【3DO】27年間も埋もれていた詰みポイントの謎【マカロニほうれん荘】
はじめまして。レトロゲーム好きのSです。
noteの記事は初めて書くため、お見苦しいところがあったらご容赦ください。
※2022/7/17
当初、本記事で扱う詰みポイントは「バグ」と表現していたのですが、ゲームカタログの方で「バグと断言するには根拠が弱く、仕様の可能性もあるのでは」との指摘があったため、全面的に記事を修正しました。
※2023/2/7
一部文章を修正しました。
この記事で引用した方からコメントを頂いた折、記事をよく見なおしたところ、「ネットに落ちていた意見」として同じ人の意見を3重にカウントしていたことに気づきました……
多重カウントしていた箇所は明記したうえで、それに付随して一部記述を変更しています。
最後の考察にも影響が少なからずありますが、他にも同様の意見が十分にあることや別ゲーの事例を踏まえたうえで、結論は揺るがないと考えました。
皆様は『マカロニほうれん荘 インタラクティブ』というゲームをご存知でしょうか?
先日ゲームカタログというサイトにこのゲームの記事を書こうと、ラスボス戦の仕様を検証していたところ、発売から27年間表ざたになっていなかったと思われる詰みポイントを発見しました。
この詰みポイントの存在証明には様々な調査が必要となり、ウィキに載せるには不都合だったため、単独記事として紹介することにしました。
記事作成はカタログの方で許可を頂いております。
詰み要素が存在するゲーム自体は珍しく無いのですが、今回は報告例が確認できず、どこかに検証結果を載せる必要があると考えたため、記事執筆に至ります。
少し考えさせられる事例だったので、もしプレイ体験者の方がいたら是非最後まで読んでいただけると幸いです。
ゲーム概要
『マカロニほうれん荘 インタラクティブ』とは、1995年に3DO(かつてパナソニックが販売していたゲームハード)とPC向けに発売されたゲームソフトです。
今作は週刊少年チャンピオンの人気ギャグ漫画をゲーム化した作品です。
当時のゲーム業界では高城剛さんという方がハイパーメディアクリエイターを自称し、「インタラクティブムービー」とよばれる映像美特化のゲームを送り出していました。
本作はその作品の一つとなります。
しかしこのソフト、残念ながら悪い評判の方で有名になっています。
購入者や『マカロニ』ファンからは「声優に吉本興業の芸人を起用したこと」「作中のミニゲームの質の低さ」を理由にかなりの酷評を受けました。ほぼ唯一の3DO専門誌であった3DOマガジンでは、最終号で「3DOの価値を下げたソフト」として糾弾されたという逸話も……
※2023/2/7
以前この項ではネット上の口コミを元に"「3DOの評判を下げたソフトランキング」の上位として紹介された"と紹介していたのですが、先日「3DOマガジン」のバックナンバーを確認したところ、実際は異なっていることを確認したため正確な情報に修正しました。
記事を読む前に
この記事では「超不評なゲームで27年間見つからなかったハマリ要素」というキャッチーな話題を扱います。
もしかすると読者の皆様の中には好奇心旺盛な方がいて、このゲームにチャレンジしようとするかもしれません。
そういう方はすぐブラウザバックし、何も見ないで本作を自力で遊び、攻略に詰まってからこの記事に戻ってくることを推奨します。
この記事で扱うハマリの対処法はあまりにもシンプルで、一度知ってしまえば簡単に突破できてしまうためです。
プレイには問題ないと思いますが、あまり理不尽さを感じられなくなると思います。
もし今作の問題を実際に体験したい方がいたら、どうかこの記事を見る前にゲーム自体を遊んでくることをおすすめします。
それでは本題に入ります。
以下ネタバレにご注意ください。
詰みポイントの詳細
今作は探索+クリック式アドベンチャーなのですが、問題のラスボス戦は一風変わった仕様となっています。
ラスボス戦は以下のような画面となり、ゲームを進めるには画面上部にいる2人のキャラクター(膝方歳三・金藤日陽)のアイコンを選択しなければなりません。
※以下この2人はトシ・きんどーと表記します。原作では二人称が安定していなくて、かといって本名を書くのも似つかわしくなく、表記には結構迷いました……
また真ん中にいるラスボス・クマ先生も選択が可能で、話しかけると「もう諦めるのかい?」などと煽りを入れてきます。
この戦いは至ってシンプルです。
トシ・きんどーのアイコンを選ぶと2人がランダムで様々な一般芸をかますのですが、そのとき数%くらいの確率で行う「ダブルヒグマ落とし」を引き当てれば勝ちです。
え、運ゲーじゃないかって?
いやだって本当にこういう仕様なんですもの……
こういうゲームばかり送り出していた高城氏の評価は推して知ってください……
ちなみにこのラスボス戦は数回以内に当たりを引かないと強制ゲームオーバーになります。
引き当てる寸前のセーブデータを読み込んでも突破不可で、このときはクマ先生に話しかけてもゲームオーバーになります。
そのうえトシちゃんを選ぶとたまに「爆弾を先生に押し付けようとして送り返され、強制ゲームオーバー」という展開が発生します。
今回の検証はこの仕様で本当に苦しめられました。個人的に、今まで遊んだゲームの中でワースト2位以内に入る最悪のラスボス戦です……
そして問題の詰みポイントはというと、真ん中にいるクマ先生に話しかけないと、どれだけトシ・きんどーのアイコンを押しても「ヒグマ落とし」が発動しないというものです。
クマ先生が発するセリフはヒグマ落としと全く関係なく、ここに必須フラグを仕込む理由は一切無いので、バグの可能性が高いです。
条件だけ書くとシンプルなのですが、このシステムは普通に遊んでいれば気付きようが無く、人によっては永遠にゲームがクリアできなくなる悪質な進行不能ポイントとして君臨しています。
上で書いたように、クマ先生は話しかけても主人公を煽ってくるだけです。攻略に必要な情報を明かしたり、布石となる行動を取ったりはしません。
さらに数回引き当てないとゲームオーバーになる仕様も悪質さを強めています。クリアするには再開のたびにいちいち話しかけるか、クマ先生に話しかけた状態のセーブデータを律儀にやり直すかどちらかしかありません。条件を知らずにそんな事をする人は稀でしょう。
結果、攻略情報なしでこのラスボスを倒せるのは以下のパターンでしかありえません。
・初見時にクマ先生に話しかけた後、たまたまヒグマ落としを引き当てる
・なかなか当たらないのでおまじないのつもりでクマ先生に話しかけ、偶然引き当てる(後述するクリア者の方はこのパターンで突破したようです)
簡潔にまとめると、
このラスボス戦は初見で10%くらいの幸運を引かない限り、攻略情報なしでクリアするのは不可能です。
詰みの存在を裏付ける根拠
私はひょんなことからこの詰みポイントの存在を察したのですが、ネット上には同様のケースに遭遇した人が見つかりませんでした。
しかしレビューサイトで紹介する都合、何としてでもこの詰みポイントの立証が必要となります。
この詰みポイントの厄介なところは、ラスボス戦に確率が絡んでいるところです。
あるゲームの攻略本で「小数点以下の確率で盗める」が多くのプレイヤーを苦しめた逸話があるように、「○○という事象は発生しない」という仮説を証明する手段は殆どなく、いわば悪魔の証明となっています。
確率がらみの不具合というものはちょっとやそっとのプレイでは見つかりません。
FF6の回避率バグやポケモン金銀のムーンボールバグといった、乱数がらみのバグがスタッフの目をかいくぐって世に出た実例は他にも確認されています。
この詰みポイントを立証するには、ひたすらクマ先生戦と戦い続け、統計的に有意な結果を出すしかないのです。
……というわけで、私はこのラスボス戦を計6時間ひたすら遊び続けました。
もう同じギャグを何百回見たか覚えていません。
果てしない戦いでした。
さらに検証の都合ゲーム全体も2週目に挑み、その過程で1時間かけています。ケーキ投げミニゲームを作ったスタッフを恨みます。
そうしてラスボス戦に突入した後、クマ先生に話しかけた場合とそうでない場合で「ヒグマ落とし」の発生率を比較したところ、有意な結果が出ました。
クマ先生に話しかけた場合では2時間超で11回ヒグマ落としが発生し、話しかけなかった場合は4時間で1度もヒグマ落としが発生しなかったのです。
ここまで露骨な差が出ていたため、「クマ先生に話しかけないとクリアパターンが発生しない」という仮説は有意なものとして結論付けられそうです。
詳細な調査報告
ここからは、上記の検証の詳細な過程を記します。
検証1回目(初見プレイ時)
初見プレイの際は2時間半ほどかけてクマ先生戦に突入しました。
もうすぐ終われる……などと思いつつ遊んでみると、ボス戦の内容には困惑しました。
この記事では既にボス戦の仕様を記していますが、初見だと何をすればいいのかわからないのです。
トシやきんどーのアイコンを選択すればクマ先生にとどめをさせるのかと思いきや、よくわからないギャグを見せられて再び選択画面に戻され、意味もわからずクマ先生を選んだらその場でゲームオーバーになりました。
(このせいで私は「クマ先生を選ぶとゲームオーバーになる」と誤解してプレイする羽目に……)
初回プレイ時、私はちょうどボス戦開始直後にデータを保存していたので、そこから何度もやり直すことができました。
しかしいくらやり直したところで、数回ほどトシ・きんどーを選んではゲームオーバー。
その繰り返しで察しました。
「これ成功パターンが出るまで同じことを繰り返すのか……? 」
私は既に、同じスタッフが手がけた『チキチキマシン猛レース』を遊んでいました。
そちらはゲームのほぼ全てが運ゲーとなっており、今回も同じことをやっているのだと気づきました。
スタッフは誰も止めなかったのでしょうか……
「でも『チキチキマシン』の方は根気よく続けたら何とかなったし、今回も大丈夫に違いない!」
そう思っていたのは大間違いでした……
今回は何回リトライしてもクリアできず、上のクマ先生の顔をしつこいくらいに見せられました。
いや、夢に出そう。怖い。
他にもいろいろと策を試したのですが、それらは全て徒労に終わりました。
作戦1:一回攻撃するごとにセーブし、敗北イベントが出たらリトライする
まずは無難に、セーブとロードを繰り返して強行突破を狙います。
どうやらランダムに敗北するみたいなので、負けなければOKに違いない。
一回普通のギャグが流れたらこまめにセーブ。
もし敗北パターンが来ればやり直す。
そんな心づもりで挑んでいると……
来ました!
クマ先生の顔が来たという事はこれでゲームオーバーです。
しかし私の手元には、直前で保存したセーブデータが付いています。
ここからやり直して、ゲームオーバーじゃなくなればOKなはず。
少しズルいけど、まともに攻略する方法はこれしか思いつきませんでした。
このときはきんどーさんを選んでゲームオーバーになりました。
つまり次はトシちゃんを選べばこのシーンを突破できるということになりそうです。
この方法で何度もゲームオーバーを回避すれば、いつかゴールにたどり着けるはず!
そして再開後のアイコンでトシのアイコンを選択すると……
……あれっ!?
残念ながら、トシアイコンを選んでもゲームオーバーになりました。
これは何かの間違いか、乱数がたまたま酷かったのかもしれない……
そう自分に言い聞かせ、私は再びロードし、もう一度トシちゃんを選びました。
またしてもゲームオーバー。
再びロードを繰り返しました。
もう一度きんどーさんを選んだりもしました。
そして結果は全て同じでした。
食傷気味だと思われるかもしれませんが、実際に遊ぶとこんな風にしつこくこの顔を見せつけられます。
とにかく結論から言うと、
ある程度トシやきんどーを選び続けるとランダムで敗北イベントが確定し、そこからはどうあがいても進めなくなるという仕様のようです。
しかしこれではヘコたれません。
もう一つ策を考えて来ました。
作戦2:クマ先生にダメージを与えていそうなパターンばかりを引き続けるよう、リロードを繰り返す
このボス戦で発生するギャグは、クマ先生が攻撃を受けるモーションもあれば、逆にトシきんどーが返り討ちにされるものまで、さまざまなパターンが存在します。
もしかすると、この攻撃パターンだけを引き続ければクマ先生が倒れるのでは?と思い、セーブとロードを繰り返して該当シーンばかりをひたすら引き続けてみました。
これなら勝てるはず!
たぶんこれしか攻略法は思いつかない。これで負けたら諦めるしかない!
そして……
どうしても数回目で敗北イベントが発生するので、先に進むことができませんでした。
どうやらギャグの内容はゲームの進行に一切関係無いようです……
どれだけゲームを続けてもクリアできず、30分が経過。
しかしここまで来たんだからやっぱりクリアはしてみたい。
でも立ち向かう気力は残っていない。
仕方がないので、私は攻略情報を頼るべく、ここに来て初めてネットを検索しました。
しかし今作の発売ハードは3DO。覇権争いに散り、ゲーム史の陰に埋もれたマイナーハードです。
流石に攻略情報らしきものは全くありません。
かろうじて手がかりと言えたのは、見事にクマ先生を倒しているプレイ動画のみでした。
やったこれでクリアできる……と思いきや。
動画を見ても、行っている事は私とほとんど変わりませんでした。
この動画ではトシのアイコン選択後、2人が私の知らない攻撃をかまし始めました。投稿者さんは何も特別なことはしていません。
なぜ自分の時はクリアできなかったのか、私の頭はハテナマークで一杯になりました。
唯一の違いはクマ先生に話しかけるという行動のみ。
(この動画を見て初めて、クマ先生を調べても確定ゲームオーバーにならないことを知りました)
この動画が全てを変えるきっかけになったと知るのは、少し後の事になります。
仕方がないので、引き続きプレイを再開しました。
再開にあたり、私はとりあえずクマ先生に話しかけてからトシやきんどーを選ぶという事を何度か繰り返しました。
まさかこれがクリア条件だとは思っていなかったのですが、万が一ということもあるだろうと思い、ヤケクソでプレイ動画の真似をしました。
すると……
「トシー!行くわよー!!」
なんと、画面の前のきんどーさんが、自分の知らないセリフを発しました。
ついに成功パターン「ダブルヒグマ落とし」が出たのです!
無事にエンディングを見終えたので、適当なところでゲームカタログ用の記事を書こうと、このときは何となく考えていました。
しかし記事を書くにあたり、ラスボス戦はもう一度戦った方が良いと感じました。
このサイトには「ゲームバランスが不安定」という判定がありまして、攻略情報無しでクリア困難なゲームにはこの判定をつける義務があるのです。
実はつい最近、このサイトでは『ちびまる子ちゃん おこづかい大作戦!』という運ゲーに対し、議論の末にこの判定がついたばかりでした。
もしかすると『マカロニほうれん荘』も同じ判定になるかもしれないと思い、ラスボス戦の検証を思い立ったのです。
このラスボス戦の難易度はどうなのか、自分の初見プレイ時がたまたま不運だったのか、それともこれがデフォルトの難易度なのか、調べないわけには行きません。
そして、ここからが本格的な検証のスタートです。
検証2回目&当時のプレイヤーの体験談を調査
まず私はこのラスボス戦の情報を集めるべく、ネットのあらゆるサイトを調べました。
しかし感想の多くが「すぐ売った」「怒りを覚えた」「忘れたい」といった罵倒、具体的内容に触れているのも「吉本起用がひどい」「ミニゲームがむずい」といった意見ばかりで、ラスボス戦に触れている人は殆どいません。
まずプレイ動画に関しては、先ほどのYouTube動画以外は途中で挫折しているものばかりでした。
※「その1」と銘打っていながら、全5章のうちの1章で投稿者失踪。投稿者コメントを見るに2章ラストのボクシングがクリアできずに挫折した模様。
※視聴者コメント全115件のうち、購入者の具体的なプレイ感想は2015/2/11の「当時買って目の前が真っ暗になった」のみ。
※あまりのつまらなさに30分で投げ出し、制作者を盛大に皮肉ってプレイ放棄。先の投稿者が挫折したという、ボクシングにすら到達していません。
※上記のニコニコ投稿動画とほぼ同じシーンで挫折。動画冒頭のテロップは原作ファンである投稿者(しかも発売日購入)の怒りがひしひしと伝わってきます。曰く「苦痛でしかなかったんで途中でやめた」
匿名投稿についても、ラスボスより前のミニゲームで詰んだ人を見つけるのが精いっぱいでした。
(これ以降で挙げるのは、ネット上に現存している中で私が確認できた、具体的なプレイ内容に触れているすべての書き込みです)
※最初に引用したプレイ動画を投稿した方です。本記事の初稿時に多重カウントしていました。
※ナイフの件は、後述するバグが絡んでいると思われます。
※こちらも最初に引用したプレイ動画を投稿した方で、初稿時に多重カウントしていました。
※ちなみに3DOにもまともなゲームは意外とあります。言わずと知れたスト2・ADV系統を除外しても『ロードラッシュ』『パワーズキングダム』『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』『テーマパーク』あたりが代表的なイメージです。
※ケーキ投げとは、4章でプレイするミニゲーム。元は5chの書き込みですが、これに反応したレスは無し。
以上がクリア前のシーンに触れた書き込み群になります。
この他、惜しい書き込みとしては以下のようなものもありました。
鬼周回=クリア経験者と判断した私はこの方にコンタクトを取り、具体的な回答を頂きました(引用の許可は頂いています)。
話によると、この方が行っていたのは「何度もゲームオーバーになるくらい遊んだ」というニュアンスのプレイングであって、クリアはできなかったそうです。
かなり前なので記憶は不明瞭との事でしたが、話を聞く限り直前のシーンは鮮明に覚えていたそうで、ラスボスには到達した可能性が高いです。
このように、わりと重要な回答も頂きました。
発言内容に該当するのはラスボス以外に考えられませんので、確実に到達しています。
回答をくださったテトラポッド葉山さん、ありがとうございました!
(ちなみに葉山さんは本作に対して好意的な思い入れのある方だったので、このゲームをネガティブに扱う話題で拾っていいのだろうか……とかなり迷ったのですが、事情を話したところ快く許可して頂きました。このやりとりのついでに、3DO談義にも花を咲かせることができました。大変感謝です!)
というわけで、このテトラポッド葉山さんが、ラスボスで苦戦した確認例の一人となります。
私が調べた限りだと、先ほどの動画と鬼周回プレイ以外でラスボス戦以降に具体的に触れた話題は以下のもののみでした。
その後>>118さんがスレに顔を出すことは無く、ラスボスの攻略手順は迷宮入りのままでした。
うーん、残念。
調査開始前にこのゲームのラスボスで苦戦したことを確認したのは、ネットの広い海でこの>>117さんと>>118さんの2人だけでした……
時系列が前後しますが、本記事作成中にはmixiでさらなるクリア報告者も確認できました。
この他、ネットを色々探し回っていたら「昔クリアしたのに全く記憶にない」という書き込みも確認したのですが、再び探してもソースが見つからなくなってしまいました。
ごめんなさい。
最終的に、2022年6月時点でネットに挙がっていたこのゲームのプレイ報告のうち、私が確認したものはこんな感じです。
・大多数はプレイ内容を報告していない
・具体的な進行内容に言及していた(動画投稿で示した者含む)のが11人
・少なくともラスボスにたどり着いていたのがそのうちわずか6人
・明確にラスボスを倒したと確認できたのがそのうちの3人
※2023/2/7 多重カウントしていた分を減らしました。
情報が少なすぎる……!
具体的にラスボスのクリア困難ぶりに触れていたのも5chの2人、クリア動画の投稿者、mixiトピック投稿者の計4人しかいません。
※ところで散々挙がってるボクシングとケーキ投げはどれだけ酷いの?と思った方は、今回の検証のきっかけとなったゲームカタログの記事をどうか参照してください。
ネットには、攻略情報どころかラスボス到達経験者の情報すら皆無。
仕方がないので、私はたった一人でこのゲームの検証に挑むことにしました。
ストップウォッチを用意し、クマ先生戦直前のセーブデータを再開して、クリアまでの時間を計りました。
計測には以下のサイトを使用しています。
※本来であれば、クリアまでにクマ先生に挑んだ回数をカウントするのが検証として適切です。しかし検証開始時はこんな本格的な記事を書くことになるとは思わず、エビデンスを残すのも面倒だったので、クリア時間という適当な指標となってしまいました。この点に関しては深くお詫び申し上げます。
まずはとりあえず、クマ先生に話しかけたり話しかけなかったりを交互に繰り返して遊びました。
「まさかクマ先生は関係無いよな……」と思いつつも、万が一ということも考えての事です。
そして何度か遊ぶうちにヒグマ落としが発動。
PCで開いていたストップウォッチに目をやり、クリア時刻を計測すると……
11分30秒。
あれ?
初見では1時間かかったのに、今回は比較的まともなプレイ時間に収まっています。
どういう事!?
この時点で嫌な予感がし始めました。
まさかゲーム内容と全く関係ないクマ先生がクリアの条件なのか!?
検証3〜5回目
予想以上に早くクリアできてしまった後、私はさらに検証を繰り返しました。
最初に1時間かかったのにここまで早くクリアできるのはおかしい、たまたま運が良かっただけに違いない……
ここからの検証は、試しに毎回クマ先生に話しかけたうえで、トシやきんどーのアイコンを押すようにしました。
クマ先生バグの存在は半信半疑だったのですが、当初は深く考えていませんでした。
そしたら、出るわ出るわ「ヒグマ落とし」の数々。
クリアタイムはというと……
3回目:6分半
4回目:1分10秒
5回目:33分
あれ!?最初に1時間かかったのは一体?
おまけに4回目のプレイに至っては超幸運を引き当てています。
序盤でヒグマ落としを引き当て、簡単にクリアしてしまったのです。
※正確な時刻を記録していないことをお詫びします。このときはまさか27年物の爆弾が裏にあるなんて思わなかったのです……
この辺で疑惑が深まりました。
最初にクリアできなかったのは、延々とクマ先生に話しかけずプレイしたからでは?
ちなみにここでの検証により、同じ順序の行動を起こしてもヒグマ落としは発生しないということも突き止めました。
いわゆる"状況再現"で突破するのは不可能みたいです。
検証6回目
今度はためしに、クマ先生を無視してトシ・きんどーに攻撃を続けさせてみました。
たまたま歪な乱数に当たっただけかもしれない。そう思って挑んだところ……
20分が経ち……
40分プレイが続き…
1時間戦い続けてもヒグマ落としが発生しませんでした。
これはもうほぼ確定です。
ここまででクマ先生をそれなりの頻度で倒し、最長でも33分で済んだのに、明らかに乱数が偏っています。
いや乱数以前に、そもそもクマ先生が絶対倒せないようになっていると疑い始めました。
検証7~8回目
そこでためしに、もう一度クマ先生に話しかけてから倒すことにしました。
3~5回目の検証では毎回クマ先生に話しかけてから攻撃していたのですが、これでは効率が悪く、さまざまな事象を検証した方が良いと感じたので、クマ先生に話しかけた直後にセーブを行い、そのデータをリロードして検証を繰り返しました。
そもそもこのゲームは序盤にもフラグ管理のバグ(後述)があり、どんな操作が悪さをしているか予想もできません。とにかく色んなパターンを試したいと思いました。
※ここまで書いてきた計測時間とはプレイ条件が変わってしまいますが、あくまで目安のようなものとして、軽く見ていただけると幸いです。
結果、今度は
7回目:14分43秒
8回目:11分52秒
という、結構まともな時間でヒグマ落としが発動しました。
ちなみにこの検証では「トシときんどーのどちらを選んでもヒグマ落としは発生する」という事も実証できました。
それ以外の発生攻撃は選んだアイコンごとに決まっているのですが、ヒグマ落としだけは処理が特別なようです。
検証9回目
さらにもう一度クマ先生を無視して挑むも、25分間当たらず。
ここまでクマ先生放置の試行を総計2時間行ったこととなり、その全てでヒグマ落としが発生しなかった事になります。
ここまで差が出ていれば、そろそろ確実です。
検証10回目
もうこの時点でクマ先生バグの存在は立証されたようなものですが、せっかくなので最後の駄目押しに別の検証も行いました。
それは「きんどーさんだけ選ぶとクリアできるのか」という事です。
このラスボス戦では、トシに話しかけると即ゲームオーバーになるパターンが存在します。
しかしきんどーだけを選んでもヒグマ落としが発生するのなら、トシを全く選ぶ必要がありません。
ゲームオーバーが発生するだけ完全に無駄な選択肢となります。
そこでひたすらきんどーだけを選択してプレイ。
先ほどのクリア動画の人もトシを選んでから勝利していたので、きんどーさんだけではヒグマ落としが発生しない可能性も根強く残っていました。
スタッフもその辺は対策しているだろうと思っていましたし、今回も1時間クマ先生の顔を拝み続けることに……
なりませんでした。プレイ開始から23分で普通にヒグマ落としが発生しました。
……どうやらきんどーさんだけ選んでもクリアは可能で、トシちゃんを選ぶ意味は一切ないらしいです。
彼を選ぶと爆弾を送り返されるイベントに遭遇するので、選ぶだけ損です。
これから『マカロニほうれん荘 インタラクティブ』を遊ぶ人は、きんどーアイコンだけ選ぶよう肝に銘じておきましょう。
トシちゃん25歳、ラスボス戦でお呼びがかからない子。
検証11~12回目&YouTubeの投稿者さんに問い合わせ
ひとまずクマ先生バグの実証の存在は確認できましたが、まだ調査に不足があります。
それはこの詰み要素が発生率100%なのかどうかという事です。
もしかすると私のセーブデータで詰む状況がたまたま整っていただけかもしれないし、別の手順を踏めば回避できる可能性も否定できません。
詰みポイントの存在は実証できても、すべてのプレイヤーが必ず遭遇するものなのかどうかはまだ証明されていないのです。
たとえばFF8のセントラ遺跡バグのように、ラスボス戦以前の無関係な行動が引き金となって不具合をきたしている可能性も考えられます。
そういうわけで、この詰みポイントの詳細を掘り下げるべく、調査を続行することに。
データを消して、このゲームをイチからやり直します。
再プレイの前に時間があったので、この間に様々な用事も済ませました。
・原作リサーチにあたって買い損ねていた「マカロニ2」の購入
・ゲームカタログにて検証テキスト掲載の相談
(当初はカタログと無関係に記事を書くことを提案していたのですが、触れた方が良いという結論に落ち着きました)
・先述のクリア動画を投稿したStick Rajiさんへ、プレイ内容の問い合わせ
この3つ目がポイントです。
この動画の投稿者さんは貴重なラスボス討伐体験者なので、これはもう質問するしかありません。
この件の動画で得た体験が他のプレイヤーと同じなのか気になったので、コメント欄で以下のような問い合わせを行いました。
翌日、以下のような回答を頂きました。
(引用の許可は頂いています)
Stick Rajiさん、回答ありがとうございました!
投稿者さんもクマ先生の謎には薄々感づいていたようです。
他のわずかなネットの書き込みや、私自身の体験と同様、苦戦を強いられていたようです。
プレイ動画ではやけにスムーズなクリアをしていたので、誰も知らない攻略手順がある可能性も危惧していましたが、それも無いことがわかりました。
(それにしても、あの動画の状態になるまで何度もやり直したって本当にすごいことなんですよ……!!)
話は戻って調査の再開です。
再調査の手順は至ってシンプル。
このゲームをもう一度やり直して再びラスボスまで突入し、ひたすらクマ先生に挑み続けるというものです。
ただし前回のプレイで行った行動は極力取らないようにして、内部のフラグが極力異なるようプレイしています。
攻略と関係ない行動はできるだけ全てスキップし、最短ルートを突き進みました。
これで(確実とは言えないものの)ラスボスと関係ない何らかのフラグが悪さをすることは無くなるはずです。
(より万全を期すなら1周目で一度以上ミスった全ミニゲームをノーミスで突破するとどうなるか、その辺も試す必要もありそうですが、普通の人間に不可能な行動まで試す意味は無いと思うのでやってません。ケーキ投げとかどうノーミスで対処しろと……)
そして再びラスボス戦。
1周目で立てた余計なフラグは一切ありません。
これでクマ先生に挑み続けたところ……
ビンゴ!
例によってクマ先生に話しかけなかった場合は1時間挑んでもクリアできず……
クマ先生に話しかけてから挑んだらたった7分でクリアできました。
これにより動画投稿者さんと合わせた3回の通しプレイにおいて「クリアの前にクマ先生へ話しかける必要がある」という実例が残りました。
そして他の特定のフラグが悪さをしている可能性も(ほぼ確実に)つぶされました。
100%断言することはできないものの、この詰みポイントは普通に遊んでいるだけで毎回発生するものと考えてよさそうです。
仮に回避方法があったとしても、普通では気づかないようなプレイングでしか詰みは阻止できないと思われます。
検証13~15回目(ラスト)
さて調査はもうちょっとだけ続きます。
念には念を入れて、あと一つ試したいことがあるのです。
クマ先生に話しかけてゲームオーバーになったあと、データをロードせずに最終章のはじめからやり直し、再びクマ先生と戦うと、この詰みは発生するのでしょうか?
※このゲームにはチャプターセレクト機能が存在し、ゲームオーバーになっても最後に遊んでいた章からやり直しができます。
なんでこんな面倒くさいことをするかと言うと、実はこのゲームは序盤に変なバグがあり、その関係性を調べたかったのです。
このゲームの最初の章では、画面奥に落ちているナイフを拾うシーンがあります。しかしここで手順を間違えるとなぜかきんどーがそうじを見捨て、ゲームオーバーになります。
そのあと1章のはじめからゲームをやり直すと、落ちているはずのナイフが消えています。
どうやら、ナイフを拾ったフラグが残り続けた状態になるのです。
この状態でもゲームを進めることはでき、進行に支障はきたしませんでした。
(先ほど引用したツイートで「ナイフを取らなかったのが間違いだったのか」と懸念している方がいましたが、あれはナイフが消失したのにゲームが進行したことで、よもや拾い忘れてしまったのと勘違いしたものと思われます。私も同じ状況に引っかかって似た感触を得ました。ちなみにこのナイフはボクシングの後の3章のイベントで使用されます)
もしこのバグがラスボス戦でも発生するなら、同じようにして詰みを回避できる可能性があります。
つまり最終章をやり直す前にクマ先生会話フラグを建てていれば、やり直した後も突破できるのでは……?
さっそく試してみました。
(試そうと思った理由は色々あるのですが、それは後述します)
しかし結果は同じでした。
クマ先生に話しかけなかったら1時間経ってもクリアできず、話しかけたら7分でクリア……
そのあと手違いでもう一度クマ先生と戦う羽目になったのですが、そこでも2分半で決着がつきました。
これによりセーブを忘れるなどして最終章を最初からやり直す羽目になった人が、もう一度挑んで突破できてしまう可能性は消失しました。
運が良ければこれで突破できる人がいるかもしれないと思ったのですが……
この検証結果がどういう意味を持つのかは、後に改めて解説します。
何はともあれ、最後は2度目のエンディング鑑賞をしてほっとひといき。
もうここまで試せば十分でしょう。思いつくプレイングは一通り試し終わりました。
結論
この検証全体で、クマ先生に話しかけずコマンドを入力するプレイは計4時間。その間ヒグマ落としは一度たりとも発生しませんでした。
逆に話しかけてから攻撃したのは計2時間強。その中で発動したヒグマ落としは計11回。
10数分に一度くらいのペースで発生するはずのイベントが、条件を変えただけで4時間発生しなくなりました。
となれば、これはもう結論付けて良いはずです。
3DO版『マカロニほうれん荘 インタラクティブ』のラスボス・クマ先生戦では、ゲームの流れと何の関係もないクマ先生会話イベントを発生させない限り、勝利用のイベントを絶対に発生させることができません。
考察
かくして詰みポイントの存在を実証する事が出来たのですが、その過程で様々な疑問も産まれました。
なぜこんな詰みが実装されてしまったのか
同社製作『チキチキマシン』にまつわる不可解な記事の謎
なぜ27年間表沙汰にならなかったのか
その点について個人的な考察を書いてみます。
なぜこんなバグが実装されてしまったのか
途中で「きんどーさんだけ選んでもクリア可能」という話をしましたが、ここに原因があるような気がします。
おそらく本来はトシを最低一回選択しないとクリアできない仕様だったのに、間違えてクマ先生を選択しないとクリアできない仕様にしてしまったのではないでしょうか。
このラスボス戦では、クマ先生に話しかけたフラグを確認する処理が用意されています。
実は一度クマ先生に話しかけていれば、再び話しかけた際に違うセリフを話し始めるのです。
おそらくゲーム内には以下のフラグが用意されていたものと思われます。
フラグA:トシアイコンを1度以上選んだかどうか(ヒグマ落とし発生の判定に使用)
フラグB:クマ先生に1度話しかけたかどうか(クマ先生の会話内容の判定に使用)
スタッフはラスボス戦において、以下のような処理がしたかったのではないでしょうか。
処理1:00から99までのランダムな数字をひとつ選び、05より少ない数字だったら処理2へ、それ以外の数字なら対応する攻撃イベントを発生させる
処理2:フラグAが立っていたなら「ヒグマ落としイベント」を発生させ、そうでなければ通常の攻撃イベントを発生させる
そしてスタッフは処理2で「フラグA」を確認すべきところを、うっかり間違えて「フラグB」を確認する処理にしてしまったのです。多分。
これなら検証10回目の不可解な現象にも辻褄が合います。
きんどーばかり選んで強制ゲームオーバーイベントを回避されないよう、一回でもトシアイコンを選択するよう仕向けた結果、間違えてとんでもないクリア条件を作ってしまったのではないでしょうか?
あくまで推測でしかありませんが……
同社製作『チキチキマシン』にまつわる不可解な記事の謎
『マカロニほうれん荘』と同じ会社が作った『チキチキマシン猛レース』というソフトについて、ねとらぼの不可解な記事が以前から気になっていました。
この記事の中で、ファンの方がこのような発言を残しています。
私もこのゲームを遊んだのですが、40時間かかるという事は普通ありえないのです。
今作はあらゆる要素が運ゲーなのですが、相当非効率に遊んでもこれだけの時間はかかりません。
私は5時間くらいでエンディングが見られましたし、ゲームシステムから期待値を計算してもこのプレイ時間はおかしいです。
何かの思い違い、もしくは未知のバグがあるのではないかと思っていました。
……そう、未知のバグ。
もしかすると、実は前作『チキチキマシン』にも同じように、運要素が強すぎて気づかない進行不能バグがあったのではないでしょうか?
このファンの方がどういう遊び方をしたのか、そもそもこのゲームで40時間かかったのが本当なのか、それは本人に聞いてみない限りわかりません。
謎は深まるばかりです。
なぜ27年間表沙汰にならなかったのか
これこそ一番の謎です。
普通「ラスボス戦がクリアできない」ともなれば、みんなが話題にするはずなのです。
それも高確率で引っかかる詰みポイントなのに、今まで殆ど浮上してこなかったのは明らかに不自然です。
しかも今作は原作ファンから猛反発を喰らったゲーム。騙されたと感じたプレイヤーなら、積極的に伝えてもおかしくないはずなのです。
実は最後に慎重な検証を行ったのは「もしかすると自分がたまたま引っかかっただけで、普遍的に詰みを回避する方法があるのでは?」と考えたのが理由です。
なにしろ、みんながきちんと詰みを回避していたなら、話題にならなくて当然なのです。
しかし現実はそうではなく、詰みの回避方法は存在しない(存在したとしても容易に気付けるものではない)と結論付けられました。
ラスボス戦で詰まった人が他にも複数確認できた点も、それを裏付けています。
ではなぜ詰みポイントが埋もれていたのか?
可能性の一つに「今作がマイナー作品だから」というのも考えられますが、本作は3DOソフトの中では(良くも悪くも)知名度がある部類なので理由としては弱いと思います。
同じ3DOソフトでも『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ』は後半のストーリー省略を惜しむ意見がネットで結構見つかりましたし、甚大な問題があれば誰もが触れるはずなのです。
※2023/2/7
ドラえもんだとそこそこ有名かもしれないので、もっと極端なケースも紹介します。
この記事を書いた後、更にマイナーな『王国のグランシェフ』という3DOソフトを遊びました。こちらは『マカロニ』『ドラえもん』と違って完全オリジナルの作品であり、発売時期が3DO末期だけあって本当に知る人ぞ知る作品になっています。どれだけマイナーかと言えば、最近プレミアが付いてしまったほどです。
そしてこちらは「ラスボスを倒したのにスタッフロールが流れずタイトルに戻される」というとんでもないラストとなっていました。
それでもネットできちんと遭遇者が確認できています。
埋もれていた理由として一番考えられるのは、「このゲームをラスボス戦まで遊ぶ人があまりにも少なすぎた」ということだと思います。
それは3DOの普及率だけでなく、ゲーム自体がそれだけ反感を買った、最後まで遊びたいと思わせなかったというマイナスの要因が含まれていると思われます。
この事実は、途中放棄したことを告げる書き込みがあらゆるサイトで見つかったことからも裏付けられています。
ラスボスまで遊んで違和感を覚えた人はいても、クリア動画投稿者さん同様にわざわざ口に出す人が確認できないほど母数は少なかったのでしょう。
(というか動画投稿者さん自身、クリアに何年もかかっているようなので……)
世間で酷評されるゲームソフトは数あれど、ここまで極端なパターンはそうそう無いように感じました。
この結論から引き出せる、興味深い事象はもう一つあります。
何度か述べたように、本作は「3DOのクソゲー」という風評が浸透していて、ネットのあらゆる場所で酷評を確認できます。
しかしその批判を投げた人のうち、ラスボス戦までゲーム本編を遊んだ人は殆どいなかったのです。
今回の逸話は、炎上したコンテンツの悪評がプレイの有無に関わらず容易に広まってしまう事を裏付ける興味深いケースだと思います。
今作はラスボス以前にも問題が多く、最後まで遊ばずに批判した人を責めるつもりは全くありません。購入者の怒りはあらゆるサイトで痛烈に伝わってきました(このために3DOを買って激怒したという人もいた)し、クリアまでに投げてもおかしくない言えるレベルの代物です。
それは実際に遊んだ私自身がとっても痛感しています。
しかしラスボス戦にたどり着いた上での批評が殆ど無かったのも事実で、クリア状況に関係なく悪評が先行していた事がわかります。
こうした現象は、他のあらゆる炎上コンテンツでも起こりうることではないでしょうか。
今回の件で個人的に思い出したのが、世界最悪のクソゲーとされた『E.T.』の逸話です。
今回の『マカロニほうれん荘』でも、この挙手の下りと似たようなパターンが発生していたのかもしれません。
評判はあくまで参考程度のものでしかなく、コンテンツの中身は何事もきちんと自分で確かめなければ見えてこないものがある。
そう思い知らされる、ちょっと不思議なゲームのお話でした。
謝辞
貴重な情報を提供して頂いたクリア動画投稿者のStick Raji様、鬼周回プレイの記憶を提供してくださったテトラポッド葉山様、記事掲載の相談に乗って下さったゲームカタログの皆様へ、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
読者の皆様へ
もし当時このゲームを遊んだ方がいたら、その時のプレイ体験について情報提供を頂けると大変ありがたいです。
ネット上にこのゲームの具体的なプレイ体験が少なく、ラスボス戦まで到達した人やラスボス前に投げた人はどのような感想を抱いたのか、大変興味深いものとなります。
「詰みの発生を回避する方法がある」という可能性は100%否定されたわけではない(というか悪魔の証明なので解析でもしない限り断言は不可能)ですし、もし当時クリアできなかったという人がいれば本記事の提唱した詰みポイントの裏付けがより一層高まることになります。
またこの現象が他機種版(Windows、Mac)でも発生するのかどうかはわかっていませんし、仮に本作が増産されていれば後期バージョンで修正されている可能性も否定できません。
(なお私が遊んだCD-ROMの内側には「2 IFPI L251」という品番が刻印されていました。もし後期バージョンの存在を探る方がいたら、数字に差異が無いか参考にしてください)
よろしくお願いします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
おまけ
この記事の下書きをおおかた書き終わって数日後、KOTY次点やファミ通最低点で有名な『プロゴルファー猿』をたまたまブックオフで見つけました。
本文をああいう締め方にしたこともあるので、モノは試しと購入してみました。
『マカロニ』の直後に触った本作は、プレイヤーの実力がきちんと結果に反映され、運要素が無いことに感動を覚えました。
難しいと思ったら難易度選択(※)できるし、難しい近道に打つか簡単な場所から安定を取るかなどの駆け引きに満ちています。プレイ時間の面でも『マカロニ』より充実した内容で、(当時のキャラゲーやゴルフゲームの水準、ソフト本来の値段に目を瞑れば)最低限はきちんと遊べるゲームに感じました。
何が言いたいのかというと、あの『プロゴルファー猿』ですらまともに楽しめてしまうくらい、私にとっての『マカロニほうれん荘』は相当キツかったらしいです……
やはり評判の悪い作品でも、触り方やタイミング次第で楽しめるものなのかもしれません。
それこそ今回情報提供を頂いた葉山さんからは『マカロニ』に対して好意的な話を頂きましたし、実際に触ることで評判以上の発見もあるということを改めて考えさせられました。
※ 実はKOTY選評には間違いがあります。ネタにされているミスターXの会話は無意味なシーンなどではなく、疑似的な難易度選択機能になっているのです。この回答次第で次のステージが変化するようになっています(説明書にもきちんと記載されている仕様です)。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?