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新NISAも金融機関変更可能。


2024年以降の新しいNISAおさらい。

 投資家界隈では言わずもがな、来年の2024年からNISA(少額投資非課税制度)が大幅に拡充され、生涯投資枠として、非課税枠が1人につき1,800万円(成長1,200万円/積立600万円)、年間の上限が360万円(成長240万円/積立120万円)で設定され、2023年までのNISA非課税枠とは別枠の扱いとなる。

 そのため、駆け込みで証券口座を開設して、今年1年分の非課税枠(一般120万円、つみたて40万円)を別枠で貰えた方が、リスク資産に投資できるだけの余裕資金がある人にはお得感があるかも知れない。

 絶対にお得とは記せないのは、NISAの性質上、利益が出た時におよそ2割の税金が発生しない反面、損失を出した場合には、課税(特定、一般)口座の利益と損益通算が出来ないデメリットがあるからだ。あくまでも投資先が数年後に利益を出した時になって初めて非課税メリットを享受できるのであって、投資先が損失を出した場合には目も当てられない。

 それにつみたてNISAの非課税保有期間は最大20年で、金融庁のお墨付きが得られている投資信託でしか枠を使用できないため、過去の統計上、15年以上保有し続けていれば報われる可能性が高いが、非課税枠が3倍大きい一般NISAは5年と短く、2023年までの現行制度廃止によって、ロールオーバーの措置が取れなくなることから、5年以内に利益を出さなければ、NISAで運用する意味がなく、投資初心者には向かない仕様だろう。

非課税保有限度額は国税庁が一括管理。

金融庁のWebサイトにいつの間にかQ&Aが。

 そんな新NISAで私が懸念していたのは、これまでのNISAと違い、生涯投資枠の概念が加わることから、金融機関変更が柔軟に出来なくなるのではないか?の一点だけが不安材料だった。

 つみたて投資枠で投資信託を積み立てるなら、ポイントが付与されるクレジットカードを組み合わせて、長期・分散・積立に徹した方がお得感があるし、成長投資枠で個別株やETFを保有するなら、売買手数料が無料の証券会社が良いが、1社で2つを兼ね備えているとは限らない。

 仮にクレジットカードによる投信積立を、上限の月5万円行うとして、カードの還元率が0.5%と1%では、年間に付与されるポイントが3,000円相当額ほど違いが出る。

 成長投資枠でも同じ投資信託を積み立てる予定で、年間60万円を30年掛けて生涯投資枠を埋めるつもりなら、クレジットカード積み立ての還元率が高いカードと証券会社の組み合わせが最適解と言える。

 しかし成長投資枠で、個別株やETFの売買したいと考えるなら、目先の3,000ポイントではなく、年間投資上限枠の360万円からクレカ積み立ての60万円を差し引いた、300万円分の金融商品を売買した時に要する売買手数料が、年間3,000円を超えないか、試算すべきだろう。売買代金の割合にして0.1%で、証券事業単体の手数料収入で利益を確保しなければ経営が成り立たない証券会社だと、シビアな水準と言える。

 だからこそ、ライフステージやその時々に応じて、証券会社が変更できる選択肢があることが重要で、生涯投資枠を国税庁が一括管理することにより、証券会社のシステムを跨いでも新NISAの非課税限度額が反映される予定でひとまず安心している。

 金融機関変更届を出すのが面倒だが、最初の4〜5年は売買手数料が一定額まで無料の証券会社で、ちまちま買い注文して、まとまった金額の金融商品を保有してから、金融機関を変更して、クレカ積み立てのポイント還元率の高い会社で淡々と年間60万円積み立てて、最高効率でポイントを受け取ると言った戦略を採用することも想定できる。

マイナンバーを活用できないものか。

 そんな個人的には何気に重要視しているNISAの金融機関変更だが、国税庁が一括管理なのが、どうにも気に入らない。別に脱税を企てている訳でなく、マイナンバーと言う個人を特定するユニーク番号の枠組みを作ったのだから、こう言ったシチュエーションで利用した方が、証券会社を跨いだ非課税限度額の管理がシームレスになると素人ながら思ってしまう。

 世間ではポイントのばら撒きに釣られて発行したものの、昨今の相次ぐ不祥事からか、新しいものを理解できないのか、受け入れられないかは定かではないが、ポイントだけ貰ってそそくさと返納している、ならず者が一定数居るようでデジタル後進国振りを思い知らされる。

 デジタルに完全移行することで、これまでのアナログマンパワー非効率至上主義と比べて、行政コストが大幅に削減できる可能性があるから、保険証や運転免許証などの、あらゆる情報を一元管理しようとしているのに、感情論で返納して、アナログに逆戻りさせる形で足を引っ張るのは如何なものかと思う。

 不安を煽るような報道ばかりのマスコミもどうかと思うが、情報の真偽や、何が大切かを見極めるリテラシーが十分でなく、テレビの情報を鵜呑みにしてしまう、受け取り手側も残念だが、テレビがどの年代向けに作られているかを鑑みれば、返納している年代は推して知るべしで、是非ともマイナンバーカードではなく、運転免許証を返納していただきたいものである。


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