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早期退職後にのしかかる税金。


年金は手続きによって特例免除。

 早期退職に伴い住民税は給与天引きの特別徴収から、普通徴収に切り替わり、手数料が掛かるものの、クレジットカードでまとめて納付した。

 ポイント付与率を鑑みると、上乗せされる手数料の方が若干高くつくが、天下のJALカードnaviは特典航空券で消化するマイルが減額される仕様のため、ポイント利用まで踏まえた総還元率は極めて高く、マイルを手にいれるためなら多少のコストは許容できる。

 当時、社会人学生で収入のある学生だったとはいえ、学生カード故に利用可能額の天井が30万円までと決まっている。

 そのため、賃貸物件の初期費用、住民税、家電と積み上げて2ヶ月分近くの買掛金が積もると、既に残りの枠が10万円を割り込んでおり、引き落とし日になるまでの間、大きな支払いが発生すると決済が通らなくなるため、仙人の癖して消費を自制している最中である。

 そんなことを考えながら、移住後にようやく平日となったため、役場や警察署で面倒な手続きを一通り済ませてきた。住所変更は言わずもがな、社会保険から国民健康保険に切り替わり、年金も厚生年金部分が外れて国民年金となる。

 年金保険料に関しては、失業の大義名分のもとで最大で2年間、特例免除の申請が可能だが、まだ古巣から資格喪失証明書の類が送付されていないため、取り急ぎ切り替え手続きのみに留めた。

 端から再就職するつもりがなく、基本的に給与所得がゼロなら、失業直後は最大限特例免除の恩恵に預かり、翌年以降に総所得さえ67万円以下の全額免除の範囲に抑えて免除申請を行えば、身銭を切らずに国庫負担分の半額だけ納めた状態になる年金フリーライダーの完成である。

遅れてやってくる住民税と健康保険。

 しかし、住民税や国民健康保険に関しては、そうは問屋が卸さない。住民税に関しては前年1月〜12月の課税所得を、年末調整や確定申告で3月までに確定させて、それを基準に住民税を算出して、6月から徴収される形となる。

 つまり年度末で早期退職するオーソドックスなケースの場合、まず退職して徴収方法が給与天引きでなくなるため、6月までの住民税が役場から請求され、6月以降は前年の所得に応じた住民税を支払う形となる。

 日本人の平均年収に近い、400万円で試算するとおおよそ17万円の住民税が退職後にのしかかる計算となる。

 健康保険料に関しても、社会保険であれば、4月〜6月の標準報酬月額に応じて、9月から1年間の保険料が決まるが、健康保険(社保)は月末時点で加入している保険組合に対して、翌月に後払いしているイメージとなる。

 つまり3月末に退職に伴い健康保険の資格を喪失した場合、4月から国民健康保険に切り替わるため、社会保険料として天引きされるのは3月が最後となり、4月分から居住している自治体の国民健康保険料を納付する形となる。年金を特例免除する前提だと、これが最も重い負担となる。

 国民健康保険の場合、自治体によって微妙に異なるものの、大枠の流れは前年の所得に応じて保険税額を確定させ、年度内に何回かに分けて徴収されるため、(3月末に)退職した年は、基本的に前年1〜12月の所得に対して国民健康保険料が算定され、退職の翌年は退職日まで(1月〜3月)の所得を基準に健康保険税額が決定する。

 この時、運良く課税所得が基礎控除の43万円に収まっていれば、申請不要で4月から7割減免が適用されるため、年度末で早期退職する場合、翌年の3月分までの健康保険料と、翌年6月分までの住民税を概算で良いから、余裕資金として確保しておくことが大切である。

 退職金が出る勤め先だったり、財形貯蓄の解約でまとまったお金が入金されるなら、最低でも現役時代の年収の1割程度を、手を付けずに取っておくと健康保険料と住民税の支払いに窮する事態は避けられるだろう。

 豆知識として、健康保険料は自治体の財政状況によって税率に幅があるため、退職後に移住を検討していて余裕のある方は、物件の居住コストに加えて、徴収される健康保険料率まで踏まえた方が、早期退職直後の負担感が多少は軽減されるかも知れない。

税金、社会保険料は最低限に留めたい。

 残業代は月末締め翌月払いが基本だから、3月〜5月に給与が増えると、9月から1年間の社会保険料の負担が重くなるため、それを知っている人は、この期間の給与を抑えるためにあの手この手を繰り出している。

 知らずに繁忙期で残業を快く引き受ける人は、半年後に痛い目に増額された社会保険料でボディーブローをお見舞いされ、また年度末の繁忙期になると、お金欲しさに残業に飛びつき、本人が稼ぎ続ける限り、保険料が右肩上がりのループから抜け出せない。

 どれだけ多額の保険料を納めたところで、保険適用医療の窓口負担は3割と、受けられる便益は同じどころか、高額療養費制度などは低所得者ほど負担が少なくなる仕組みになっているのだから、納める保険料は少ないに越したことはない。

 とはいえ、社会保険は健康保険と年金がセットで考えられており、現役時代の掛け金が多ければ、その分だけ将来もらえる厚生年金も増えるため、保険料が高くても将来報われるとの謳い文句がある。

 しかし、日本の年金制度は賦課方式と、現役世代が納付した保険料を、老齢給付の財源としているため、構造上、人口ピラミッドが逆三角形の超少子高齢化社会のまま推移してしまうと、老齢給付は減額せざるを得ない。

 ミレニアル世代以降、重税の中で必死に団塊世代を支えたところで、自分たちが支えられる側になる頃には、支える現役世代の数が更に少ない。少子化の現状を見る限り、その苦労が報われる可能性は限りなくゼロに近い。

 現に厚生年金は労使折半だが、使用者が支払っている分は本来、労働者が給与として受け取れる筈の対価であるが、それを含めた平均支払い保険料と、平均寿命から受け取れるであろう老齢給付を計算すると、ほぼ全員が払い損となることが橘玲さんの本で指摘されている。

 年金はアテにせずに、法定免除で合法的に国庫負担分の半額だけを、身銭を切らずに納めた扱いにして、遺族年金や障害年金の保険機能として割り切り、納めずに済んだ16,520円を個人で運用に回した方が、積み立てている分、確実に報われることだろう。

 その考えのもと、あくまでも合法的な範囲内で税金、社会保険料を削ぎ落とし、便益は最大限享受する生き方が、没落する日本社会で、海外に逃げ出せるだけの何かを有していない者の生存戦略となるのかも知れない。


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