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株式は別に買わなくても良い時に買う。

買いたい時ほど売り注文&下調べ。

 5月が終わり、2年連続で「Sell in May」のアノマリーが外れた日本株市場だが、海外投資家が値嵩株を物色しているものと推定され、日経平均株価ほどの恩恵がない人が多数派だと、SNS界隈の様子から勝手に想像している。

 とはいえ、個人的なポートフォリオでも、月次で2〜3%の上昇で推移したことから、上昇トレンド感が醸し出されているのは確かで、株式市場が好調な時ほど、ポジションを増やして利益を増やそうとしたくなるのが、人間の性と言うものである。

 とはいえ、日本株は米国株と異なり、ここ30年の株価指標に限っては、右肩上がりで成長している訳ではなく、未だにバブル期の最高値である38,000円台に届いていない。

 このことからも、市場全体にマルっと投資して、長期スパンで全体で見ればプラスになるかは、取得単価に影響する可能性が高く、言わずもがな安い時に投資した方が有利なのは間違いない。

 「別に今じゃなくても良いと思った時にするものが結婚だ」と誰かが言っていたが、これは心に余裕のある時に、重要な決断をすべきと捉えれば真理を突いている。

 株式もまた、別に今じゃなくても良いと、思えるだけの余裕がある時に、銘柄を選定して、落ち着いた頃に買い注文を入れた方が、割合上手く行く可能性が高いように思う。

 そのため、私は過熱感が見られる時ほど、ポートフォリオの時価総額や、セクター毎の配分を鑑みて、リバランスするための売り注文を出す。上昇基調の時に売るのは、何だかもったいない気持ちになり勇気が要る。

 しかし、そこで現金化した資金が、過熱感が一服して低迷し始めた時に、買い入れるための原資となるため、売ろうか悩む銘柄は指値で売り注文を入れ、買いたい銘柄を下調べしては、割高だ。今の株価じゃ買えないとボヤいている。

神は細部に宿る。

 よく片付けとか断捨離で、捨てるか悩む時点で、本心では要らないもの。必要なものを手放そうとは思わない的な教えがあるが、株式投資でも同じだ。生涯保有するつもりの銘柄は、まず売ろうとは思わない。

 売ろうか悩む時点で、直感は売った方が良いと思っている証拠で、選別眼に自信がある方は、第六感とも言える直感に従った方が、後々売って良かったと思える局面が来るはずだ。

 個人的ファインプレーは、資金繰りに困っている訳でもなく、何となくで損切りした銘柄で、数日後に汚職事件が発覚したものの、売却済みで貰い事故を免れたことがある。

 因みに投資する目的や、価値観、人生観に直結する部分なので、人によるとは思うが、不祥事が杜撰な管理などで、起こるべくして起きた組織は、どれほど指標から投資妙味があっても、その企業に資本を投下したいとは思わない。

 ゾンビ企業が陥りがちだが、この手の組織は基本的に自浄作用のカケラもなく、世間が忘れた頃にまた同じことを繰り返すからだ。そんな組織に資本投下して茶番劇に参加したくもなければ、肩入れもしたくない。

 また、社員を大事にせず、手駒のように扱う組織は、似たような環境で身体が壊れた身としては、想像するだけで耐え難く、虫唾が走るため、投資に値しない。

 基本的には、こんな会社が世の中に増えたら良いと思えるような所に、身銭を切って投資したいものである。

 「神は細部に宿る」ではないが、財務諸表に現れない部分まで大事にする会社ほど、数字だけ取り繕っている会社と比べて、指標では見劣りするのが常だが、後者はいつか綻び、高い代償を支払うことになり、前者には数字以上の良さがある。

 売りは直感でも良いが、買いは情動で動くとロクな目に遭わない。今から監視銘柄を細部まで深掘りして、数字以上の良さを感じ取れるものを見極めてから、買い注文に至っても決して遅くはないだろう。

余裕の無さは判断ミスの元凶に。

 恋愛でこの人しか居ないと一途になるよりも、駄目なら他をあたれば良い位の温度感で居た方がモテやすいように、投資もこの銘柄以外ないと全力ベットすると、ほんの一握りの人は億り人になるものの、殆どの人は大火傷して終わる。

 駄目なら損切りして、他の銘柄に投資し直せば良いくらいの、余裕を持ちながら打診買いした銘柄の方が、肌感覚としてもトータルリターンは高く、余裕のない時の判断は間違っている可能性が高い。

 振り返れば、社畜時代に原因不明の体調不良に悩まされ、身体が持たないのではないかと、漠然とした不安感と現状を変えたい一心で、大学での学位取得、資格取得、転職活動をフルタイムと並行していたが、二兎どころか四兎を追うこの判断は誤っていた。

 本当は休みを取って精密検査をした方が良かったものを、ストイックに過ごしたものだから、ある日突然、発作で倒れ、入院、手術。先日のダービーで亡くなった競走馬の、ガクンとペースが落ちたり、倒れる直前の無反応さは、かつての自分と重なった。

 そうして1ヶ月近くの入院生活で、あまりにも暇すぎて選定した日本株9銘柄のうち、1銘柄損切り、2銘柄は鳴かず飛ばずだが、後は大幅益で推移した。

 友人からは入院中、暇なのは分かるけど、何も株取引しなくても…と言われたが、別に買わなくても良い時期に、物色した銘柄が軒並み好調で、退院時に窓口で精算した費用は、株の利益でペイ出来ていた。

 それに加えて、恐ろしく高い保険金、俺でなきゃ見逃しちゃうね。の精神でちゃっかり全労災から保険金を受け取っているものだから、1ヶ月間入院してお金が増える謎現象が発生した。

 時間にも心にも余裕があったからこそ、良い判断ができたことによる賜物だと思うと、日頃から余裕のある生活を心掛けることが、専業投資家に取っては何より重要なのかも知れない。


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