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障害者が受けられる行政サービス、その障害種別や地域による違い


noteを読んでいただいて、ありがとうございます。注意欠如多動性障害(ADHD)・精神障害者手帳2級で博士(生命科学)のred_dash です。

 以前、バス・タクシーや飛行機については身体・知的・精神障害者の間で同様の割引が設けられている一方、JRでは身体・知的障害者と精神障害者の間で違いが設けられていると書きました。

 こういった障害種別によるサービスの違いは行政でも見られます。その内容は地域ごとにも異なります。以下にその具体的な例を述べます。

1. 心身障害者手当

 心身障害者手当は、一定の障害を有している人に向けて月ごとに一定の金銭的な援助を行うサービスです。
 東京都葛飾区では手当の対象が以下の通りです(障害者手帳に関連する部分だけ抜き出してあります。以下同じ。)。

心身障害者福祉手当A 
20歳以上65歳未満で、次のいずれかに当てはまる方
・身体障害者手帳1・2級
・愛の手帳1~3度(red_dash注: 知的障害者用の手帳)
15,500円(reddash注:1か月あたり。以下同様)

心身障害者福祉手当B 65歳未満で、次のいずれかに当てはまる方
・身体障害者手帳3級 (20歳未満の方は1~3級)
・愛の手帳4度    (20歳未満の方は1~4度)
7,750円(1か月あたり)

心身障害者福祉手当(外出支援分)
次の障害等級の手帳を65歳未満で交付された方
・下記のいずれかの障害で身体障害者手帳を交付された方
 下肢・体幹・移動機能障害1~3級
 視覚障害1・2級
 内部障害1級
 下肢障害が4級以上で、上肢・内部・平衡機能障害のいずれかが3級以上
・愛の手帳1・2度を交付された方
2,500円(1か月あたり)
各種手当のご案内|葛飾区公式サイト http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000053/1002245/1002263.html

以上の通り、精神障害者は対象ではありません。

 別の例として、千葉県松戸市を見てみましょう。


対象者
身体障害者手帳1級から4級または療育手帳Bの1以上を有する障害児(20歳未満)の保護者(中略)
支給額
身体障害者手帳1級かつ療育手帳マルA  月額10,800円
療育手帳Bの1以上または身体障害者手帳2級以上  月額7,000円
身体障害者手帳3・4級  月額6,000円 
心身障害児福祉手当|松戸市 https://www.city.matsudo.chiba.jp/kenko_fukushi/shougaifukushi/kakushuteate/teate/sinsinsyougaiji.html

 同じく、精神障害者は対象ではありません。
 また、同じ身体障害でも葛飾区と松戸市では受け取る額がかなり異なります。例えば、身体障碍者手帳2級では月に15500円と7000円。1年に直せば約10万円違いますので、生活に大きな影響があると私は推定します。ちなみに、東京都葛飾区と千葉県松戸市は江戸川を挟んで隣の地域です。住んでいる場所が少し異なるだけでサービスの内容に大きな影響が生じます。

2. 個人事業税の軽減

 個人事業税の軽減は、一定の障害を有しながらも個人でなんらかの事業(収益活動)を行っている人が納める税を軽減する制度です。
 東京都葛飾区では、以下の減免制度があります。

身体障害者手帳をお持ちの方
1、2級の方
1人 10,000円
3級から6級の方
1人 5,000円愛の手帳をお持ちの方
愛の手帳1、2度
1人 10,000円
愛の手帳3、4度
1人 5,000円
個人事業税の軽減|葛飾区公式サイト http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000053/1002246/1002284.html

精神障害者は対象外となっています。
 千葉県松戸市では、私の調べた限り、こういった制度は見つかりませんでした。 
 神奈川県厚木市では、次の通りです。

両眼の視力(屈折異常のある方は矯正視力)が0.06以下の方で、あん摩、マッサージ又は指圧、はり、きゅう、柔道整復その他の医業に類する事業を個人で行っている方は課税されません。
1級から4級までの身体障害者手帳を交付されている方で、個人で事業を行っている方は、納期限までの申請により、申請された年度分以後の各年度分の税額から5,000円を限度として減免されます。
個人事業税の障害者非課税又は減免 | 厚木市 https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/shiminbenri/iryofukusi/fukushi/shougai/genmen/p003389.html
 

知的障害者および精神障害者は対象外です。

3. 図書館サービス

 図書館のサービスについて見てみましょう。
 東京都葛飾区図書館では、身体・知的・精神障碍者のいずれもが貸出期間の延長や宅配サービスをはじめとする9種のサービスを受けられるようです。一方、千葉県松戸市では障害者に対するサービスは宅配のみで身体障害者に限定されています。

 精神障害の存在は近年になって見いだされ、制度も身体・知的障害に比べて遅れて設計されました。その影響で身体・知的障害と同程度の支援は得られない状態にあるのだろうと推測されます。また、身体・知的障害と比べて見た目にわかりにくいことも理由の一つかもしれません。
 こういった障害種別や地域差は「差別」として糾弾される必要があるのでしょうか。あるいは、障害に基づく困難の違いや地域ごとの税収の違いを鑑みれば、許容されるものでしょうか。
 私個人としては、少なくとも身体・知的と比べて精神のみが除外される状況は好ましくないと考えています。 精神障害に基づく困難が認知されて、その援助が普及することを願っています。

 それでは、素敵な1日をお過ごしください。
 red_dash

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参考

各種手当のご案内|葛飾区公式サイト http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000053/1002245/1002263.html

心身障害児福祉手当|松戸市 https://www.city.matsudo.chiba.jp/kenko_fukushi/shougaifukushi/kakushuteate/teate/sinsinsyougaiji.html

個人事業税の軽減|葛飾区公式サイト http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000053/1002246/1002284.html

個人事業税の障害者非課税又は減免 | 厚木市 https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/shiminbenri/iryofukusi/fukushi/shougai/genmen/p003389.html

サービス案内 - 葛飾区立図書館
https://www.lib.city.katsushika.lg.jp/contents?0&pid=317

宅配サービスについて 松戸市立図書館|松戸市
https://www.city.matsudo.chiba.jp/library/riyouannai/sonota_service/takuhai.html

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