川村記念美術館
企画展「カラーフィールド 色の海を泳ぐ 」
概要
カラーフィールドは1950年代後半から60年代にかけてアメリカを中心に発展した抽象絵画の傾向です。 大きなカンヴァス一面に色彩を用いて場(=フィールド)を創出させることで、広がりある豊かな画面を作り出しました。
本展は、このカラーフィールド作品の収集で世界的に知られるマーヴィッシュ・コレクションより、関連する作家9名に焦点をあて、1960 年代以降の出色の作品を紹介する本邦初の展覧会です。彼らは、色彩と絵画の関係を各々の方法で模索し、その過程で多くの作家が独自の描画に至りました。変形的な外形を持つシェイプト・カンヴァスの使用や、絵具をカンヴァスに染み込ませるステイニング技法、あるいはスプレーガンの噴霧で色を蒸着させる画法など、従来では考えの及ばなかった手法を考案し、絵画に新たな地平を切り拓いたのです。
出展作家
ジャック・ブッシュ、アンソニー・カロ、フリーデル・ズーバス、ヘレン・フランケンサーラー、モーリス・ルイス、ケネス・ノーランド、ジュールズ・オリツキー、ラリー・プーンズ、フランク・ステラ
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京成佐倉駅から無料のシャトルバスが出ており、途中車内から見渡せた田園風景がきれいだった。
庭園内にある川村記念美術館はかわいらしい円筒形の建物。
常設展は日欧米の近代芸術作品で構成されたそれぞれの部屋に色のある展示。ただレンブラントのタブローだけはそれのみを展示した特別対応。一階の最奥に現れるロスコの部屋は照明を落とした薄暗い部屋にでーっかいタブローが展示され、織物対応並みの暗さのなか静謐で神秘的な空間が立ち現れていた。
今回訪れた目的であった企画展のカラーフィールドの作品たちは、カナダの世界的コレクターによる屈指のコレクションを日本で初めて公開したものだそうで、目にすることの滅多にない機会である。
「色とは何か」 というのが1960年代の芸術家たちの命題のひとつであり、そこから多様な実践が生まれてくることになる。
ある芸術家たちは模様やパターンを利用して、それがどうにか発展してシェイプトキャンバスを使った作品になっていった。
また、別の芸術家たちは「色」を表現するために「何を描くか」ではなく「どのように描くか」にこだわった。色を染み込ませる「ステイニング」やスプレーの塗布、アクリル絵の具など、当時の新しい技術を彼らは積極的に使い、絵画の新たな展望を切り拓いた。
展示を見終えた後に少し時間が残って、庭園を散策する。池の奥で水飛沫をあげる泉の涼しげな音をセミがこれでもかとデカい鳴き声でかき消す。
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