事故のトラウマが教えてくれた、自分を大切にすること

元々私は、自分を大切にすることが苦手でした。
職業柄、周囲にばかりアンテナを張っていました。
けれど、「まず私なんだ」と強く意識を変えることのきっかけになったのが、昨年2月の事故の経験です。

ある雪の日

どんな事故だったかというと。
その年は雪が少なくて、その日だけ雪が積もった朝。通勤途中でした。
いつも通る土手があって、高さは数メートル。ガードレールはありません。
なぜ雪の降る日に通ったのか…
みんな通っているから？急いで行って駐車場の雪かきしなきゃと思ったから？
とにかくそこを通ってしまったのです。

すると、前方から車が来ました。
中央分離帯もない道。近づいたときに、急にその車がスリップしたのです。
「あ、滑ってる」と思った瞬間、私の目の前にその車が来ました。
スローモーションのように相手の運転手の顔が正面に見えて、ブレーキを踏む間もなくぶつかりました。

強い衝撃がきて、焦げ臭いにおいがして、エアバッグが目の前にふたつ。
軽自動車同士でしたし、そこまでスピードは出ていなかったとはいえ、前面はぺしゃんこになりました。
身体中痛くて、口の中は血の味がして、怖かったけど外傷がないか確認しました。
幸い外傷はなかったけれど、ドアが十分開かなくて、足を引きずりつつ狭いところからとりあえず外に出ました。相手に怪我はなく、いい人でした。

ちっちゃい事故は経験があったので、自分で警察に電話をして、異常にてきぱき状況説明をしました。気を張っていたのでしょう。
警察のお兄さんが来てから車を見ると、後輪が雪の積もった場所に埋まって動けなくなっていました。
雪のせいで遭った事故だけど、雪に救われた事故でもあって、埋まったタイヤを見ながら、「大難は小難に」という仏教の言葉をふと思いました。

初めて自分の隣に「死」が迫ってきた

ただそのとき、初めて死を自分の身近に感じました。
雪に埋もれずにそのまま転落していたら、死んでいたかもしれない…
警察のお兄さんが、痛みを感じにくくなっているかもしれないから救急車を呼んでと言うので、自分で救急車を呼んで乗りました笑

搬送されながら職場にやっぱりてきぱき電話をして、ずっと気を張っていたようです。搬送された病院は、いつも紹介元でお世話になっているところで、レントゲン室に運ばれるときにやっと涙が出てきました。
「なんで私がこんな目に…」
対応してくれた看護師さん、とっても優しくしてくれました。
その方だけじゃない。
車椅子でお手洗いに行くときにドアを開けてくれた、外来患者らしきお兄さん。診察してくれた、いつも紹介状で見ていたお名前の先生。
「○○病院のソーシャルワーカーです」って言うのちょっと恥ずかしかったけど笑、あのご恩は本当に一生忘れません。
同時に、患者さんたちは私と出会うまでにこんな景色を見ていたのかと、知ることができました。

あのにおいと映像が消えない

特に入院の必要もなく、頚椎捻挫と腰部打撲ということで、勤め先宛の紹介状を書いてもらい帰宅しました。（リハビリ病院に勤めてて良かった笑）
その日の晩、フラッシュバックに見舞われました。
焦げ臭いにおいと、ぶつかる瞬間の映像が忘れられない。そして、落ちていたら…という死の恐怖。
涙が止まらなくなりました。

そこから約2週間仕事を休みました。たまに半日出てたけど。
全身の痛み、頭痛やめまいにも悩まされました。
しかしその間、TRE®というトラウマを開放するエクササイズを一人で行い、ボディーワーカーの先生のプライベートセッションを受け、同僚のPTさんの治療を受け、私は短期間で奇跡の回復を見せました。
フラッシュバックに見舞われたのは、たった一度だけでした。

無理したらできるからって頑張っちゃだめだ

振り返ると、この経験は何かのサインだったと思うのです。
立ち止まってゆっくりとやりなさい、余裕を持って行動しなさい、みたいな。
ギリギリなんとか歩けるし、フラッシュバックした翌日も仕事しようとしていた私に、「明日仕事行くの！？無理したらできるからって頑張っちゃだめだ」と𠮟ってくれた人がいました。
そこでやっと、「やればできるから頑張る」を手放すことができました。
本当はここまでの経験をするまでに、ちゃんとブレーキをかけないといけなかったのだろうけど。
何度も仕事中に倒れても、その無理に蓋してきた私には、このくらいの大きいことが必要だったのかもしれません。

後日、「大事にならずに済んだのはデトックスで、これからきっと好転するよ」と誰かに言われました。
なるほど、そう考えるとポジティブに捉えられます。
私がリセット®を学び始めたのもこの事故の後からで、間違いなく人生の分岐点でした。
今では、リセット®のおかげで自分を安心させるスイッチを得られました。
そしてそのスイッチを、他の方々にも伝えることができるようになりました。

たくさんの方々のお力をいただき、今の健康な私がいます。
「自分を大切にする」って真正面から考えたら、こんなにも自分も周りも変わるんだって実感しています。
もし今これを読んでくださっている方の中に、最近無理してるなとか、心や身体のサインを無視してるなとか、もはや気づけてもいないなって方がいたら伝えたい。

ちょっとくらい休んでも大丈夫ですよ。あなたは十分頑張っています。
たまには、頑張ることを手放してもいいんです。罪悪感なんて覚えなくていいんです。
まずは自分を満たしてあげて、そこから周りにエネルギーを注ぎましょう。

私もまだまだ道半ばです。

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