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新年度、真っ先に建てる計画は休暇一択


×働くために休む→○休むために働く

 新卒だとなかなか難しい側面もあるかもしれないが、組織人は新年度になると、何かしらの目標をこなすための計画を、実行するかどうかは別にして建前上、立てることになるだろう。

 私が組織人だった頃、新年度になって真っ先に休暇計画を立てていた。鉄道員はシフト勤務のため、人事異動さえなければ、1年先まで自身の勤務シフト(=公休)を逆算できる。

 そのため、祝日に働く代休が何日、前年度から繰り越した、何がなんでも使わなければならない年次有給休暇が何日、今年度に付与される年次有給休暇が何日と、最低限〜最大限取得できる年次有給休暇の日数を把握して、どの月に何日使うかを、計画するところから新年度を始めることが多かった。

 あまりの用意周到さと、就労意欲の低さに周囲から笑われる体たらくだったが、労働先進国ドイツでは一年の休暇計画を立てることから始まる。

 前もって誰がどの期間にバカンスを過ごすかが分かれば、事前に職務の分担ができるからだ。担当者が1ヶ月不在でも問題にならない仕組みになっており、誰だって長期休暇は取りたいものだから、お互い様の精神で、社会全体でそれを許容する文化にもなっている。

 仕事で高いパフォーマンスを発揮するためには、体調管理が必須であり、自身の体力に応じて、いつ休むのが最適なのかを事前に計画立てるのも、立派なマネジメントだ。

 休暇の捉え方が、労働後進国日本の「働くために休む」感覚とは正反対で、「休むために働く」感覚が近い。

 スマホのバッテリーで想像すれば分かりやすいが、まず最初に行うのは充電のはずだ。当たり前だが動力源がなければ動かない。労働も同じはずだ。土日で満充電した状態で月曜日を迎え、ジリジリと残量を減らしながら金曜日を迎えて、土日で再度満充電するのが自然だろう。

 しかし、多くの日本人は満充電できないまま月曜日を迎え、金曜日に空っぽになるまで働き、土日で平日の疲れを精算し、また満充電できずに月曜日を迎えるループに陥っているように思う。これでは労働生産性が上がるわけがない。

平日を丸々休む、セルフ大型連休の重要性

 私は高卒で駅員となったが、いわゆる一般的には当直と呼ばれている、24時間拘束の交代勤務がデフォルトで、当たり前ではあるが、5/7くらいの確率で平日休みがまわってくる。(厳密にはシフトのパターンによって確率変動する)

 そして、当直と言っても交番のように24時間稼働している訳ではなく、終電〜初電の間は仮眠を取るため、拘束時間としては24時間でも、実働時間としては2日分程度に調整されている。

 これが何を意味するか。泊まり勤務の休暇は2日で1セットが基本となるため、MAX年20日付与される有給休暇は、泊まり勤務を10回休めば使い切れるうえ、交代制ゆえに自分がやらなければ滞る類の業務も皆無であるため、身代わりとなる要員不足さえ深刻化しなければ、典型的な日系企業のサラリーマンよりも有休を100%消化しやすい環境と捉えられる。

 泊まり勤務が連続する時に4〜6日分の有休を使い、公休と合わせて7〜10日程度のまとまった休暇(私はこれをセルフ大型連休と呼んでいた)を、1年間で1〜3回取得するために、綿密な計画を年初に立てては、大々的に「だいぶ先ですが、何月のココ休みますんで」と、拒否する理由がない閑散期を狙い、予め宣言して休みを死守するように努めていた。

 学生の長期休暇が終わると、平日5日間+土日を合わせて1週間を丸々休むような休暇の取り方が、転職時の有休消化でもしない限り、定年するまでできない人はそれなりに居るように思うが、世間が働いている平日に、月〜金まで休むセルフ大型連休を一度味わうと、毎年それをやらずにはいられなくなる中毒性がある程度に推せる。

過労で死ぬなんて日本以外には無い概念

 現に乗務職場に移ってから、勤務の構造上それが難しくなったことで、ドイツ式のリフレッシュスタイルが崩れ、日本式に劣化したことで、パフォーマンスの不調を感じるようになった。

 そして、コロナ禍でリフレッシュそのものが難しいご時世になり、幾許かの時間が経過した時に身体が限界突破し、20代半ばの若さで病に倒れ、1ヶ月弱に及ぶ入院と手術&長期通院を迫られる結果となり、組織人からドロップアウトして、今は年単位のセルフ大型連休を満喫している。

 そもそも自分が居なければ業務がまわらない発想そのものが幻想でしかない。カリスマ経営者と神格化されていた、ジョブズ亡き後のAppleは今も時価総額を上げ続けている。

 ブラックを通り越して漆黒企業だと、「嫌なら辞めろ、代わりはいくらでも居る」とご丁寧に自分の首を絞める発言をしてくれる。

 「代わりはいくらでも居る」なら、「いつでも休んで良い」と都合よく解釈できるため、休みを取る際に文句を言われたら、代わりはいくらでも居るんだろ?さっさと補充すれば?くらいの温度感で接し、あたおかな理由で取れない時は労基署にGO!すれば「面倒なやつ」のレッテルを貼られるため、抵抗勢力も次第に弱まる。

 Karoshiがそのまま海外で通じるように、過労で死ぬなんて日本以外には無い概念なのだから、そうならないために、計画的に休暇を取得することを死守するのは必然だと考えるが、いかがだろうか。


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