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楽して儲けようとするからカモられる。


疑うのはタダ。騙された代償は高くつく。

 風の便りで電鉄会社に勤める知り合いが、ワンルーム投資で失敗したというメシウマなネタで嘆いていると聞き、私はその話題をざまぁみろでバッサリ切り捨てた。ド◯えもんと違い、困った時に助けてくれるほど人柄は良くない。冷静に考えて、巻き込み事故をお見舞いされたくはないから、これが最適解だろう。

 この手の詐欺紛いなスキームは、金融リテラシーがないと引っ掛かる可能性が高い。だからこそ、自分が都合の良い情報を並べられると、簡単に騙されるポンコツ素人だと自覚したうえで、出来が良すぎる話は、何か裏があると懐疑的になるべきである。

 騙されると高い代償を支払う羽目になるが、疑う分にはタダな訳で、騙す側の思惑を読み解く過程で得られる知見もある筈だ。

 とはいえ、世間では24年から始まった新NISAには裏があると信じて疑わない人と、それに賛同する者が一定数居るのも事実で、何とかの一つ覚えで、取り敢えず疑うのも、それはそれで生きづらそうではあり、やはり一定程度のリテラシーを持ち合わせていることが大切である。

 しかし、良い大学を出て、安定的な大企業サラリーマンのような、ある程度の社会的地位で落ち着いている人ほど、お金のことを真剣に考えなくても、人並みにやっていけてしまうからか、お金を稼ぐ能力はあっても、防御力が皆無で大した資産は持っていなかったりする。

 辛辣に記すなら、負債を資産だと思い込んで買っていて、バランスシートの純資産相当額がゼロやマイナスになっているが、当の本人はそれに気付いていない。

 そうして大企業に勤め年収にして500万円以上の、金融機関からワンルームを買うのにちょうど良い3,000万円程度の融資を受けられる、リテラシーのない愚鈍な若者が、職場の顔見知り経由で話を持ちかけられては、実態として毎月2万円以上のキャッシュが出ていくだけの負債を掴まされているのが、ワンルーム投資に対する私のステレオタイプもとい個人の感想だ。

仕組みが理解できないものに投じない。

 「いつも半額、いつまでも半額」どこかで見たコインランドリーのキャッチコピーを見て、失笑したことを未だに覚えている意味で秀逸な広告宣伝だが、これもワンルーム投資同様、儲け話に乗せられた愚者が、サンクコストを少しでも回収しようと安売りしている訳で、構造上、客単価が下がる一方なのは想像に難くない。

 つまり、儲け話を持ちかけた側が提示する想定利回りなど、往々にして絵に描いた餅同然で、本当に投資物件として儲かるのであれば、赤の他人に紹介せずに、自社で運用すれば良い訳で、頭が回る人は、おおよそこの辺りで察して業者とは適当に距離を置く。

 小銭を持っていながら、適切な資産の運用方法が分からないが故に、業者に言われるがまま契約する愚鈍な奴が高い代償を支払っては、私みたいな奴が固定資産税の足しにもなるか怪しい家賃や、ご立派な業務用のドラム式洗濯乾燥機を安く使っている。

 現在の法律上、固定資産を運用できる財力のある人は、社会的には強者側であり、相応のリテラシーを有している前提のため、基本的に騙されるのはあり得ない想定で、業者が詐欺として立件されることはないどころか、下手に実名を出すと威力業務妨害で訴えられるリスクすらある。

 タチが悪いのは、騙された代償が大きい案件ほど、金融機関からお金を借りられるだけの社会的信用力がある、高年収ハイスペリーマンである可能性が高く、こうした属性の人は見栄やプライドから誰にも相談せず、一人で抱え込み表面化すらしない。

 RPGではないが、年収400万円にはそれに見合った詐欺師が寄ってくるし、年収1,000万円でも、それに対応した詐欺師は、そこら中に潜んでいると思っておくべきで、人生で騙されたくない人は、片時も油断してはならない。

 だからこそ、自分が仕組みをよく理解できていないようなものに、身銭を投じてはいけないと言う、小学生でも理解できるであろう、至極真っ当な結論に行き着く。

自分を題材にして、お金について学ぶ。

 別に常にそろばんを叩き続けて、経済的合理性を追求するスタイルが人生のあるべき姿だと主張したい訳ではない。そんな人生はつまらない。と記しておきながら、私はそろばんを叩いては、つまらないor奇異な選択をすることが往々にしてある。

 シンプルに、つまらない儲け話に騙されて、お金や時間を浪費してしまう人生はもったいない的な考えのもと、カモられないためには、相応なマネーリテラシーを身につけておくに越したことはないと、今の高校生が受けている金融教育で伝えたいことと、ほぼほぼ同じと思われる。

 とはいえ、いくら机上で教わったところで、実生活で活かせなければ大した意味をなさないことから、自分を題材にお金について経験しながら学ぶのが最も効果的ではある。

 その取っ掛かりとして、給与明細から差し引かれている税金や社会保険料の算出根拠は何なのか。契約している民間の保険はどんな時に使える内容なのか。保障内容(保障、保証、補償は読みが同じでも意味が違う)の重複はないか。そもそも公的保険でカバーしきれないリスク小、損害大のアクシデントを、具体的に想定した上で民間保険の契約に至っているのか。

 この辺りを突き詰めるだけでも、相当なマネーリテラシーが身に付く筈である。サラリーマンの多くはこれすら知らず、馬車馬よりも酷な環境で働き、税金や社会保険料が高いと嘆いては、所得控除や税額控除を大して活用することもなく、可処分所得で民間の保険を契約して、やれ働けど楽にならないだの、お金がないだのと嘆いては、楽して儲かりそうなワンルーム投資みたいな案件で、稼いだお金をカモられる。ボーッと生きてんじゃねーよ。


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