散財の元凶、大体ストレス。
LCC利用前の手回り品点検。
LCCに乗るなんてコロナ振りか。偶然にもタイムセールで成田便を安く購入できたことから近々、3年振りにLCCを利用するが、コロナ前のパッキングした時の記録を振り返る。
しかし持ち物が入れ替わり過ぎていて、全く参考にならなかった。折り畳み傘、財布、キーケース、カメラ以外の携行品は、コロナ禍で新調したり、整理してしまったがために全部別物である。
「デブは甘え」の格言で有名なローランドさんのように、主観で理想の重量だと断言したところで、自信が15kgもあると、確実に手荷物の重量制限に引っ掛かり、ペナルティに近い追加料金を取られるため、重量はシビアに管理しなければならない。
とはいえ、修行僧レベルで持たない暮らしをした結果、引越しの全荷物を宅急便5口で済ませただけあって、体重計やラゲッジチェッカー的な、あったら便利な物など所有しておらず、携行品の重量を一瞬で数値化する術がない。
そのため、ECサイトの詳細情報やメーカーの仕様から、ひとつひとつ調べて、理論値を算出している。iPhoneなら本体＋保護フィルム＋ケース＋リングのように丁寧に算出するが、何だかんだ総重量が本体単体重量の倍ぐらいになるから驚く。
MacBookは物理的に重くなるのが嫌で、スキンシール＋キーボードカバーに留めている節はある。タッチパネルを頑なに採用せず、クラムシェル型だから、保護フィルムを貼るほど汚れないのは、案外MacBookの利点なのかも知れない。
とはいえ、厳格に家計簿をつけると2割くらいの使途不明金があるように、携行品の重量も理論値を算出しても、2割増くらいの下駄を履かせておいた方が、超過料金を取られずに済むだろう。
また、往路はLCCで良くても、復路でお土産を持って帰りたいなら、最初からフルサービスキャリアを選ぶか、旅行先最終日にディスカウントストアで段ボール箱でも調達して、宅配便で送ってしまった方が良い。こういう時に備えて、ガムテープは現地調達せず、1〜2mほどをコンパクトにして持っておくと何かと重宝するのは、旅好きの経験則である。
注文履歴を遡り、過去を客観視。
そんなこんなで携行品の重量調べで注文履歴を遡っていたところ、のど飴やら、漢方薬やら、鼻炎薬やらを、それなりの頻度で買っていた時期があることに気付く。
鉄道員は泊まり勤務で、判断ミスが旅客の命を左右しかねない割に、仮眠時間も充分とは言い難く、特に乗務員は出退勤時間が毎回違う変則的な勤務形態故に、リアル風邪は万病のもとに陥りやすい。
そして何より成り手不足もとい奴隷不足のため、どこの職場も定員割れ。残業や休日出勤ありきのシフトで回しているものだから、インフルエンザやコロナのように、厚生労働省が1週間とか2週間休めとガイドラインで示されている感染症でもない限り、突発的に休むと復帰時に犯罪者扱いされる風潮が根強い。
何せ遅刻、早退しただけでキャリアに響く、悪しき慣習がある唯一と言っていい業界である。ダメリーマン伝家の宝刀、寝坊したから半休など以ての外で、そうした体育会系同調圧力のおかげで、日本の鉄道は時間に正確かつ、滅多に運休しない所以となっている。
無論、そのしわ寄せが従事者に行き、ちょっとやそっとの体調不良では休めないのが現状で、喉が痛くなったらのど飴、それでもダメなら漢方薬。
運転取扱者は眠気が出る薬を服用すると、運転取扱禁止となるから、鼻炎薬や解熱鎮痛剤は非番や休日しか使えず、結果として20代前半にも関わらず、1ヶ月間体調不良が続くこともザラにあった。
早期退職で部外者となった今では、斜陽産業のキャリアとか、クソほどどうでも良かったのだから、気にせず休めば、もっと身体を労われて、20代半ばで壊れることも無かったのではないかと思う節はあるが、全て後の祭りである。
生活のために仕事をするのであって、仕事のために生活しているのではない。仕事をしたことで体調が悪化し、その気休めのために服用する市販薬代は、決して浪費ではないが、仕事をしなければ支払う必要のないコストに他ならない。
お金に色はないものの、取引した数字は記録される。履歴を遡ってみて初めて、かつての自分が、どのようなものに対して、労働の対価である賃金を支払っていたのかを客観視する運びとなった。
ストレスは判断能力を歪める。
さて、冒頭に「引越しの全荷物を宅急便5口で済ませた」と伏線を張った程度に、今では所有物を厳選しているが、振り返れば10代最後の2年間は散々たるもので、衝動買いでECサイトの段ボール箱を積む愚行を繰り返してた。
同級生の大半が、大学で人生の夏休みと揶揄される、キャンパスライフを謳歌したり、専門学校で学生生活を延長する中、残業しなければ手取り13万円のエッセンシャルワーカーとして勤めていた。
新米社会人とはいえ、各方面にこき使われるストレスは相当なもので、ネットでポチることで、同級生より少しでも経済力がある優位性を感じては、自尊心を保とうとする程度に、元来の無欲さを見失っていたのは確かである。
面白いことに、その時ポチった数多の代物は、本心では大して必要なものでは無かったためか、肌感覚として1割も残っていない。ものの数年の出来事である。
残った1割も大半が売り物にならなかった残り物で、わざわざ捨てるほどのゴミでもないため、資源として壊れるまで有効活用すべく、使い潰しているに過ぎない。
かつての私が経験したように、ストレスが判断能力を歪め、散財に走ってしまう事実を、我々は厳正に受け止めなければならない。
そして国民的RPGではないが、元凶であるストレスから「たたかう」のか、「どうぐ」を使って対処するのか、「ポ○モン」という名の身代わりを用意するのか、「にげる」のか。
一応、今年の早期退職でようやく「にげる」コマンドを選択して、一通り経験した身として、圧倒的に「にげる」が散財しない。毎日が平和なのだから、当然といえば当然ではあるが、散財に思い悩むようであれば、生活環境の変化した方が良いサインなのかも知れない。
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