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日本選手権2022(女子5000m)

見どころの多い日本選手権であったが、女子5000mを大トリに持ってくるとは、運営側もなかなかシャレたことをする。昨日は男子3000mSCをラストに持ってきて、見事にその期待に応えた三浦選手(順天堂大)と青木選手(HONDA)。注目されるのは、選手にとってこの上なく嬉しいはずである。殊、今まで注目されていなかった競技に関しては余計に。

女子5000mは、廣中選手(日本郵政G)と田中選手(豊田自動織機)の二人に他の選手がどれだけ絡めるか?が焦点だったと思う。萩谷選手(エディオン)や佐藤選手(積水化学)、そして今シーズン上り調子の五島選手(資生堂)あたりも実力があるだけに面白いレースが予想された。

レースが始まってしばらくすると、7番手と8番手の間に差ができ始める。後ろに下がってしまったのは佐藤選手。非常に苦しい走りとなった。前方ではオープン参加の選手を先頭に廣中選手や田中選手が上位争いを繰り広げる。

やがて廣中選手が前に出ると、それをさせじと田中選手もぴったりと付く。気が付くと、廣中選手、田中選手、五島選手、安藤選手(ワコール)の争いとなっていた。と、ラスト1周で仕掛けたのは、ここまで3種目に出場している田中選手だった――。

いつもなら廣中選手がロングスパートで逃げ切るはずだが、今日はどうもその切れ味がない。ラストの切れでいえば1500m専門の田中選手に分がある。スパートしてからみるみるうちに差が広がり、最終的にはこのペースでは無理だと思われたオレゴン世界陸上への参加標準さえも切ってしまうタイムで見事に優勝(田中選手はすでに参加標準をクリアしていたため、今日のレースでは3着以内に入ればよかった)。廣中選手も2位に入った。

これで田中選手は1500mと5000m、廣中選手は5000mと10000mでそれぞれオレゴン世界陸上への切符を手にした。この若い二人を中心に現在の日本女子のトラックは回っているといってよい。昨年の五輪でも結果を残した二人が、再び世界の舞台でどれくらい食らいついていけるかが、見どころとなる。世界の壁は分厚いが、五輪の時のように積極的なレース展開を期待したい。

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