日本のホタテの美味しさのヒ・ミ・ツ♪
それは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ベトナム人です
もう一度言います、ベトナム人実習生です。
そんなこんなお久しぶりです。もうお盆も終わろうとする日々ですが、皆さまはどんな夏を過ごされたのでしょうか?私はコロナに罹患して5日寝込んで誰とも会えずじまいです♪(別に誰とも会う予定もありませんでしたが、ね…)。ただ、コロナでダウンしていたのも決して無駄ではなくて、スマホもモニターも見れずにうんうん呻いてる私の脳内に、朧げに浮かんできたんですね、
大学の時にやったホタテ加工の2週間アルバイトの思い出が(なんで?)
というわけで今日は知られざる日本のホタテの実態を、紙魚霊@社会派ルポライターとして精緻な筆致で紹介していこうと思います。
①ホタテが世に出るまで
まあそもそもホタテがどう流通に至るのかというと、大まかに分けて次の段階があります。
①養殖・放流
②収獲
③加工
①は漁師さんが行うものですね。放流とはなんぞや?と言う方に説明すると、ホタテはある程度育てた後に海底にばらまいたり、ネットの中に入れて海中で定置させたりして、大きくさせる方式が一般的になっています。
ホタテの非養殖割合はそれなりに高いのですが(6,7割ぐらいだった気がする)これにはからくりがあって、こうやってばら撒いたホタテを後々回収すると非養殖カウントになるんですね。ちなみに今言っているのは北海道のやり方なので、本州の方はわかりません。知り合いの本州ホタテ漁師さんに聞いてください(投げやり)。
②も漁師さんですね。この収獲までホタテを育てる時間というのも目的によって差があって、でっかいのが欲しければ3,4年、ちいちゃいの(いわゆるベビーホタテ)であれば1,2年という風に分かれていきます。これは地域で別れていて、噴火湾(北海道の持ち手の南側)のところであればベビーホタテが、羅臼とかサロマとか猿払とか釧路らへんの道東~道北にかけては、でかホタテが主流になってるんですって。
え?積丹半島のホタテはどっちなのかって?知りません!積丹半島のホタテ漁師の子供になって聞いてくればいいでしょ!!!(イライラママ)
③は漁師さんがやったり工場とか加工場でやったり別れる所ですね。御存じの通りホタテは殻はついてるし、紐もついてるし、なんか汚い濁った緑色の内臓っぽいものもついてるし、ということでそれを綺麗に分離しなければなりません。残念なことにこの作業は未だに自動化できていないので、人の手であれこれしなければならないわけです。最後に綺麗な貝柱だけになったものを冷凍して出荷してフィニッシュ!
②ホタテと実習生
で、この3つのうちどこに実習生が関わっているのかというと~
全部です。
全部頼らないと産業構造自体が維持できません。
割合としては多分③が一番多いんでしょうけどね。
ともあれ漁にも出て、稚貝を作って、収獲するってところにも関わっているのはネットのコラムなどでも確認できます。
こんな感じで紹介されてたり、
導入例としてのものもありますね。というか私も今初めて知ったんですがこういう実習生斡旋会社もお客様の声出すんですね。そりゃそうか。
で、具体的にどれだけ頼っているのかについて具体的な数字を出すと、私がちょっと働いていた加工場では70人ぐらいで殻を剥かれたホタテのゴミ取り(貝柱から紐とか内臓とかを取る作業)を行っていました。そのうち実習生の割合は、59人でした。残りは地元のおばちゃんというかおばあちゃん。他にも交代で掃除をしたり、殻を剥いたりということで、合計90人ほどが働いていた感じです。日本人を合わせた加工場全体の総員が130人で、割合としては7割ぐらいでしたね。
別にこれは一加工場に限ったことではなくて、北海道の道北~道東~道南の海岸線にかけての自治体では、一定数の実習生が住民としてカウントされています。中でも『ホタテの村』と名高い猿払村は、この記事によると住民2647人中180人が実習生になってるみたいです。
大体7パーぐらいなんでマジョリティなマイノリティと言っても過言ではないでしょう(どっち?)。実際、一回行った時にスーパーでベトナム語聞きましたしね。
③実習生と私
さて本題です。まあ2週間働いているからにはそれなりに喋ったりするわけですが、もちろん色んな人がいました。実習生ってどんな感じなのかっていうのを知ってもらうためにも3人ぐらいをエピソード形式で紹介したいと思います(こいついっつもこの形式で紹介してんな)。
①トゥワンさん(女性/20代後半/日本語ペラペラ)
最初に言っておくとこの方は実習生じゃありません。(は?)元々実習生だったところから日本語をペラペラになって日本人の旦那さんと結婚して、今は通訳兼バイトみたいな感じで働いている方です。日本語がペラペラというのも本当に尋常じゃないレベルの習熟度で、「渡りに船」「一寸先は闇」みたいな日常でもそんな使わんやろ…みたいな慣用句以外は全部理解してくれる感じでした。もちろんスピーキングのアクセントもほぼ完璧。すごい。
実習生、特にベトナム人に関しては言語の壁が厚すぎる(ベトナム語はかなり難しい上、喋れる人はベトナムでビジネスするような人しかいない)ため、基本的に『ベトナム人で日本語を覚えた人』頼りになります。そのため、トゥワンさんは色んな現場に呼ばれて通訳してくれーと引っ張りだこだったのですが、ずっと嫌な顔もせずニコニコしていたのが印象的でした。
ボ、ボキと話してくれた時もず、ずっと楽しそうに笑ってくれてたし、これもう女神だろ…フヒヒ。
でも「お腹痛ーい」って話された時に「大丈夫ですか?なんか原因とか心当たりあります?」って純粋に心配したら、「生理だよ。知ってる?彼女ができたらわかるよ。」という3連コンボで返してきて絶句させられたのは、絶対に許しませんからね^^;。
②ドゥックくん(21歳/男性/日本語あんまり)
ホタテ加工場という職場は、元々漁師の奥さんやお母さんが獲ってきたホタテの後処理を共同でやっていたということもあってか、とても女性の多い環境です。そのため実習生の方もほぼ女性だったのですが、一応力仕事であるホタテのかごを持ってあっちこっち行く係をしていたのがこのドゥックくん。女性優位な職場ということもあって結構人見知りの照れ屋さんで、後半にやっとちょっと喋れるようになった感じでした。
給料は「妹、弟、学費使う」で、将来の夢は「ベトナムで料理屋やる」という感じのアツい男で、ガンガン残業を志願しててすごいなあって感じてましたね。彼みたいに基本的に実習生は稼ぐために来ているので、環境の劣悪さとか賃金未払いは論外ですが長時間労働はむしろ歓迎なんですよね。結構そこの認識はなかったので、勉強になったエピソードでした。夢持ててない自分が虚しくなります♪
③ターさん(30代後半/女性/日本語まあまあ)
この方は実習生ベテランともいえる人で、リピーター的に使っていました。子供も15歳と11歳、9歳の3人居て、毎日テレビ電話して寂しさを解消していると言っていました。この方のように祖父母に子供を預けて、父も母も出稼ぎで異国へ、というのは別に珍しくもないケースなようです。「子供も将来一緒に働きたいと言っている」と言われた時は大分複雑な気持ちになりましたが…。
人間的には朗らかであったかい太陽みたいな人で、近場の美味しいお店を紹介してくれたり、逆に「釧路のスパカツは行っちゃダメ!美味しくないよ!」と注意してくれたり(注意無視して行ったらほんとに美味しくなかった😢)、家族のことを愛をこめて話してくれたりと、とても良くしてもらいました。日本のいろいろな所を経験しているだけあって、「ここらへん寒すぎ!人いないし亡びるね!」という優れた予測偏見を持っているのは苦笑いするしかありませんでしたけどね。
他の方々も皆さん良い人で、最後の方は大分打ち解けて話ができるようになっていました。まあそれもそのはずで、ベトナムでも日本でも審査受けて通った人がなっていますからね。逆に日本人のおばあちゃんとはそこまで仲良くなれずじまいで、民族性の違いとかはやっぱあるのかな~と感じさせられました。お前のコミュ力の問題では? …めろ。
ただ労働環境自体は過酷で、労基違反とかはないですが立ちっぱなしで延々とホタテを処理し続けるだけです。加工場が簡素なこともあって冬はすごく寒いし、休憩室も断熱されていません。辞める子もチラホラいる中で、みんなでできるだけ楽しくやろうって感じで働いているんだなあ、と自分の浅知恵では理解した仕事体験でした。
④まとめ
いかがでしたか?(無能ブログ)
実際、実習生依存度が高くなっていることについて、漁師さんや加工場の人にお話しをお聞きする機会もあったのですが、どの方も「結局もう過疎化・高齢化は手遅れで人は確保できないし、減る一方の中でやっていくにはこれしかない」という風のことを仰っていたのが心に残っています。
ある方が言うには時給2500円で日本人を応募しても来ないとのことで、もう時給の問題ではないみたいですね。まあ時給3000円だからってホタテ処理の仕事で東京から北海道のド田舎に移住とかはしにくいよね。
日本の未来がウォウウォウウォウウォウなのはさておき、この現状は実習生、というか実習生の仕組みに乗っかる人たちからすればチャンスであり、今後も実習生が減ることはないでしょう。というかいないともうホタテ産業は維持できません。加工場の7割の人がいなくなったら、生産効率は7割落ちるどころじゃ済まないでしょうしね。なんか調べたら北海道の外国人労働者2014→2019で倍になっとるし(下記URL参照)、今はどんな勢いなんでしょうね。(他人事)
https://www.jica.go.jp/Resource/sapporo/enterprise/survey/ku57pq00000epj5a-att/report_2019_01.pdf
で、このnoteを通じて何が一番言いたいのかというと、実習生の存在って透明化されすぎ!!!ってことです。自分は今まで実習生の話が「やめた方がいいよね~」みたいなテンションで語られているところしか聞いてなかったので、現地に行ってビックリしたんですよね。あ、ホタテって日本人だけじゃ無理なんや~って。で、それ以来ずっとホタテ見るたびに色々思わされるんですよ。「この値段って高いけどあの環境を考えたら納得かな…」とか「この仕組みっていつまで持つんだろ…ホタテって食えなくなったりするんか?」とか。
そういう風に皆さんにもなって欲しくてぇ~(最悪)
それが動機ですね。
綺麗な言葉で言うと食の未来についてこういう側面でも考えてもらえたらな~って思って書いています。
まあ俺の中にも答えとかないんですけどね。本当にどうなるんだろう?
以上ホタテと実習生のお話でした。
できれば寿司屋に行った時、スーパーに行った時、ふるさと納税頼む時に色々と考えてみてくださいね~。俺は疲れたんで何も考えずホッキ貝食べます
ではでは。
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