#8-人生100年時代におけるシニア社員のための実践的なキャリアデザイン術
第4回:シニア向けキャリアデザイン研修コンテンツはこれだ(その1)
最も重要なのは、シニア社員自身が自発的に自分のキャリアをデザインしようとする意欲を持てるかどうか
これまで企業の行う研修は、新卒で入社した新卒をマネージャーまで育成するために入社3年目、10年目などキャリアの節々で行ういわゆる層別研修が中心でした。
すでに“出来上がっちゃった人”である50歳を超えたシニア層に対して研修を行うニーズは少なく、実際にこの層に前向きな研修を行っている会社は少ないです。
しかしながら、これからの時代はそうはいきません。人生100年時代を見据えて「リカレント(学び直し)教育」を推進する必要があります。
特に企業にとっては、仕事に対してモチベーションを下げたままの「働かないおじさん」「妖精さん」と揶揄されるシニア社員を65歳あるいは70歳まで雇い続ける余裕はなくなっているからです。
こうした時代におけるシニア層に対する研修には、2つの方向性があります。
一つは、モノづくりを主体とする産業構造から大きな付加価値を生むデジタル経済への転換のなかで、社内のシニア社員に対して新たなスキル習得を要求する方向です。
例えば、実際にNTTデータでは、中堅社員以上に2019年からデジタル人材を育成する2年間の研修制度を始めています。
もう一つの方向性は、今まで培った経験・スキル・ノウハウをブラッシュアップして、社内で再活用・有効活用を図る方向性です。
今回この連載で取り上げるキャリアデザイン研修は、後者の方向を目指すものですが、いずれの方向を志向するにしても最も重要なことは、「自分のキャリアは自分で考える」というシニア社員自身のマインドセツトです。
いくら会社が号令をかけても、「昇給・昇格といったアメが効かない」「酸いも甘いも知りつくした」シニア層には響きません。
シニア自身が自分事として自分の将来キャリアを見据えてそのために自発的にキャリアのブラッシュアップを図ろうという気持ちがなければ、いくらこうした研修を行っても、結果として絵にかいた餅になってしまうのです。
その意味で研修の第一ステップとしては、今回の連載の第1回から第3回までで解説したシニア自身が現状を十分理解し、腹落ちするための解説パートが必要となります。
この部分の実施は、同じ会社の仲間である社内講師よりも社外講師のほうが客観性もあり、望ましいかと思います。
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