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面白いって何なんすか!?問題

いくらなんでも3日連続で本の話題とは…と思ったが、せっかく読んでいるので残しておくべきだと判断して、今日も読んだ本の話から。どうせKindle Unlimitedからだろう――、と思いきや、今日はちゃんと買った本である。どうでもいいが、ネットで何かを買う時ってたいていお酒を飲んだ後が多い。酔った勢いで買っているといえばそれまでだが、衝動的というよりは、気になるけどどうしようかな~と悩んでいたものを買っている。で、意外とそんな時に買ったものが良かったことが多い。それなら悩まずに即決すればいいのにといつも思うが、念のため考える時間を置いてしまっている。決断するのに、何か理由が必要なのだろう。それがお酒の力なのはあまり良くないと思うが。

長年、コピーライターとして活躍してきた筆者が考える「面白い」とは。印象的なフレーズが様々に出てくる。「面白いとは似ていないこと」「面白いは足せるものではない」「アイデアとは単語の組合せ」本の内容紹介ページには色々と象徴的なフレーズが書いてあって、それだけでもわかった気になるが、それを一番危惧しているのは著者自身ではないかと思う。一部の天才を除き、いろんな角度から真面目に「面白い」を検討していった結果が、この本なのである。

他と似ていない文章にするための最も簡単な方法は、自分の経験を書くこと。(中略)こういう風に本を書くと偉そうだったり苦労自慢のように思われたらどうしよう……そんな心配も出てきました。(中略)なのになぜこんなに細々と書いてきたかと申しますと、どうもアイデアが生まれる本当の理由や原因って実はかなり具体的なところにあり、まとめて書くとすぐに曖昧に、煙に巻くようなものになってしまうと思うのです。

本文より

この1文だけでも、結構深いな……と思うのである。まず、似ていない文章が自分の経験を書くことというのは、本当にその通りで、たとえば、就職活動のエントリーシートにも当てはまる。どこかの説明会で聞いたようなこと、何かの本に載っていたことをそのまま書いたのでは、やはりインパクトに残らない。それだったら、自分しか経験していないことを混ぜたほうが断然印象に残るのである。

そういえば自分の就職活動においてこんなことがあった。とある会社の面接で「どうして当社を知ったのですか?」と質問された時に自分はこう返した。「祖父の家に昔、御社の看板があって、それを何となく覚えていたんです」この返しは結構ウケて、何となくそれ以降のやり取りがうまくいったように思う。祖父の家に看板があった事実は自分しかわからないので、他の人とは違う理由になったはずである。たぶん、どこの面接本を探してもそんなことを言えなんて書いてないと思うし、冷静に考えると「だから何だよ」とツッコミたくなる気もする。しかし、自分とその会社との関係として、これ以上に印象的なものは無いような気がしたのだ。

本の話に戻そう。筆者は"まとめる"という行為に対しても警笛を鳴らしている。まとめると"わかった気に"なってしまうが、それもちょっと違う。それでオリジナリティは出ないというのだ。だから、引用した最後のフレーズが登場するわけで。ちなみに著者は大学理系学科の出身で、所属研究室の助教授に言われたエピソードが登場する。「上手くいかなかった実験結果も立派なデータ」という、まさに理系だ!という話である。研究に限らず、コピーライターの世界も、うまくいかない気がする……という道筋を発見することに意味がある――、そんな風にも受け取れるのである(これも筆者が理系だからであろうけど)。

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