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犠牲なくして安定なし。

賃金労働者で安定しても面白くない。

 現職が鉄道員ということもあり、世間では安定している業種と羨まれることが多い。自身の価値観では労働は何よりもクソだから、20代のうちに退職するつもりであることを他人に伝えると、「せっかくの安定を捨てるなんて勿体無い」と言われるのはもはや常套句である。

 高卒で社会に出て、同い年が大学生活を満喫している頃から、投資の世界に足を踏み入れ、圧倒的なロケットスタートで20代後半で生活費用と金融資産所得が均衡するに至った。

 その間にはチャイナショックに伴う世界同時株安、コインチェックのネム流出事件、疫病による暴落、某国の軍事侵攻に伴うグローバル経済やサプライチェーンの崩壊に伴う物価高と、保有資産の時価総額が安定しないことは日常茶飯事であった。

 とはいえ、運よく投資方針の大枠が合っているためか、生活費を差し引いた可処分所得のほぼ全額を投資元本に組み込んでいたこともあって、暦年ベースで見れば資産は増減しながらも堅調に推移していた。リスクを取るとはこう言うことである。

 そのため、なぜ世間一般の考え方では、安定を何よりも大事にして、大小問わずリスクそのものを避ける風潮が強いのか理解に苦しむ。リスクを取らなければリターンも得られない。

 失敗を恐れて挑戦しなければ、何もしていないのだから、成功することもない。安定していると言えば聞こえはいいが、正確には安定した低空飛行と表現すべきで、階級があるとすれば、少なくとも上流ではないであろう賃金労働者であり、能動的で何も変化しない人生ほどつまらないものはない。

 脳内では某魔法少女アニメに出てくるウサギのようなマスコットキャラのボイスで、ワケガワカラナイヨ。どうして君たちは良い大学を出て、良い会社に勤めると言った、レールの上を進んでいれば、良い人生が送れると思うんだい。などと再生される。

世の中が変われば正解も変わる。

 若くて健康な時間の大半を労働に費やし、それも多くは時間の切り売りで、定年まで半世紀近く勤めても得られる賃金や累計2億円前後。自分の人生の主導権を雇用主に2億円で売り払っている様なものである。それも2割以上は税金や社会保険料として国や地方自治体に徴収される。

 そうして人生の最期に生き様を振り返ると、仕事漬けで自分の人生を歩んで来なかったことに初めて気付く可能性が高く、最期の段階で後悔したところでもう手遅れだ。

 大衆が求める経済的な安定というのは、組織に生殺与奪権を握られることで成立していると言っても過言ではない。GDPが右肩上がりだった高度経済成長期からバブル期までは、それでも良かったのかも知れないが、少子高齢化で人口減少している昨今では、日本経済全体のパイが縮小しているのだから、定年よりも先に勤め先が寿命を迎える可能性も十分に考えられる。

 かつての日本航空や夕張市のように、大企業や公務員ですら悲劇的な結末を迎えた例があるのだから、一寸先は闇で自身の勤め先は大丈夫と傲慢になっていると、手痛いしっぺ返しを食らう羽目になるかも知れない。

 それくらい、日本社会が不安定なのだから、大企業サラリーマンや公務員が安定という先入観は通用しない時代になりつつあり、自ずと取るべき行動も変わってくるのではないだろうか。

 組織に縛られない生き方が正解かは、未来になってみないと分からないが、少なくとも、永続するかも定かではない組織に縛られ、人生の主導権を握られる道に正解など見当たらないだろうから、サラリーマン以外の生き方を模索した方が、後から見たときに正解だと思える確率は高いのではないだろうか。

安定は自分で作るもの。

 そうは言っても、サラリーマン以外で生計を立てる方法など、見当もつかない人が大半である。

 それもそのはずで、国も安定的に税金や社会保険料を納めて貰える方が運営しやすいから、どこかの組織に属することで得られる安定収入から、給与天引きで税金などを徴収した方が確実で、取りっぱぐれがないのだから、学校でサラリーマンを量産する教育しか施していない。

 これからは個の時代だと言われたところで、自活する術など殆どの人は誰からも教えられて来なかったのだから、想像が付かなくて当然なのである。

 だからこそ、最初は社会に出てサラリーマンとして賃金を得るしか、生計を立てる手段がないかも知れないが、その間に別の手段、具体的には自営業者、経営者、投資家として生きる道を勉強しながら模索することが重要なのである。

 上記3つの生き方のうち、経営者は従業員から昇進する方法と、自分で会社を立ち上げる方法の2つがあるが、自分が働かなくても会社が機能することが経営者の定義なら、後者の方法を取るべきと言えるだろう。

 そう考えると、3つの道は一見すると従業員と比べ不安定に思えるかも知れないが、個人の裁量次第で安定は作り出せる。個人事業で引っ張りだこな人も居れば、会社経営もニッチなビジネスだとシェアを牛耳れて磐石だったりする。

 投資家も資産は刻一刻と増減するものの、ピケティさんのr>gで経済成長より資本の増殖率の方が高いと証明されているから、時間と複利を味方にすると増減が気にならなくなるほど指数関数的に資産が増えたりする。

 私は社会不適合者故に商売人はできそうにないため、投資家の道を選んだが、資産規模が大きくなるにつれて毎日の増減額が月給以上だったりする。最初の頃は毎日価格変動が気になったが、今では誤差だと思えるほどで、長期で見れば相場が悪い時期でも年平均4%以上のプラスで推移しており、期待値に類似する結果が個別株運用で出せている。

 だからこそ、失敗しても修正が効く20代のうちに、従業員としての生き方を手放し、専業投資家の道に進むことで、人生の主導権を他人に握らせることなく最期まで逃げ切れるのか、身を以て証明する壮大な実験を来春に決行すべく、ポートフォリオを調整している最中である。


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