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最近の金融経済動向(2023年6月)

日本株、リバランス売り警戒で軟調か。

 年初来で2割以上の上昇をしていた日経平均株価が、6月下旬から上値の重い展開となっている。これまで投資に興味を持たなかったパンピーがセミナーに参加しているようで、靴磨きの少年を彷彿とさせる天井感が半端ない。

 とはいえ、あくまでも円建てで見た時の光景であり、ドル建てで見た日経平均株価は円安の影響もあって、我々が思っているほどの過熱感は見られず、国内外で温度差が凄まじいように感じる。

 そんなことを思った矢先の軟調な相場だが、これはGPIFや企業年金の運用に際して、四半期毎にポートフォリオの配分を調整するリバランスで、好調だった日本株を売り、その資金で国債などを買い増すのではないかとの見方が強く、リバランス売りが殺到する前に利確してしまおうとの思惑が働いている説が濃厚であるが、真相は定かではない。

 そもそも日本株の売買の6割は海外投資家とも言われているため、4割の円建てで取引している我々が、いくら過熱感を感じても、海外勢が力こそパワーで買い支える可能性も否めない。現にバフェットさんの投資会社であるバークシャーが、商社株を買い増しした話は記憶に新しい。

 大事なのは、きっと上がるだろう、そろそろ下がりそうだと経験則や直感から決め込んでポジションを取るのではなく、どちらに転んでも爆死しないポジションの取り方。煎じ詰めれば長期、分散、積立に徹することである。

FOMC利上げ休止も0.5%の追加示唆。

 先述の円安に繋がる部分でもあるが、6/13、14にFOMCが昨年から10回に渡って行ってきた利上げを休止し、金利は5〜5.25%の状態を維持している。

 とはいえ、市場は年内に利下げする思惑を先取りしたような値動きとなっていることもあり、7月以降に追加で0.5%の利上げを示唆して、実態の伴わない過熱感が出ないよう市場に釘を刺している状況だが、市場参加者はそれを信じていない。

 8ヶ月前の記事を公開した時点で、日本が公定歩合を引き上げ過ぎてバブル崩壊に至ったのを鑑みて、「米国経済がどれほどインフレしていようとも、ドルの利率を6%以上に設定するとは考えにくい。」と踏んでいた。

 夏に今回の追加利上げが実行され、それで打ち止めであれば、金利は最大で5.75%と私が8ヶ月前に読んだ通りの展開となりそうである。

 別に未来余地の能力がある訳ではない。もしそんなものがあるのなら、とうの昔に億り人になっているはずだからだ。

 それはさておき、一定程度の正確性を伴う予測ができたのは、社会に出て早い段階で少額から株を持ち、それを機に経済に興味を持つようになり、時間をかけて相応の知識や経験を養っていき、それを絶えずアップデートしているからだろう。

 投資の世界で正しく積み上げたものは、社会と違って裏切られることはなく、相場のメカニズムや歴史的背景から、どの辺りが中央値のシナリオとして妥当かが浮かび上がると、期待値の高い投資先の見当が付く。

 学び直しで大学に在籍しているとはいえ、一度は高卒で社会に出ている。それも悪名高き工業学科の出身と、巷では底辺だと馬鹿にされがちな出自でも、お金について真剣に考え、真摯に相場と向き合いながら学び続けることで、解像度が高く、かつ現実的な未来の経済動向が読めるようになる。

 これらは探究心と継続力さえあれば誰にでも出来ることで、低学歴サイドの私でも出来るのだから、決して難しいことではないだろう。継続は力なり。そう感じたFOMCの利上げ示唆であった。

Tポイント統合で名称消滅。

 ポイ活界隈で激震が走ったかは定かではないが、Tポイントが三井住友FGのVポイントに吸収される形で、来春に統合することが発表された。

 バイトテロ被害で8万ポイント超を保有していることが明らかになった庵野秀明氏と違い、Tポイント経済圏とは無縁な私にとって、蚊帳の外ではあるが、キャッシュレス決済とポイント制度が、これだけ乱立している現状では、小規模なもの同士の統廃合の流れは必然だったのかも知れない。

 興味深いのは知名度の高いTポイントの名を捨て、新参のVポイントに統合される点である。これは今、Vポイントに勢いがあることの何よりの証拠だろう。

 というのも、2024年から恒久化されるNISAで、投資信託を積み立てるのに、クレジットカード決済を通すことでポイントが付与される一角を、Vポイントが担っているからである。

 元々はR証券が始めたように記憶している。当初は年会費無料のカードでも積立額に対して1%還元していたが、信託報酬が低く証券会社側に旨みのない優良ファンドは0.2%に改悪。

 一方のS証券でクレカ積立を行うと、年会費無料のカードで0.5%のVポイントが付与されるため、最近になってR証券が顧客が流れることを危惧して還元率0.5%に足並みを揃えた。

 新NISAの詳細がまだ出ていないため、どうなるかは定かではないが、これまでのように、暦年毎に金融機関の変更ができなくなる恐れがある。

 というのも、生涯投資枠と売却後に枠の再利用が可能となるため、絶賛炎上中のマイナンバーで紐付けでもしない限り、複数の証券会社のシステムを跨いで、1,800万円の投資枠を管理するのは現実的ではないからだ。

 つまり、新NISAで選ばれた証券会社は、1人あたり最大で1,800万円分の積立投資が、提携カードで決済される可能性がある。

 とはいえ毎月の上限が5万円に設定されているため、これが緩和されない限り、カード決済で生涯投資枠を埋めるのに30年もの期間を要するため、全額は現実的ではない。

 そうだとしても、決済手数料を取っているカード会社も、証券会社も、決済金額が増えることはプラスに働くだろうから、水面下で新NISAの顧客争奪戦が行われている訳である。

 それを見越しての統合と考えれば、名を捨てて実を取るCCCの意気込みと、投信積立で覇権を取りたいSMBCの本気度が垣間見える。


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