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【小説レビュー】謎005(微ネタバレ)【伊坂幸太郎・日本推理作家協会/講談社文庫】

70年代・80年代・90年代の短編ミステリーから、人気作家がベスト・オブ・ベストをセレクトするアンソロジーの第5弾です。
伊坂幸太郎さんのお気に入りが8作品収録され、巻末には解説もあるという大変贅沢な一冊です。

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『はじめに』
私は自他共に認める出不精で。さらに冬の寒さをひしひしと感じ、外出する頻度が減っているのですが、それに反比例して読書量は増加しています。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

伊坂幸太郎さんがえらんだ、70年代・80年代・90年代の短編ミステリー8作品が収録されています。

1.長い話 / 陳舜臣

「ぼくはニクソンみたいな立場です(P8)」から始まる、日本とアメリカが舞台の国宝を巡る物語。
主人公だけが客観的に様々な情報を得て、それを基にたどり着いた答えとは。
 ⇒自ら望んでニクソン大統領になりたい人はいますか?

2.盗まれて / 今邑彩

電話で男女が会話しています。
内容はドッペルゲンガーだったり、男女の愛情についてだったり、出世の話だったり。
 ⇒誰が何のために何を盗むのでしょうか。

3.飯鉢山山腹 / 泡坂妻夫

田舎町の中学校に東京出身の優秀?な教師が赴任した。
彼は休日に、家族や仲間と化石の発掘に飯鉢山へ出かける。
発掘中のその飯鉢山の旧道では、がけ崩れと事故が発生し…
 ⇒色々ありましたが、最終的に犯人は庁視警の車に乗せられたのでしょう。

4.パスポートの秘密 / 夏樹静子

会社の慰安旅行で香港を訪れた女性。
ホテルのクラブで寛いでいた最終日の夜、おぞましい記憶を植え付けられた男性に出会ってしまい、また、懐かしい名前を聞くことにもなった。
 ⇒人は誰もが二面性を持っている、ということですね。

5.私に向かない職業 / 真保裕一

探偵として働く主人公は、何の得にもならないことを・わざわざ危険を冒してまでやろうとするお人よしです。
そんな主人公が向かない職業とは。
 ⇒辻褄はあってるけれど、それを自分で言うか。という感想でした笑

6.めんどうみてあげるね / 鈴木輝一郎

とにかく費用が安い託老所。
そこには完全に場違いと思われる、幼稚園生ぐらいの幼女もいた。
 ⇒こういう話にリアルを感じてしまう年頃になりました…

7.夜の二乗 / 連城三紀彦

ある国家公務員の妻が自宅で死んでいた。
その男は他の女性を他の場所で殺していたことをアリバイとして話す。
 ⇒事件を担当した刑事の淡々とした語りで進むところが、とても良い雰囲気です。

8.長い部屋 / 小松左京

ある探偵に舞い込んだ仕事は「天才研究者のボディガード」。
当日研究所に向かうと、研究者は殺されており、探偵もある人物にケガを負わされてします。
 ⇒伊坂さんも感動した「優れた作家の荒唐無稽な想像力」をお楽しみください。

印象的だったのは
「盗まれて」…登場人物の立場がコロコロ変化します。最後に笑うのは一体誰か?
「めんどうみてあげるね」…今でも、むしろ今だからこそ怖さが増す内容です。
の二作品です。優れた作品は、時代の変化で色褪せないものですね。


大変読みやすい一冊ですので、皆さんも是非どうぞ。


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