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最近の金融市場動向(2022年11月)

みずほ、確定拠出に一本化。

 概要としては、これまでの企業独自の福利厚生として存在していた年金制度を、退職後に持ち運び可能な確定拠出型に一本化すると言った具合である。

 一本化そのものは他社に波及することで雇用流動性の低さ、いわゆる転職のハードルが多少は緩和されるように思えるが、先行き不透明な社会情勢から、各企業で運用して掛け金を拠出することが困難となっているため、運用リスクを個人に負わせる確定拠出型の方が都合が良いと捉えるべきだろう。

 個人的な年金に対するスタンスとしては中立かつ傍観である。と言うのも、20代半ばで大病を患い、半ば強制的に死を意識したことで、不確実な将来に備えて、今を犠牲にすることの意義が見出せなくなったためだ。

 物理的に身体が病んだ状態を嫌と言うほど味わい入院、手術に至った経験から、人である以上、いずれは老衰して体力も低下し、何をするのも億劫になる心中を、本来であれば病気とは無縁な20代で体感したからこそ、老後に、経済的に豊かになったところで仕方がないと、ある種、開き直りに近い形で吹っ切れるに至った。

 だから、年金が受給開始となる年齢までは、老後資金を運用する形で元本を目減りさせることなく、定職にも就かずにフラフラと自由気ままに過ごし、資産が底をつきそうだと悟ったら、パーッと使い切って生活保護でも受ければ良いと考えてる。

 そのため、早期リタイア後の国民年金は申請で全額免除する気満々だし、所得控除や税制面で優遇が受けられるiDeCoにしても、60歳まで換金できないリスクは無視できないことから、50〜55歳位になったら余剰資金をNISAと併用する形で使うだけで十分だと考えており、給与天引きされている厚生年金以外の年金は現状積み立てていない。

 本音としては、現役世代のほぼ全員が払い損となる厚生年金など、1円たりとも保険料を支払いたくはないのだが、それを叶えるためには雇われの身を辞めるパワープレイが必須なため、来春までお預け状態となっている。

誰もがDC難民化する可能性がある。

 そもそも、老後資金を運用するなら、人に丸投げすると手数料を中抜きされるが、自身で管理できれば利益構造がシンプルになる分、無駄なコストが抑えられる可能性が高い。そのために金融リテラシーは必須だが、企業DCだとしても、一社に勤め続ける場合でもなければ、転職時に移換手続きは必要になってくる。

 転職時に個人で移換手続きを踏まなければ、DC難民となってしまう。それに、移換をする際にファンドは強制解約され、一旦現金となるから、元本保証のないファンドを中長期目線で運用していて、相場が暴落している中で転職すると不本意な損切りが発生することになり、これでは安心して株式を長期、分散、積立することが難しい。

 それに、リーマンショックのような金融危機や連鎖的な倒産が生じると、リストラなどの形で失業させられる可能性もあり、その時も企業DCからiDeCoに移換する必要があり、不本意な損切りとなってしまう。

 今や個人の寿命よりも企業の寿命のほうが短いのだから、自身が定年まで働くつもりでも、雇用先がそこまで持つかは分からない。だからこそ、退職の度にiDeCoに移管する必要のあるDCでの運用よりも、自身で金融リテラシーを身につけてNISAで運用した方が、理にかなっていると考えている。

 現に転職して来た後輩から企業DCの移換手続きの相談を受けて、やり方は説明はしたものの、半年経ってもやっていないとの回答を頂いた。

 他人の課題にはこれ以上は干渉しないと心に決めたが、金融リテラシーが十分とは言い難い日本人の中央値としては、例え身銭を切っていても、よく分からないものに関しては、その程度の扱いなのだろう。

 そうして、お金の知識を身に付けないことで、本人の自覚なくDC難民が増殖するのである。懐という名のバケツにいくつも穴が空いているのだから、いくら賃金という名の水を入れたところで、懐にお金が残らないのは明白である。

為替は円高方向に動くか?

 先月末に、同記事で円安の動向に関して、現在の為替は日米の金利差で生じているもので、米国もこれまでの常識からすれば、利上げ可能な幅があと1%程度しか残されていないため、今までのペースの円安は半年も続かない。と記したが、どうやら読み通りの展開になりそうで、我ながら上出来である。

 この「近いうちに」と言うのは恐らく12月で、このタイミングで最後に0.75%の二段飛ばし利上げとなるのか、それとも0.5%に減速するのかが争点になるだろうが、インフレが収まっていない現状を鑑みれば0.75%が妥当な判断に思える。

 そうなれば、自ずと為替も直近半年間の勢いで円安方向に進むとは想定しづらく、水際対策緩和でインバウンドの受け入れも再開していることから、円が買われやすい環境が整いつつある現状を踏まえると、急激に年初の115円に戻ることはなくとも、徐々に円高方向に動くのではないかと踏んでいる。

 とはいえ、毎度のことではあるが、投資は自己責任であるため、間違ってもフルレバショートで、証拠金がショートするような、一発逆転の賭けに出て退場する事態となると、複利の恩恵が受けられなくなるため、しくじっても死なない運用を各々で心掛けて頂きたい。


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