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宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる、あなたの知らないあなたの強み(書籍レビュー)

チームや組織を任された人(マネジメント・リーダーシップに関わる人)が読むべき書籍を見つけたので、レビューさせてください!興味があったら、ぜひ読んでみてください。

書籍:宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み

この書籍は、人気漫画「宇宙兄弟」を題材にして、人の個性への理解を深め、個性の活かし方を学べることを目的に書かれた本です。ビジネスパーソンによくある悩みや問題を取り上げ、それらの悩みや問題に「宇宙兄弟」の登場人物たちがどのように立ち向かっていくのかを人の個性を科学的に分析する「FFS理論」を用いながら解説しています。(書籍のまえがきより)

「幸せ(≒成功)」に生きている人たちの共通点

本書では、成功を以下のように定義しています

  • 事業を成功させること

  • 夢を実現すること

  • 成長や達成感を得ること

  • 日々心配事や諍い(いさかい)事なく家族や仲間に囲まれて楽しく幸せに生きること

これらの成功した人の共通点として、「自分の特性を理解し、強みを活かし、弱みは仲間と補完している」ことと述べている。一方、知識や経験は豊富にも関わらず、「悩み苦しんだ人」も存在する。そういった人たちの特徴は、自分に自信がなく、自己否定的で、うまくいかない人間関係に傷ついている。仕事でもプライベートでも、どこか無理しながら生きている人たちである。その原因は、「自己理解が不十分」か「間違った自己認識」に行き着いています。「自分はこうありたい」という憧れから自分自身を偽り、自分の個性に合わないやり方や行動パターンを自らに強いてるケースはよく見られます。つまり、「自己理解」は人生を成功に導くための基盤であり、活き活きとキャリアを伸ばしていくための指針ともいえるのです。(書籍のまえがきより)

自己理解や他者理解に役立つ理論:FFS理論

FFS理論では、自分の強みや弱みがわかるだけでなく、「なぜこの場面で相手がこんな行動や考え方をするのか」「なぜ相手は不愉快になったのか」がわかります。自分は「よかれ」と配慮したつもりが、異なる個性の人には「ストレッサー(ストレス状態を引き起こす要因)」になるということが理解出来ます。

なお、人によってストレッサーは違います。例えば、同じ広さの部屋にいても「広々として心地よい」と感じる人もいれば「広すぎて不安」とストレスに感じる人もいます。つまり環境や刺激に対する感じ方や捉え方は、人それぞれ違います。その感じ方や捉え方の特性を5つの因子として計量化したものが、FFS理論です。

補足:ストレスとストレッサーとは

ストレス・ストレッサーという2つの似てる言葉の意味

そもそもストレス(stress )とは、物に圧力がかかった際に生じる形の変化、「ひずみ」「ゆがみ」が本来の意味(物理学用語)です。FFS理論におけるストレスとは、私の理解ではメンタルヘルス(心の健康)での「ストレス」を指していると思います。この意味でのストレスは、特に好ましくない状態になっている、または、感じられている場合を示します。

ストレッサーとストレスの関係とは

ストレッサーとストレスは「原因」と「結果」の関係にあります。同じストレッサーだとしても、人によって有害なもの・無害なものと区別されます。有害であると判断する理由の1つは、その人の価値観が影響すると考えています。

なお価値観とは、自分の行動を決めるアルゴリズム(ルールや規則)です。人が何を重視し、何を選ぶかを決定する際には、価値観を元に意思決定を行います。関連記事:価値観とは

FFS理論:感じ方や捉え方の特性(5つの因子)

FFS理論の話に戻します。FFS理論(ストレスの感じ方や捉え方の特性を5つの因子として計量化したもの)の5つの因子とは実際にどのようなものか見ていきます。

5つの因子の全体像

FFS理論は、Five Factors and Stress の頭文字をとったもので、その人固有の特性(思考行動パターン)を5つの因子とストレスで数値化したものです。5つの因子は、「凝集性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」で構成され、この組み合わせによって、その人が持つ潜在的な強みを客観的に把握することが出来ます。

注意点は、人間を5タイプのどれかに分類するものではないという点です。5つの因子はどの人の中にも存在します。FFS理論では、5つの因子の多寡とその順番によって個性が理解できると考えます。

また5つの因子のうち、「保全性」と「拡張性」は気質(先天的)に起因し、残る3つは社会的(後天的)な影響が大きいと考えられます。

凝縮性因子:固定・強化させようとする力の源泉となる因子

「こうあるべき」という理想やこだわりが強い価値観を持ちやすい特性があります。社会的・文化的な課題解決を自分の「すべきこと」に設定しやすいタイプです。教育現場の荒廃、インフラの不整備、環境の悪化や温暖化、貧困、難民などに対する問題意識を持ち、解決しようと動きます。

詳細なタイプについてはスライドにまとめているため、下記をご参照ください。

受容性因子:外部を受け入れようとする力の厳選となる因子

この因子を第一・第二因子(5つの因子のうち一番目か二番目に数値が高い)に持つ日本人は約64%もいます。日本におもてなしの文化がある理由は、この因子からも考察できます。この高い数値が示すように、日本人は一般的に他人に対する配慮や思いやりが深い国民性と言えます。

詳細なタイプについてはスライドにまとめているため、下記をご参照ください。

弁別性因子:相反する二律にはっきりと分けようとする力の源泉とする因子

合理的な考え方で生きている人が「弁別性」の特徴です。この人たちは、「夢の中身は何でもいいから、無駄なく最短距離で達成したい」と思っています。夢というよりも目標と言ったほうがいいかもしれません。設定したゴールに「いかに合理的なルートで到達するのか」に生きていく上での重きを置くのです。

詳細なタイプについてはスライドにまとめているため、下記をご参照ください。

拡散性因子:飛び散っていこうとする力の源泉とする因子

「拡散性」の高い人は、基本的に「面白いことをしたい」という気持ちが強く、自分の興味で動きます。「ワクワクしたい」という気持ちが、その人を突き動かすのです。最初は自分軸ですが、「誰もなし得ないことを実現したい」「オンリーワンでありたい」と動いていくうちに他人軸へと変わっていきます。

詳細なタイプについてはスライドにまとめているため、下記をご参照ください。

保全性因子:維持するために工夫改善していく力の厳選となる因子

「保全性」の高い人は、本能的に現状を維持しようとするため、未知の領域に足を踏み入れることを躊躇します。別の言葉で言うと、とても慎重な人たちです。

宇宙兄弟の主人公である南波六太(ムッタ)は、「保全性」が高いタイプです。書籍では、ムッタが持つ個性にフォーカスをあてて、漫画のストーリーに沿って、保全性の高い人の特徴や行動を解説しています。詳細については書籍および漫画を読んでください!(非常に面白いため、超おすすめです!)

詳細なタイプについてはスライドにまとめているため、下記をご参照ください。

第二章:上司と部下のタイプ別の関係性について解説

第二章では、宇宙兄弟に出てくるキャラクターを5つの因子にラベリングして、漫画のエピーソードごとに異なる因子の関係性と対応方法についてまとめています。

書籍では4つのケースで上司を味方につける方法について解説されています。

  1. 拡散・上司と保全・部下

  2. 保全・上司と拡散・部下

  3. 凝縮・上司と受容・部下

  4. 弁別・上司と受容・部下

それぞれの詳細は書籍を見ていただきたいですが、要約すると以下がポイントです。

  • 相手の因子と自分の因子が異なる場合、相手の発する言葉や行動は自分の視点や思考で考えるのではなく、相手の因子をもとに解釈すべきである。

  • 相手は自分を陥れたり、攻撃しようとして言葉を発したり、行動しているわけではないため、相手の因子(タイプ)を理解・解釈し、行動すべきである。

他人という自分と違う存在をどう解釈するか?が相手との関係性を良好にするポイントである。そうすることで、自分に余計なストレスがかからず、幸せ(≒成功)になると、私は解釈しました。

第三章:目指すべきリーダー像について解説

第三章では、組織のリーダーを務める際の「その人らしい、強みを活かせるやり方」を宇宙兄弟とFFS理論を使って、因子ごとに解説しています。この章でも宇宙兄弟のキャラクターやストーリーを解説しながら、まとめられています。

書籍では4つのリーダー像で目指すべきリーダー像について解説されています。

  1. 受容・保全リーダー

  2. 凝集性リーダー

  3. 受容性リーダー

  4. 保全性・拡散性リーダー

それぞれの詳細は書籍を見ていただきたいですが、要約すると以下がポイントです。

  • リーダーの持つ強みが、チームに良い影響/悪い影響をどう与えているのか?を理解した上で、チームとメンバーへの行動を考えるべき

  • チームの成果を最大化するためには、異なる因子を持つ人材を活用すべき

FFS理論に足りないところは?

カテゴライズではなく個人に対する理解

FFS理論は、自己理解・他者理解を良くするための素晴らしいツールであると思いますが、あえて足りないところは?という論点でまとめていきます。

仮に部下のAさんとBさんが、同じ因子の順番だったとしても、人によって歩んできた人生は異なります。そのため人生を通じて得られた体験、体験によって生じた価値観を言語化することで、さらに自己理解・他者理解が進むのではないでしょうか?

結局、一人ひとりの人間を個別に見て、マネジメントしなければどんな理論やどんな戦略を利用したとしてもチームの成果は良くならないのではないでしょうか?

一人ひとりの人間を個別に見て、マネジメントするとは?

5つの因子の順番を見るというファーストステップは、重要だと思いますが、それぞれの因子のさらに奥にある「価値観」を見るべきだと考えています。価値観とは、自分の行動を決めるアルゴリズム(ルールや規則)です。人が何を重視し、何を選ぶかを決定する際には、価値観を元に意思決定を行います。関連記事:価値観とは

受容性に関連する価値観の例を記載しますので、受容性という因子を一括りに出来ないことを理解していただきたいです。

  • 共感(Empathy): 受容性が高い人は、他人の気持ちに寄り添い、理解しようとする傾向があります。共感力が高いと、他人とのコミュニケーションがスムーズになります。

  • 貢献(Contribution): 面倒見がよく、他人を助けることに喜びを感じるため、社会やコミュニティへの貢献度が高いです。

  • 愛情(Affection): 受容性が高い人は、無条件に他人を受け入れる力があり、その根底には深い愛情があります。

  • 保護的(Protective): 面倒見がよく、他人を守りたいという意欲が強いです。これは特に、他人が困っている時に顕著です。

  • 過保護(Overprotective): 受容性が高すぎると、時には過保護になる可能性もあります。これは、他人を守りたいという強い願望からくるものです。

  • 調和(Harmony): 受容性が高い人は、周囲との調和を重視します。これは、他人との良好な関係を保つために重要な価値観です。

  • 寛容(Tolerance): 受容性が高い人は、多様な価値観や考え方を受け入れることができます。これは、柔軟性とも関連しています。

  • ポジティブ(Positive): 受容性が高い人は、一般的にポジティブな考え方を持っています。これは、物事を「良いか悪いか」で判断する傾向があるためです。

受容性という因子の裏側にある価値観が、上記のように人によって異なるため、マネジメントする側は、価値観レベルまで理解しておくべきではないでしょうか?

価値観を特定するための手順

価値観を特定するためのステップは以下です。

  1. 価値観を特定するための質問を用意する

  2. 質問の答えを深掘りする

  3. 深掘りから価値観を見出す

価値観を特定するための詳細な手順は、弊社のWebサイトのメソッドにまとめていますので、ぜひご参照ください。

価値観を言語化する体験セミナーを無料開催

Peatixにて価値観を言語化する体験セミナーを無料開催しています。詳細には、Noteの別記事にまとめていますので、ぜひご参照ください。

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合同会社リトラエルのミッション

ミッション:自分の価値観に基づいた人生が送れる人を増やす

多様性が必要だと言われている昨今、自分の価値観やチームメンバーなど周囲の人の価値観を理解する必要性が増しています。そのため、年代・性別・過去の経験など様々なバックグラウンドのある人がチームメンバーを構成するようになっています。

一方、パワハラやセクハラなど○○ハラスメントが注目されるようになり、相手の価値観を質問しづらい世の中になっている状況もあります。そのような矛盾する現状においてリトラエルは「自分の価値観に基づいた人生が送れる人を増やす」をミッションに掲げ、一人の人間の人生をより幸せにするためのお手伝いを実施します。

その他の会社情報はWebサイトをご参照ください。


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