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【報告】12/29(日) 第1回「SDGsラボ」を開催@山形

 山形でもSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を学べる場を作ってみようと思ったので、試験的にやってみました。

【概要・プログラム】
日時:2019年12月29日(日)  会場:山形市内のカフェ  参加者:8名
①ちょっとしたレクチャー:「緒方貞子からSDGsへ」
山本泰弘(元 筑波大学「人間の安全保障」講座アシスタント、学士(国際関係学)、修士(地球環境学))
②雑談「SDGsを知るには?」

【レジュメ】

【話し合いまとめ】

〔SDGsの気配〕
・地球規模の目標が発信され、地球規模で活動するグローバル企業がこれを掲げた動きをアピールしだしている。
・グローバル企業によるテレビCMや新聞広告、インタビュー記事などでSDGsが見聞きされる。
・しかし、国連機関やグローバル企業が相手にする「世界」と、私たち市民が生きる「地域」との間には大きな乖離(ギャップ)がある。
・グローバルなSDGsを咀嚼・解釈して、ローカルな事業・政策・地域活動の指針に活かせるようにしたい。SDGsをそれらの追い風にできないか。
・入門書(『SDGs超入門』)には、ローカルな企業がSDGsをビジネスの追い風にした例が紹介されている。

・地元でも、自治体の政策方針や議会質問のような局面でSDGsが話題に挙がることがあるが、表面的なやり取りにとどまり、その意義を真に理解しているわけではない。
・現実的に、SDGsを掲げたからといって国やグローバル企業から金が来るわけではないので表層的な語られ方にならざるを得ない。

〔人の安寧と地域の現状〕
・地元の危機的な課題といえば、「地域社会の持続」だ。
・自治体が住民に対し幸せをデザインできるか、が若年層(比較的移住が容易な30代以下)の居住地選びを左右している。
・高齢者についてもそう。病院を核にしたまちづくりが求められる。街なかに病院がある山形、酒田、鶴岡は否応にも住民を集めるだろう。
・移住が難しい住民は住んでいる自治体に生活を頼らざるを得ない。

・東根市は、早期から新幹線駅、それを含んだ新都市、子育て施設、学校、住宅地といったインフラを(水田や果樹園と引き換えに)整備し、若年層のニーズをとらえてきた。
・しかしそれは将来にわたり持続可能といえるのか。昭和のニュータウンのように、やがてはゴーストタウン化するのでは。
・そうであっても、人々の幸福・厚生を提供する政策を選択したということだろう。結果、人口を集めて一定の持続性を得た。
・新たに開発された街には似通った境遇の住民が多く、コミュニティも自然に形成され前向きに機能する。

・かつて新庄市は、新幹線延伸に沸いたが駅の周りの都市整備を行わなかった。以後、その影響で人口減の一方…。

・だから地方政治は重要。知らないうちにまちの将来を左右することが決まってしまうことも。新庄市の看護学校設立問題つくば市の300億円運動公園問題はたまたま表出して市民に問われた。

・町から隔たった「在」では、いまだに集落で人手を集めて葬式をする。そのたびに若い女性が苦労を強いられる。年寄りが支配する世間や家族の重圧が強い。そんな地に若年層が残らないのは当然。
・そういった公言できない動機の方便として、「雪が多いから東根・天童・山形さ」と言う。
・人間の安全保障でいえば「尊厳ある人間生活」、SDGsでいえば「5,10 平等」「16 公正」。

・地域の外郭的な立派さでなく住民の内面に迫った「安寧」を提供する地域間競争が繰り広げられていると解釈できる。

〔そこにある貧困〕
・貧困は普通に存在する。NHKが「見えない貧困」と報じたように、外見的には他の生徒と変わらずスマホなども持っているが、家で満足な食事をしていない、家族で遠出した経験がない、など。

・栄養不足では教育の効果もない。SDGs「1 貧困」「4 教育」。
・家庭にはよほどのことがない限り他者が入り込めない。貧困を改善できない。その家庭内の子は貧困を仕方ないと思わざるを得ず、その状態を脱せない。社会のセーフティネットがない。
・このことが地域社会で問題・脅威と認識されていない。教育現場の現実が政治・行政に伝わってない。
・親の大変さを救う社会の仕組みがまだまだ欠如している。

〔エピソード〕
・藻谷浩介さんによると、東京、仙台は急激な高齢化に対処できず介護難民に溢れるらしい。地方のほうが高齢化が緩やかなため持ちこたえられそう。

〔総括〕
・SDGsはまだまだ謎な概念。これからの学びでグローバルからローカルへのギャップを埋める必要がある。
・「ローカルの人々にとって何の役に立つのか?」には単純な答えはない。その問いを持ち続けて、地域社会への使い方を探っていく。

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