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米国株式派が試される時期。

GAFAM続落。

 先日、米国メガテックの四騎士であるGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)にマイクロソフトを加えたGAFAMの決算で、材料が一通り出揃ったことやドル高、利上げの懸念などが重なって過去3年の敵なし状態から一変して続落している。

 米国株式市場は日本株と異なり、値幅制限がないことから暴落するときはどこまでも落ちる性質も相まって、レバナスSNS界隈投資家を筆頭に、悲鳴をあげている様子がSNS界隈で垣間見える今日この頃である。

 私は2019年~2021年における米国株式は、長期平均の期待リターンを大きく上回る、年率20%近い上昇が3年連続していたため、米国株式に全力投資している者が大きな利益を得て、そうでない者の肩身が狭かった。

 しかし、私は2月24日の某国の軍事侵攻を境に相場の雰囲気がガラリと変わった様に感じたため、2月末にまとめた金融市場動向の記事において、「そろそろ米国株式のマイナスリターンの年が来てもおかしくない」と記したが、今のところ読み通りの展開が続いている。

 とはいえ、今年もまだ2ヶ月残っているため、これから大逆転劇を繰り広げる可能性もゼロではないが、現状の相場感からは少なくとも、半値戻しは全戻しと盛り上がっていた頃の活況は感じられず、全体から見た投資家心理は悲観的だと推察している。

GAFAM抜きS&P500のリターン。

 投資家心理というのは往々にして、相場が好調な時ほど楽観的で、イケイケドンドンな全力投資をしがちだが、下落相場に一転すると今まで気にならなかったネガティブな情報を収集しては、疑心暗鬼に陥って投げ売りしたり、退場したくなる衝動に駆られてしまう。

 現にインデックスファンドの代表格であるS&P500指数から、メガテック企業のGAFAMを抜いた通称S&P495のリターンは、やれ失われた30年だ、衰退国だと揶揄されている日本経済の指標のひとつであるTOPIXのリターンと大差ないことが、多方面から指摘されている。

 つまり、世界一の経済大国とされている米国経済ですら、既存の産業は成熟していて、全体で見ると何年も横ばい状態が続いており、GAFAMという超巨大IT企業の圧倒的成長によって、市場全体を牽引しているだけであって、これまで一人勝ち状態だったメガテックの失速が続くと、日本経済のような長期に渡る低迷を意味することになる。

 とはいえ、もはや米国株式はオワコンだと嘆く必要はなく、投資対象もこれまで通り米国株式を持っている方は、わざわざ異なる国の株式に組み替える必要がないどころか、それはむしろ悪手となる可能性が高いというのが私見である。

 一応、過去にもインデックスファンドは全世界株式か、米国株式か論争で、自分が生きている間、米国一強時代が続くと思うのであれば米国株式、そう思わないのであれば全世界株式が無難だと記している。

 今のところ、全世界株式のうち60%近くが米国株式となっており、続く日本株式が6%前後、GDPの圧倒的成長を遂げている中国株式ですら、5%前後で推移していることからも、株式市場に占める米国株式の圧倒的な存在感は明らかで、現時点ではどちらを買っていても長期目線で合格点が取れる時点で、短期的な弱気相場に一喜一憂することなく、長期、分散、積立を愚直に守り続けて、相場から退場しないことが何より重要であることに変わりはない。

そもそも代わりがあるのか。

 それに、米国一強時代が終焉すると危惧した所で、どこの国がそれをひっくり返すのかは誰にも分からない。古くは英国経済が世界を牽引し、その後は米国経済にバトンタッチするも、バブル期に日本経済が急成長し、平成元年の世界時価総額ランキングでは、日本企業が32/50もランクインしており、日本経済こそ株式市場の中心的存在であり、日本株に投資していない奴がオワコン状態だったものと思われるが、生前の話で身を以て体験している訳ではない為、想像の域は出ない。

 そして日本経済のバブルが崩壊し、再び米国経済が主軸となり今に至る。GDP成長率を鑑みるとこの先、米国一強時代を中国やインドがひっくり返す可能性が最も高いと推測されているが、そもそもGDP自体がアングラであり、各国で経済的な豊かさを集計して、数値化するにも統計基準が異なるのだから、単純に数字の多寡を比較したところで、本当の豊かさなど計り知れないのではないだろうか。

 イタリアなんかは典型例で、よく景気が悪いとか、財政破綻の危機などと耳にするが、それらはもはや常套句で、人生史上、イタリア経済が良かったと聞いた試しがない。

 とはいえ、経済指標通り劣等生かと言えば、実態を見ている限りそうは思えず、ブランド品のグッチやプラダ。高級車でフィアット、フェラーリ、ランボルギーニ。ビジネスマンが身に付けるスーツや革靴、腕時計などで世界各国で買いたい人が一定数居る様な、割合良い製品が数多く存在しているのだから、そこで働く人々の暮らしぶりが劣悪なはずがない。

 恐らく長い歴史の中で経済大国の優等生感を装うことが、割に合わないことを知っているから、敢えて劣等生感を醸し出して、少ない労力でそこそこ良い暮らしが維持できる程度のユルさで、日常を満喫しているものと思われる。

 反対に、中国は凄まじい成長率を誇っているが、政府が経済指標の増加ばかり追い求めるようになれば、それこそ拝金主義の成れの果てであり、かつ実態が伴っているかはご想像にお任せする。

 一般論として、新興国株式は高い成長率が魅力的な反面、金融市場の歴史が浅く、投資家保護の制度が万全ではない側面がある。その点、米国市場はケネディ大統領のお父さんを筆頭に、金融市場を健全化する取り組みが国策で行われ、その歴史が長いことからも投資家が安心して市場に参加できる土壌が整っている。

 これを踏まえると、米国株式に変わる市場が短期間で形成されることは想定し辛く、個人としては米国が変わらず世界経済の主軸であることを信じて、保有資産の半分を米国株式に投じ続けるまでである。


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