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最近の金融市場動向(2023年1月)

2022年の株価指数は散々たる結果に。

 昨年の2月に某国の軍事侵攻が始まったのを機に、金融市場が荒れそうだと察し、備忘録を兼ねて月末にひと月を振り返る記事を作成し始めたが、その時に、「そろそろ米国株式がマイナスリターンの年が来てもおかしくない。」と記していた。

2022年を振り返ると、NYダウが8.6%のマイナス。S&P500が19.3%のマイナス。日経平均が8.9%のマイナス。と想定通りの結末を迎える運びとなった。

 外貨建て資産は円安(115円→130円)の影響から、円換算では相対的に1割以上プラスに働いているため、S&P500指数が2割近く下落している実感は沸きづらいものの、リーマンショックに次ぐレベルのマイナスリターンとなった。

 コロナショックはFRBの金融緩和によってV字回復したため、2020年のリターンはプラスで推移しているが、この反動が今になって利上げやインフレの形で現れているのは考え物であり、リーマンショックのように尾を引かないことを願うばかりである。

米メガテック株持ち直しか?

 2022年に話題に事欠かなかった、FRBの利上げ祭りが早ければ今春に停止する期待感から、GAFAを筆頭に米国のメガテック株が持ち直しつつある印象はある。

 とはいえ、年末にポジションを解消した投資家たちが、新年になって買い戻す傾向(リターン・リバーサル)があるため、ファンダメンタルズ要因で持ち直していると言うよりは、単純に需給のバランスが変化して上昇しているようにも捉えられる。

 肝心の業績は疫病禍の巣篭もり需要が一服しつつあり、パッとしない。特に柱となる広告収入は、ながらスマホが問題視される程度に、人類の可処分時間をWeb上のプラットフォームに割くのが既に天井になりつつある感は否めない。

 あくまでも主観だが、今後もここ数年の勢いでPVが爆発的に増加する程、パイが拡張するようにも思えず、2021年までの勢いに陰りが見え隠れしているように思えてならない。

 これまでは例えGAFAに陰りが見えても、それを代替するだけのITプラットフォームが不在だったが、ここ数日話題となっているChatGPTは、GAFAに取って代わる可能性もゼロではない代物の可能性も否めない。

 ChatGPTは、米サンフランシスコの人工知能研究所であるOpenAIが開発中のもので、非営利法人と営利法人の共同研究という、これまでのGAFAとは異なる組織の枠組みから生まれたもので、上場もしていない。

 Microsoftの検索エンジンに搭載を考えていたり、関連銘柄であるNVIDIAが恩恵を受けるなんて話題も出ているが、大元が上場していないため、仮にChatGPTが革新的技術だったとしても、金融市場が受けられる恩恵は限定的である。

 それどころか、期待によって押し上げられたGAFAをはじめとする、メガテックの時価総額を吐き出す形で、市場から資金が流出する可能性すらあり、これまでのように資産形成の主軸として、米国のハイテク株に集中投資することが有利な時代ではなくなる日が来るかも知れない。

 いくらインデックスファンドでも、非上場の銘柄を組み入れることはできない。指数に連動させることは、信託報酬などのコスト面で有利に働く側面はあるが、日経平均のように指数の中身に魅力的な銘柄がないと、現在資産形成をしている人の多くが、全世界株式や米国株式で積み立てている様な状況に、米国株式もなりかねない。

レバナスは滅びぬ、何度でも蘇るさ。

 レバナスの力こそ株クラの夢だからだ!2021年頃までSNS界隈で蔓延っていたレバナス民の内容をざっくりまとめるとこんな感じだが、3分間待っている間に、某国の大統領とFRBの議長が、示しを合わせて滅びの呪文を唱えた結果、SNS界隈が浄化された現在に至る。

 投資商品そのものにケチをつけるつもりはないが、購入している人の多くが、リスクとリターンは表裏一体であることを忘れているように思えてならない。

 2021年までに凄まじいスピードで資産が増殖したと言う事は、それだけのリスクを負っていたことに他ならず、そのリスクが2022年に表面化したまでである。

 日経新聞の「FIRE甘くなかった」の記事が典型だが、中身もよく知らないままに儲かりそうだからと大金を投じるのは投資ではなく、投資商品を買ってギャンブルをしているようなものであり、資産形成とは言い難い。

 そもそも、レバレッジをかけたいのであれば、自身で信用取引を行えば良い訳で、わざわざ割高な信託報酬を払ってまで、運用会社に信託する意図が私にはよくわからない。

 自分では信用取引が出来ないと判断している時点で、商品特性やリスクがよく分かっていないのだから、それにコストを掛けても、ファンドに中抜きされるだけで期待リターンを悪戯に下げるだけである。

 資産運用における最大の障壁は先送り癖だが、2番目を挙げるとするなら運用コストだろう。バフェットの名言にもあるように、時間をかけてお金持ちになろうとする人は居ない。

 しかし、今すぐお金持ちになりたいからと、ファンドが儲かるハイリスク商品に手を出して、一発逆転を狙っているうちは手数料負けを繰り返して、中長期での蓄財が思うように進まないか、仮に一山当たったとしても、個人のお金を扱う器が追い付いていない可能性が高く、宝くじの高額当選者のような状況になりかねない。目先の相場に一喜一憂するのではなく、次の上昇相場を見越して学びながら種蒔きをする方が、相場に永く留まり続けられるかも知れない。


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