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収入を得るだけがフリーランス・副業の目的ではない - エンジニア視点で考える

こんにちは。re:shineギグパートナーの青木(@hirofumi_aoki)です。

昨今、働き方の多様化が進んでいる中で、フリーランスや副業として働くことを検討・開始する方が増えてきていますが、ひとえにフリーランス・副業といっても、働く目的は様々です。

この記事では、エンジニアがフリーランス・副業として働く目的の中から、代表的なものをピックアップし、それぞれの目的に合った働き方を紹介したいと思います。

フリーランス・副業の方々にとっては、どのような目的で、どのような働き方をすることが、自分に合っているのかを、改めて考える材料になるのではないかと思います。

フリーランス・副業の目的

フリーランス・副業として働く目的の中で、代表的なものとして、下記3つがあげられます。

・ケース①:収入を得ることを主目的として、既に身につけた能力・スキルを活かして仕事をする
・ケース②:正社員になる前のお試し期間として業務委託で仕事をする
・ケース③:新しい能力・スキルの実践経験を積むために仕事をする

ケース①:収入を得ることを主目的として、既に身につけた能力・スキルを活かして仕事をする

このケースは、今までの仕事を通じて身につけた能力・スキルを主体として活かせる仕事を受けて、収入を得ることが主な目的となります。

例えば、WEB系企業でバックエンドエンジニアとしてキャリアを積んだエンジニアが、WEBサービスのバックエンド開発の仕事を受ける場合などが該当します。

多少、新しい技術や言語を習得する必要がある場合でも、業務で必要な能力・スキルの大半が既に身につけたものでカバーできる場合は、このケースにあたります。

既に身につけた能力・スキルを提供することで、その対価として収入を得るイメージです。

能力の提供

フリーランス・副業のエンジニアの方は、このケースに該当する方が最も多いのではないかと思います。

ケース②:正社員になる前のお試し期間として業務委託で仕事をする

このケースは、

・正社員として入社したいと思っている企業
・正社員として入社する先の候補としている企業

から仕事を受けて、企業と個人の双方の相性を確認することが主な目的となります。

こちらの記事でも解説させていただきましたが、どんなに採用経験を積んだ人でも、面接だけで完全に企業への適性を判断することは困難であり、能力や仕事ぶり、人間性を完全に把握することはできません。

やはり、実際に一緒に働いてみて、現場が判断することが一番確実です。

また、採用される側としても、外から見るのと、実際に中で働いてみるのとでは、企業への印象は大きく異なる部分があります。

実際に働いてみたら、「働き方が合わない」、「プロジェクトメンバーとの相性が合わない」、「自分が望んだ仕事ができない」などといったミスマッチが起こることもあります。

企業から見ても、個人から見ても、ミスマッチを防ぐために、フリーランス・副業で業務委託というカタチでお試し期間を設けるケースは、最近ではよく見受けられます。

お試し期間

ケース③:新しい能力・能力の実践経験を積むために仕事をする

このケースは、今までの仕事を通じて身につけた能力・スキルとは別に、新しいスキル・能力を習得することが主な目的となります。

例えば、WEB系企業でバックエンドエンジニアとしてキャリアを積んだエンジニアが、新たにAI技術(機械学習など)を習得するために、AI技術を活用したサービスを開発・運営している企業から仕事を受ける場合などが該当します。

基本的には、バックエンドエンジニアであれば、バックエンドの開発のように、習得済みの能力・スキルを活かした開発を主体としつつ、AI技術など、未経験の技術を使った機能の開発も担うようなカタチになります。

雇う側の企業も、全てが未経験のエンジニアに仕事を依頼するのは、メリットが少ないからです。

新技術の習得1

特に、新規性のある技術では、十分に経験を積んだエンジニアが少ないため、従来技術で十分に経験を積んだエンジニアの中で、個人レベルで新規技術をある程度身につけたエンジニアに仕事を依頼するケースがあります。

業務経験はなくても、個人で簡単なプログラムなどを書きながら、ある程度技術を習得した人であれば、自力で実務レベルの能力・スキルを習得できる見込みがあるからです。

能力・スキルの幅を広げ、活躍できるフィールドを増やしたり、自分の希少価値を高めるために、このような仕事を選ぶ人もいます。

各ケースでの働き方

ケース①:収入を得ることを主目的として、既に身につけた能力・スキルを活かして仕事をする

このケースでは、主目的が収入を得ることになるため、効果的に収入を得ることも、重要なポイントになります。

つまり、自分の業務内容を明確にして、余分な仕事をやりすぎないようにするということです。

フリーランス・副業のエンジニアの場合、基本的には、準委任契約で契約を結ぶことが多いです。そして、契約書の中に、自身の業務内容を定義して契約を結びます。

契約前に、業務内容とその役割の範囲をきちんと擦り合わせたうえで、プロジェクト参画時にも、プロジェクトメンバーにきちんと認識してもらって、役割分担を行うことが重要です。

業務内容の共有

業務内容は、柔軟性を持たせるために「◯◯プロジェクトのバックエンド開発に関わる業務」などと、ある程度抽象的に契約書で定義することが多いです。

例えば、上記のような定義では、

・他部署との仕様調整
・設計のドキュメント化

なども、人によっては業務内容に含まれると解釈します。

つまり、業務に含めるかどうか曖昧になりやすく、認識違いが起きやすい部分になります。

フリーランス・副業側は、上記のような業務が含まれないと認識していたにも関わらず、企業側が依頼する認識でいた場合、もともと想定していた業務量や単価では見合わなくなる事態にもなり得ます。

このような理由で、予め契約時に、自分の業務内容と役割の認識合わせを、想定しうる限り詳細に行っておき、その業務内容と役割の範囲で、着実に業務を行う、という働き方が、効果的に収入を得る上で重要です。

そして、取り決めた業務内容と役割に見合った単価を設定して、業務委託料の金額調整を行うことも大切です。

契約時に定めた業務内容と役割を、妥当な単価で着実に遂行することで、効果的に収入を得られます。

なお、時には、柔軟に対応することも必要にはなります。

例えば、元々はドキュメント化は業務内容に含めていなかったとしても、プロジェクトメンバーから

「どうしても今、手が空いてないので、この機能だけ、ドキュメント化をしてくれませんか?」

といった、お願いをされることもあり得ます。

そのような場合に、自分の業務状況をみて

「今は、少し余裕があるので、ここの機能だけならドキュメント化をお手伝いできますよ」

といった感じで対応することで、プロジェクトメンバーから信頼を得たり、一緒に働きたいという感情を抱いてもらえたりします。

そのため、

・基本は、契約時に合意した業務内容や役割の範囲で業務を行う
・時には、余裕のある範囲で、業務内容や役割を越えた業務にも対応する

というスタンスで働くことが大切だと考えています。

業務内容

ケース②:正社員になる前のお試し期間として業務委託で仕事をする

このケースでは、

・正社員として入社したいと思っている企業
・正社員として入社する先の候補としている企業

で、正社員になる前のお試し期間として仕事をすることが前提となります。

そのため、通常のフリーランス・副業とは働き方も大きく異なると思います。

ケース①と同様に、業務内容と役割を契約時にきちんと認識合わせする必要はありますが、基本的には、正社員と同じスタンスで働くことが目的を果たす上で重要になります。

業務内容や役割に縛られすぎずに、働いた方が目的を果たしやすくなります。

例えば、前述のケースの例と同様に、「バックエンド開発に関わる業務」を業務内容として、契約したとします。

実際に働いてみたら、ビジネス企画側のメンバーと仕様検討を行う人手が不足しており、自身も仕様検討に興味があったとします。

その場合、最初に想定していた業務内容に縛られず、積極的に仕様検討に加わった方が良い可能性が高いです。

実際に仕様検討に加わったら、やりがいや楽しさなどを感じられるとともに、企業側も正社員として活躍するイメージを持ち、「ぜひ正社員として働いて欲しい」となる可能性が高まるからです。

このように、予め取り決めた業務内容や役割に縛られず、自分が興味ある業務や活躍できそうな業務を積極的に行うことが重要です。

業務内容2

そうすることで

・企業に自分が活躍するイメージを持ってもらうことができ、正社員採用に繋がりやすくなる
・自分が正社員として働いた時に、自分が期待した通りのやりがいや楽しさなどを得られるかどうか、判断する材料が増える

といったメリットがあります。

なお、契約時に認識合わせした業務内容や役割を越えた仕事をする場合、プロジェクトメンバーや発注の責任者にその認識をきちんと持ってもらうことをお勧めします。

例えば、

「仕様検討までは業務範囲として想定していなかったのですが、現状を考慮すると僕も仕様検討に入った方が良さそうですね〜。仕様検討にも入りますよ。」

といった感じです。

また、契約時に決めた業務範囲・役割の金額感よりも、高い金額感の業務や役割を担う場合は、月の変わり目や正社員雇用時など、節目に金額交渉をすることも大切です。

そのためにも、業務範囲や役割を越えた仕事をする際に、

「もともと想定していた業務内容や役割よりも範囲が広いので、報酬の金額感に関しては、タイミングを見て調整させてください。」

といった具合に、一言伝えておくと、後々の金額交渉がやりやすくなります。

ケース③:新しい能力・スキルの実践経験を積むために仕事をする

このケースは、今までの仕事を通じて身につけた能力・スキルとは別に、新しいスキル・能力を習得することが主な目的となるため、自分への先行投資というカタチになります。

ケース①とは異なり、効率的な収入獲得よりも、新しい能力・スキルの実践経験を積むことが第一優先となります。

実務経験のない能力・スキルで仕事を受けることになるので、場合によっては低めの単価を提示することで、未経験領域でも仕事を依頼してもらえる確度を高める、といった工夫も必要になります。

また、契約時に決めた業務内容や役割になくても、実践経験を積むために必要なことであれば、積極的に行うことも大切だと思います。

業務内容3

例えば、業務内容に技術調査は含まれていなかったとしても、実践経験に繋がるなら対応する必要があります。

具体的には、

「検討中の機能がAIの◯◯技術を使えば実現できそうだが、詳細に技術を調べてみないとわからない。実現性の確認のために、論文や公開ドキュメントを見て確認する。」

といったケースが当てはまります。

ただし、学習時間と業務時間はきちんと切り分けて管理する必要があります。

例えば、汎用的な技術の基礎知識・能力を学習するために入門書やドキュメントを読む場合は、特定の案件に依存せず、その技術領域で業務を遂行する上で、最低限備えておくべき能力なので、業務時間にはカウントすべきではありません。

一方で、特定のケースでしか使わない技術であれば、個別案件に依存する知識なので、業務時間としてカウントすることが妥当です。

また、汎用的な技術であっても、特定の課題解決や技術の応用を検討することが目的の場合、個別案件に依存するので、ドキュメントなどを読んで調査する時間は業務としてカウントするのが妥当だと思います。

このように、案件に依存せず、汎用的に使える知識やスキルに関しては、業務時間とは別で、自己投資の時間として確保して、習得することを前提に、時間を使うことも必要になります。

学習時間の切り分け

以上をまとめると

・実践経験を積めるのであれば、契約時に合意した業務内容や役割の範囲を越えても積極的に対応する
・汎用的に使える能力・スキルは、業務時間とは別に時間を確保して、自己学習を行う

というスタンスで働くことが大切だと考えています。

最後に

この記事でご紹介した通り、ひとえにフリーランス・副業といっても、働く目的によって、適切な働き方は大きく異なります。

フリーランス・副業として働いている方、これから働こうとされている方は、自身が仕事を受ける目的を明確にし、目的にあった働き方をすることで、フリーランス・副業で働く恩恵を受けやすくなるのではないかと考えています。

この記事をきっかけとして、より良いフリーランス・副業ライフをおくっていただけたら幸いです。

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