思う傾向が強い人の特徴としては

・「ごめんなさい」と「ありがとう」が言える人が多い →コミュニケーションが円滑化
自分が悪いと思う傾向の方は、自分が悪いと思ったら謝罪ができる人が多いです。
「ごめんなさい」ということと、「ありがとう」ということが言えることは、コミュニケーションの基本として、人間関係がこじれても改善し、人間関係を再構築することができることが多いです
(詳細は「どんな人間関係であっても「ありがとう」と「ごめんなさい」が大切」参照)
私個人として、彼氏彼女などの親密な関係や、友人関係でトラブルが起こった際には、話し合うだけちゃんと話し合った後に、どれだけ自分だけが悪くないと思っていても、一緒に「ごめんなさい」ということをお勧めしています。
そうすると、「ごめんなさい」と100%思っていなくても、相手に「ごめんなさい」と言われたことで、心のわだかまりがかなり落ち着きます。
そして人間関係トラブルというのは、どちらかが100%悪いなんてことはあり得ません
後で冷静になってみれば、自分ここが悪かったな、なんて気づくこともあるかと思います
そういう意味でも、気持ちが高ぶっている段階で、同時「ごめんなさい」はかなり効きますのでオススメです。

・自責のあまりストレスを溜めやすく、メンタルの病にかかりやすい
日本人は10人に1人がうつ病もしくは、うつ傾向にあると言われます。その所以はやはり自責傾向の人が多いからなのでしょう
その点については、まず認知療法などで、他人から何か指摘されたり怒られたりした際に「自分の存在自体が否定されたような気分になる」というような、マイナス思考や歪んだ認知を改善することで、だいぶ緩和されると考えます
更に、日本人がディベートが苦手な最大の理由はココだと考えます。
違う考えの人がいると「自分が否定されたような気分になる」
この認知のゆがみを矯正し、違う考えがあってもその人も正しい、自分の意見も正しいと両方の意見が尊重できるようになれば、更にディスカッションが活発化し、より良いアイデアなどが出てくると思うのです
また自責的思考の人は、自分が悪いと思いがちなので必要以上に我慢しやすいのもまた、メンタルの病にかかりやすい一因と考えます

・「自分が悪い」と反省することができるので、人としての成長するチャンスが増える
「自分が悪い」という気持ちの強弱にもよりますが、自分が悪いと思ったら、じゃあどうしたら良かったか、次同じ状況になったらどうしよう等、自分の弱点を知り、また改善するチャンスが生まれます
それは他人との相談の過程で、他人の客観的視点からのアドバイスでの気づきなどがきっかけになるかもしれませんし、自分で分析して考えている過程で気づくこともあるでしょう
これがとても重要です。人として成熟できるか否かはこの自己反省と改善が大きなキーポイントと考えます
小さな一歩であっても、自己反省と改善を繰り返していくことで、より器の大きな「自分が理想とする自分」になれると考えます


【他責傾向の人の特徴】

簡単に言えば、上述した自責傾向の人と反対のことが起こると考えます

・「ごめんなさい」と「ありがとう」が言えない
そもそも他責傾向の人というのは、自分が悪いと思っていないので、「ごめんなさい」が言えません。そのため、トラブルが生じた時に、一言「ごめんね、だけど自分はこう考えていて~」というような、言い訳の前のワンクッション入れるためだけの「ごめん」すら言えない為、相手の感情を逆なでしトラブルが更にひどくなる傾向が強くなると考えます
上述した同時ごめんなさいも拒否されると思います
そして、「自分は悪くない、他人が悪い」と思っている為、他人を責める割には自分に対しての反省が見られない為、一度人間関係でトラブルが発生すると、話し合い等で前向きで建設的な人間関係の再構築ということができない人が多いと考えます
人間関係の再構築というのは、感情を完璧に制御ができない人間にとっては、とても理性と忍耐と相手への思いやりが必要なことです
例え自分が相手をどれだけ傷つけていようとも、例え相手をメンタルの病に追いやったとしても「自分は悪くない」と考える為、そのような理性的な行動は極端に難しい様子であると考察しました

・人間関係のトラブルから逃げる→人間としての成長、他人とのコミュニケーション能力が低くなる
自分が悪いと思っていない傾向が強い為、人間関係でトラブルになると、ただ「面倒くさい」「自分が傷つくのが嫌だ」という風な自分のことだけを考えて、自分がどれだけ他人を傷つけていようとも、その傷つけた人が感情的になった途端逃げ出すことがこの度わかってびっくりしました
この傾向は、多分他責思考の傾向の方なら同じ行動をとると考えます
理由は「自分は悪くないのに面倒なことを言われる」と主観的に捉えるからです
そのため、結果としては感情を制御できない脳みそを持って生きている人間の中で、コミュニケーションを取ることが下手になります
何故なら、トラブルから逃げてしまう為、謝り方も、相手の気持ちを考えることも、相手の気持ちを静めるにはどうしたらいいのかなど子供がケンカの中で学んでいくようなコミュニケーションスキルさえ、わからなくなるからです
そうやっていざという時に逃げる人間は信用されませんので、健全な人間関係を築くのが難しくなります。また、健全な人間関係は、トラブルが起こるまでしか築けないということになり、何かあったら逃げる、自分は悪くないと逃げ続けるのでしょう
それは結果として自分に跳ね返ってきます
他人とのコミュニケーション能力が低くなるという形によって。

人間関係のトラブルというのは、勿論楽しいものではありません。
しかしトラブルというのは必ずどちらにも悪かった点が必ずあります。
その点について反省し、改善するというチャンスから逃げてしまうわけですから、人間的な成長をするチャンスを逃す。イコール、他人とのコミュニケーション能力、特にトラブルの際の立ち回り方が平均より極端に低くなると考えます
また、そうやってあらゆる学びのチャンスから逃げて生きてきた為、他人の気持ちにとても鈍感で、私の周りには他責的思考の人間が偶然にもいなかったため、驚愕しました


私が先日読んだ経営者の方の本で、その方は「どんなことでも、自分が行動したり発言したことが原因で生じたのだと考え、全ての経験をこれから生きていく上での糧にする」ということをおっしゃっていて、なるほどな、と思いました
その方はちょっと極端で「例えば、会社で嫌な上司の下についたら、そもそもその会社に就職するという選択をした自分が悪い」とまで考えるそうです
確かに成人すれば、全ての人生の選択は自己責任です
とはいえ、ウマの合わない上司と仕事をしなければいけないことまで「自分の選択ミス」と受け取り、その上司とうまくやる方法を研究し実行して学びながらも、そこまで自責思考的に考えるのかと目からウロコでした
自責的思考の中でも特徴的であったのは、「自分の存在が悪い」「自分が上手く上司とやれないのが悪い」という抽象的な考え方ではなく「自分がこの会社に就職するという選択がミスであった」というように具体的に考えることで、その方はうつ病等のストレスを抱えて生じるメンタルの病とは無縁になっていると考えました
実際その方は今、経営者として成功していますし、これからもあらゆる経験から学び取って人としてもっと大きくなってゆかれるのかな、と思うとこれからまた本が出たら読むのが楽しみだなと思っています


ここまでこの文章を読んだ方なら多分、身近に他責的な方がいて悩んでいる方が多いのではないかと思うので納得して頂けるかと思いますが、その人間は他責的ゆえ、自己を省みることなく、かつ、他責的思考のため反省も改善もなく、人としての成長は見込めない、何か自分に都合が悪くなれば面倒だと逃げ出す、自分のことしか考えられず他人批判はすれどもどれだけ暴れても謝罪はないと、健全な人間関係を継続するという意味では向いていないと考えます
一応考察と銘打っているので、他責的思考の良い点も考えたのですが…思いつきませんでした(苦笑)
何でも他人が悪い、自分は悪くない、というような思考ですからねぇ…なんだか小学校低学年の子同士の喧嘩で、「自分は悪くない!あいつが悪い!」と言っているのは想像できますが…(苦笑)
何か良いことなどあるのでしょうかねぇ…。

あえていうならば、他責的思考の出発点は子供の頃の生育環境に左右されることは多く、特に親の思考工程は影響を受けやすいと考えます
私が実際接触があった他責的思考の人は、「いつも両親がケンカしていた」という証言をしていました。ということは、両親は他責的思考で、いつも子供の前お構いなしに、相手への思いやりもなく相手をののしり自己正当化していたのかと推測すれば、その考えを何も考えなければそのまま受け継いでいてもおかしくありません
何らかの深い人間関係が築けて、その中で気づき、自分を変える努力ができる一握りの人間だけが、他責的思考という破滅的な考え方から抜け出せるかもしれません

しかし人間は変わることがとても難しい生き物です
DVでさえ、自分が殴られて辛い目に合っているはずなのに、何も考えずにその行動を受けついて自分の子供をDVするのですから。
他人を変えるよりは、自分が変わる方が簡単で早いです
私は今回の学びを糧に、他責的思考の人とは距離を置いて接していこう、できるだけ関わらないようにしようと学ばせてもらいました
また他責傾向の人と接する機会があった際には、また分析材料として研究させてもらおうと思います。特に若年の方の他責傾向について考察を加えてみたいです
離れたところから観察する形で(苦笑)

もし心に響いたならば……投げ銭のひとつやふたつやみっつやよっつ!!よろしくお願い致す!(笑)