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新たな「食体験」を創り上げ、食産業をリードする。Rettyが新ビジョンでめざす世界

こんにちは。Retty広報の遠藤です。

グルメサービス「Retty」を運営するRetty株式会社は、2010年の創業以来掲げてきたコーポレートビジョンをアップデートし、2021年12月23日に発表しました。新しいビジョンは『新たな「食体験」を創り上げ、人生をもっとHappyに。』です。

旧ビジョン:食を通じて世界中の人々をHappyに。

新ビジョン:新たな「食体験」を創り上げ、人生をもっとHappyに。

そこにどんな想いを込めたのか、そしてこのビジョンに基づいてRettyは今後どんな価値を提供したいのか――。アップデートの実務を担ったプロジェクトメンバーを中心に、TeamRettyメンバーの言葉から探ります。


「第2の創業」の節目、ビジョンもアップデート

ビジョンのアップデートの検討が始まったのは、2020年12月のRettyの代表取締役CEO武田ら執行役員7人が、経営課題について議論する“合宿”からでした。

ちょうどその2カ月前の10月、Rettyは念願だった東証マザーズへの上場を達成しました。“アフターIPO”を考える合宿では、新たなステージに立ったRettyがこれから中長期的に何に挑戦し、どんなゴールをめざす会社なのか、ビジョンをアップデートすることで改めてステークホルダーに覚悟を示そう、と決まりました。

武田 「創業10年目で上場して『第2の創業』というステージに立ち、ふさわしいタイミングだと考えたんです。Rettyが今後注力したい事業の方向性とこれまでのビジョンの一部がかみ合わなくなっていたとも感じていました。」

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<代表取締役CEO 武田和也>

武田「例えば『世界中の人々』という言葉。我々は今後、海外展開より日本国内でもっと食に関わる事業領域を広げていきたいと強く思っていますから、ちょっとずれちゃってたんですね。それなら、『いい機会なのでアップデートしよう』と。」

元々は「自分の好みに合うお店を見つけたい」という飲食店利用者(ユーザー)向けにサービスを開始し、利用客も拡大してきたRettyですが、収益の大きな柱は飲食店に集客支援・販売促進ツールを提供して毎月定額の料金を受け取るサブスクリプション・ビジネスです。お客様が飲食店内でスマートフォンから注文できる「モバイルオーダー」サービスなど、飲食店の業務を支援する事業も、今後注力していく領域です。

武田 「(2020年以降は)コロナ禍があって、飲食店や関係する業界の多くの皆さんが苦しんでいるという課題もありました。だから新しいビジョンには、Rettyのユーザーだけでなく、飲食業界を含むRettyに関わる全ての人を『Happy』にしたいという思いを込めたかったんです。」

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「入社の決め手」が旧ビジョンだったメンバーも

Rettyの各事業部門のメンバーは、これまでのビジョン(以下、旧ビジョン)についてはどう感じていたのでしょうか。

旧ビジョンが大好きで、新卒で入社する時の決め手の1つにしたのがプロダクト部門、マネージャーの田中です。

田中 「ユーザーがRettyを通していいお店に出会い、そこでの体験で食のありがたみや人生の満足度が上がる――そんなプロダクトを、生涯をかけてつくりたいと思っています。(旧)ビジョンは、まさに僕がやりたいことを表現していたのです。」

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<プロダクト部門マネージャー 田中大登>

よりよいお店が見つかる検索機能やおすすめの店のレコメンド機能などの改善を通じて、ユーザーの「食を通じたHappy」の実現に邁進していた田中。かつてRettyユーザーと交流する「オフ会」に田中自身も参加した際に、あるユーザーさんからこんな体験を聞いて、自分の仕事のやり甲斐を強く感じたと言います。

以前は食に興味がなくて、外食するなら無難にファミレスに行っていた。

Rettyを使って色んな美味しいお店を訪問するようになり、一食一食を大切にしなきゃいけないと思うようになった。そしてRettyを通じて知り合った(グルメ好きの)約400人は財産。

Rettyで人生が全く変わっちゃった

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田中 「あぁ、僕はこうやって多くの人を変えるためのプロダクトをつくってるんだ、と思って、胸が熱くなりましたね。」


現場の一部でも旧ビジョンに課題感

同じプロダクト部門のマネージャー、飯田も新卒でRettyに入社し、入社当時から旧ビジョンに強い思い入れを持っていたと言います。飯田はビジョン・アップデートのプロジェクトメンバーにも選ばれました。

飯田 「“Happy”という言葉がすごくRettyらしいですよね。僕たちの部門では、どんな機能を開発するにしても『それってユーザーにとってHappyなの』といった議論が多く交わされるくらい、大切だと思っています。」

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<プロダクト部門マネージャー 飯田悠斗>

ただ、旧ビジョンに強い思い入れを持っているメンバーが多いプロダクト部門内でも、ビジョン自体の“解像度”はバラバラだったと感じていたそうです。

飯田 「『ビジョン達成のため今はこの改善をやってる』とクリアに語れる人もいれば、『何となく(旧ビジョンの)雰囲気がいいよね』と、人それぞれでした。また全社的にも、ビジョンをそれぞれの業務へ落とし込むことはまだ難しい状態なのでは、と薄々と感じていました。」

HR室で採用を担当する大森も旧ビジョンへの課題感を抱いていました。

大森 「採用候補者から『Happyってどういう状況なんですか』とか『世界中の人々って誰ですか』などと聞かれることが多く、その度に私は注釈を入れなければいけなかったんです。私の業務に関しても、(旧ビジョンは)抽象度が高いな、って思っていました」

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<HR室採用担当 大森美奈>

ビジョンを日々の業務へ落とし込むことについては、飲食店の集客支援事業を担うセールス部門でも難しさを感じていたメンバーがいました。実際に飲食店へRettyのサービスを提案する代理店の開拓や契約など担う渉外部部長の日高はこう話します。

日高 「営業部門のメンバーも、代理店の方達にも、旧ビジョンやRettyの世界感はきちんと浸透していると思います。ただ、ビジョンをミッションにして日々の業務に置き換える難しさはどうしてもありました」

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<セールス部門渉外部部長 日高忍>


「巻き込み力ある」メンバーを選抜

そんな課題も解消するために始まった、ビジョン・アップデートのプロジェクト。CEOの武田は2020年3月、プロジェクトのリーダーにコーポレート部門長 執行役員CFOの土谷祐三郎を任命しました。土谷に加えて社内の各部門から1人ずつ、計7人がプロジェクトの実務を担うメンバーに選ばれました。

土谷 「メンバーの選定は、それぞれの部門長の判断に任せました。要件は『Rettyへの愛が強いこと』。そして『巻き込み力があること』。結果的に、熱い想いの、多様なメンバーが結集しました。」

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<コーポレート部門長 執行役員CFO 土谷祐三郎>

土谷「僕はプロジェクトメンバーの役割は、3割がビジョンづくりそのもので、より大切なのは残り7割の、ビジョンの各部門への浸透だと考えています。だから、メンバーがそれぞれの部門の“言葉”で部門内のメンバーにビジョンについてわかりやすく説明・啓蒙し、自らがビジョンを体現することが大事なんです。」

プロジェクトでは、“トップダウン”でも“ボトムアップ”でもない、現場と経営陣の双方の意見・想いをつなぎ合わせるプロセスを重視したと土谷は言います。

土谷 「マネーフォワードで企業理念の策定を担当した金井恵子さんと話をする機会がありました。(同社では)現場がボトムアップでつくったビジョンやバリューなどに経営陣の想いが含まれず、CEOの辻(庸介)さんが公表時にうまく自分の言葉で語れなかったというエピソードを聞きました。」

「だから、僕たちはプロジェクトメンバーがある程度まとめたものを経営陣に逐次フィードバックし、もんでもらってまたメンバーに戻すという、“行ったり来たり”の進め方になるよう気をつかいました。」


新ビジョンの変更次第で「辞めるかも」

そんな仕組みで始まったプロジェクトは2020年5月から本格的に始まりました。

メンバー7人は毎週、1~2時間程度の定例ミーティングを行うとともに、分担して他社のビジョンやその策定過程をリサーチ。一方でRettyの創業からIPOまでの約10年を振り返り、「そもそもRettyは何が強みか」「存在意義は何なのか」といった基本的なところから議論を繰り返しました。

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<ビジョンアップデートプロジェクトのミーティング風景>

その上で、8月には全社員を対象にした「ビジョンに関するアンケート」を実施。旧ビジョンに対してどう思っているか、新ビジョンに対して何を期待するかなど、15項目を質問して、社員の考えを探ろうとしたのです。

回答からは、社員のうち誰がビジョンへの関心が強いのか、分かってきました。旧ビジョンへの課題感を訴える人が多くいた一方で、次のように強いこだわりを示す人もいました。

「現在のビジョンに惹かれて入社しましたし、このビジョンだからこそ、今働いています。
正直ビジョン変更後に会社に籍を置くかどうか考えるほど僕にとっては重要な要素です。」

この回答をビジョンに関するアンケートに書いたのは、前出のプロダクト部門マネージャーの田中です。田中はこう振り返ります。

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「本気で書きました。同じ頃に武田CEOとキャリア面談する機会があり、そこでも『新しいビジョンの内容次第で辞めますから』と言いました」

土谷らプロジェクトメンバーは、ビジョンに関するアンケートで、ビジョンへの強い関心を示した社員を各部門から計30人選び、2回に分けて意見交換会を開くことにしました。出席者の中には田中も含まれていました。


コロナ禍で「Happy」の大切さを再確認

1回目の意見交換会は9月13日。ここではプロジェクトメンバーは司会進行役に徹し、できるだけ出席者が自由に議論できる形で進められました。

「Rettyって、何よりも『Happy』という言葉を大事にしているよね」

「新ビジョンは利便性より、情緒的に『楽しい』という世界観を出したい」

そんな率直な意見が飛び交う中で、セールス部門などの出席者から「(旧ビジョンは)飲食店側の視点が乏しく、自分たちの業務に落とし込みにくい」といった意見も出されました。

参加したプロダクト部門のリードデザイナー、山本も、飲食店側の視点を盛り込むべきだという意見をした1人です。

山本 「コロナ禍で苦しんでる飲食店の『Happy』実現は、いま世の中で求められていること。私たちはユーザーさんだけでなく飲食店の両方を『Happy』にしなければいけないのだから、新ビジョンにも反映するべきでは、と意見交換会で伝えました。」

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<プロダクト部門リードデザイナー 山本麻友美>

山本がそう発言した背景には、コロナ禍で長く続いていた緊急事態宣言が解除されたあと、自身が東京・銀座にある老舗ビアホールに行った時のエピソードがあります。

山本 「お客さんがたくさん入っていて皆楽しそうにビールを飲んでいました。店員さんも憑きものが取れたみたいに晴れやかで。『あぁ、こんな幸せな体験を無くしてはいけないし、ちゃんと守っていくべき場所だよね』と思いました。改めて、いい食体験を届ける仕事をしっかりやりたいと思いました。」

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新ビジョンは食に関わる全ての人に向けて

そんな議論の中で、出席者が重視したのは「食」「体験」、そして「Happy」という3つのキーワード。ビジョンに関するアンケートでもこうしたキーワードを記す社員は多く、またこれらは経営層もRettyの新ビジョンに欠かせない要素だと考えていたものでした。

前出の田中もこうした議論の方向性に共感を持ったと言います。

田中 「僕が(旧ビジョンで)好きだった『Happy』という価値はぶれないことが分かりましたし、小手先だけのアップデートではないことが分かったので、大丈夫そうだな、と安心しました」

1回目の意見交換会で出た議論を元に、プロジェクトメンバーは外部のコピーライターに新ビジョンのコピーとディスクリプション(コピーの補足説明文)の作成を依頼。複数の案を9月28日に開かれた2回目の意見交換会で出席者に示し、さらに意見を求めました。

11月以降も、経営層の意見も踏まえながらさらにプロジェクトメンバーで議論を重ね、最終的にビジョンが固まったのは12月になってからでした。

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<新ビジョン・ディスクリプション>

土谷 「最も大切にしたのはやはり『食』『Happy』『体験』という言葉です。逆に旧ビジョンにあった『世界中』というキーワードは落としました。今後10年にRettyが注力する事業領域を考え、日本国内の『食』に集中していこうという戦略を込めています。」

「『人生をHappy』という言葉は、ユーザーのみならず、飲食店の経営者や従業員、食材を提供する生産者など食に関わるすべての人を含むという趣旨です。Rettyの全ての部門がそれぞれのミッション・業務内容に落とし込めるよう、考えられています。」

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これからのRettyがめざすもの

今後、Rettyは各部門で新ビジョンを浸透させるプロセスに入ります。
7人のプロジェクトメンバーは各部門で新ビジョンと各事業とリンクさせるとともに、部門内のメンバーに説明・啓蒙するミッションにあたります。半年から1年に1回程度、各部門での浸透具合いなどをフィードバックする機会もつくる予定です。

既にプロダクト部門では12月6日と8日にマネージャー達で“合宿”も行い、10数人が参加してビジョンの具体的な業務への落とし込みについて話し合いました。セールス部門でも、新ビジョンを反映した飲食店の集客支援事業のKPI設計を行い、メンバーの評価指標ともリンクさせる作業を行う予定です。また、Rettyのコーポレートサイトなどを刷新するため、新ビジョンを体現したクリエイティブの制作も進んでいます。

新ビジョンについて、そしてビジョンのアップデートを受けてRettyが今後めざすものについて、CEOの武田はこう話します。

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武田 「全社員が感じていた『Rettyらしさ』が表れていますし、皆が心躍る、ワクワクするような力強い言葉が盛り込まれていますよね。全社員が一緒に関わって創り上げたビジョンなので、誰もが『自分がつくったんだ』と誇れるものです。ただ、つくって終わりじゃなく、ビジョンを全社員が『自分ごと』化していくことが大切です。」

「我々は今あるRettyというサービスを伸ばすだけでなく、テクノロジーを活用して新たな食体験の創り上げ、食産業をリードしていきたいと考えています。その上で、これまでと同様に、Rettyに関わった全ての人の『Happy』をもっと多く、深く実現する会社でありたいと思います。」



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