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一流に慣れる。

迷う理由が値段なら買い、買う理由が値段なら買わない。

 誰かの受け売りだが、この言葉に出会って以来、私も価値で売買を決めている。安さを理由に買ったものは大抵不満が出てきて、他のものに目移りしてしまうからだ。まさに安物買いの銭失い。

 反対に値段が高くても価値があると思ったものは、もちろん入念に下調べするけど、確信が得られれば躊躇せず購入に踏み切る。出口戦略でも記したように、良いものを長く使うことが結果的に一番安上がりなんだ。

リセールバリューを意識。

 良いものは古くても欲しい人が一定数居るから、売るときも良い値段が付きやすい。そうすると、購入価格から売却価格を差し引いた金額で使用できるから、安物を頻繁に買い替えるよりも満足度が高い上に、一流品に触れているとセンスも磨かれる。何より、良いものを使っていると、上位製品がそこまで存在しないから他に目移りすることがない

 例えば、私はm1チップ搭載のMacBook AirをRAM16GBに増設したCTO(カスタマイズ)モデルを愛用している。社会人学生なので学割を利用できたけど、それでも価格は12万円超だった。

 アップル製品は利益率が高いから、ブランド力によって安い原価のものを高い値段で買わされているのは百も承知だけど、使用していて何ら不満のないことは珍しく、定価に見合うだけの価値はあると思う。デザインの美しさはさる事ながら、m1チップ登場時はProも同じものを搭載していたから性能は大差ないのに軽い。ファンレス構造だからとても静かで、バッテリーは長持ち。おまけにiOSアプリまで動く。

 メモリを最大にしてあるから、向こう数年は快適に利用できそうだし、多様なiOSアプリが順次m1チップに対応していく楽しみもある。中古相場も8割程度の金額だから、売りに出しても買い手がすぐに見つかるだろうし、目移りする可能性があるのは後継機種だけだから、家電量販店などのパソコンコーナーを物色する必要もない。

目移りしたものを買う理由を考える時間も労力もタダではない。

 だからこそ、価格が高くても不満が出にくい良いものを買うべきなのだ。

 他にもワインを開けるときのソムリエナイフはシャトーラギオールを所持している。フランスにある工房で職人がハンドメイドで作っているだけあって、価格は数万円と決して安くはないけど、一流ホテルやレストランのソムリエが 「選ばれしプロの象徴」として愛用するソムリエナイフと言われるだけの価値はある。

 コルクを抜き取るだけのワインオープナーなら百均でも買えるけど、コルクの抜き易さが全然違うし、何より美しく機能的でコルクを開ける作業自体が楽しくなる。

 また、運動不足にならないために、エクサー社ステッパーを置いている。これも数万円と決して安くないけど、モントリオール五輪の選手強化用に開発されただけのことはあって、プロスポーツ選手御用達の代物。耐久性抜群で膝や足首を痛めにくい設計だから、アスリートでもなければ一生涯使用できそうだ。

実は厳しい弘法筆を選ばず。

 このことわざには、下手な者が道具や材料のせいにするのを戒める意味合いも兼ねているのはあまり知られていない。私たち素人がプロ御用達の一流品を使うことで、道具のせいにする逃げ道を自ら断つ。上手く使えなければ嫌でも実力不足を実感するから、上手く使うために正しい使い方を学ぶ動機付けにもなる。だから、一流品が良いわけだ。

 横山光昭さんの「貯められる人は、超シンプル」と言う本の中にも、

「本当に必要なものだけを所有すると言う考え方がどんどん増えてきており、その分、所有するものにはこだわりを持つ。それは、ものはできるだけ長く大切にしておくべき、と言う実は当たり前の気持ちの表れです。」

貯められる人は、超シンプル|横山光昭

 このように、労働の対価として賃金を得ている労働者は、時間を切り売りして何かと交換するのだから、どうせなら価値のあるものに交換しておくべきだと私は考えるが、なにも大枚を叩いて一流品を買おうと言いたいのではない。

何事も少しばかり工夫を凝らしてみる。

 一流ホテルに宿泊するのは難しくても、朝食サービスだけなら数千円で一流の気分を味わうことができる。毎朝カフェでコーヒーを飲む習慣がある人であれば、毎朝水筒にコーヒーを入れる習慣に切り替えれば、一ヶ月程節約したカフェ代で実現可能だ。

 毎週末にファミレスで外食する習慣のある人なら、三週間は自炊して、一ヶ月に一度だけ叙々苑のランチに切り替えるほうが、月毎の支出は変わらずに満足度を高めることができるだろう。ちなみに最もリーズナブルな焼肉ランチSは成形肉なのでおすすめしない。

 もちろん、価値観は人それぞれなので、労働の対価として得た賃金を何に使うかは自由だ。それでも世の中には、何に使ったかも覚えてない少額のお金を積み重ねと、少しの工夫によって、憧れの一流を味わえる機会があることを知っておいて損はしないだろう。


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