出雲駅伝2022結果
今年の出雲駅伝は駒澤大学が9年ぶりの優勝を飾った。東京国際のヴィンセント選手が欠場したことで、レース展開がかなり変わることが予想されたが、2区でトップに出た駒澤がそのまま逃げ切ったという形になった。
1区で飛び出したのは箱根駅伝でMVPを獲得した吉居大選手(中央3年)だったが、その差を9秒に留めた花尾選手(駒澤4年)のレース巧者ぶりが光った。もしここで20-30秒離されていたら2区の展開も違ったものになったかもしれない。2区を走った佐藤圭汰選手(駒澤1年)が力通りの走りをしたが、それを引き出したのは1区の頑張りだったということだ。
3区田澤選手(駒澤4年)にトップで渡せた時点で勝負あったなという感じだった。レース後のインタビューで大八木監督が田澤選手に不安があったと語っていたが、出走すれば走ってしまう田澤選手である。この差を上手く使って4区以降の選手がスムーズに走れた。
4区以降は向かい風の影響で気持ちよく走れるコンディションではなかった。大逆転というのはなかなか難しく、それを踏まえての3区エース集結となったのだが、2位に入った国学院は3区終了時点の6位からよく巻き返した。中西選手(国学院4年)が一気に6→2位まで押し上げて流れを作った。3位に入った中央大学は1区の吉居選手のリードを上手く使えたということだろう。他にも7位に入った法政大学は戦前の予想を覆すような健闘ぶりであった。
最後に鈴木芽吹選手(駒澤3年)の涙に触れておきたい。10000m27分台の実力を持っていながら今年の箱根駅伝で8区で失速してしまった。それ以来のレース出場で本人的には不安があったことは想像に難くない。その精神状態で出雲駅伝最長6区に持ってきてしまう大八木采配(もちろんそれだけ走れる選手だから、という自信があったのだろうが)、区間賞の好走で期待に応えられた安堵感や優勝の嬉しさなど、様々な感情が入り混じった涙だったのかな……と、画面越しに映った。フィニッシュテープを切った後に、チームメイトが次々と駆け寄りハグして本人をねぎらっていたシーンもまた印象的だった。
最終区の逆転は起こらなかった、ある意味、静かな出雲駅伝だった。11/6開催の全日本大学駅伝まで1ヶ月を切っている。各大学とも今日走ったメンバーが一つの基準となるが、7, 8区の長距離区間までにどのポジションで持っていけるか。エースたちの走りを加速的に使えるか、後れを挽回するために使ってしまうのか。そこが一つの見どころになりそうである。
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