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震えるような瞬間ってあると嬉しいよね(物理的にとか会いたくてじゃなく)

  "美しい花をみて 震えることがあれば わかるはずだ この痛みの捉え方も"
という歌詞がある。これは北海道のロックバンドBBHFの楽曲、「なにもしらない 作詞:尾崎雄貴」の一節である。文章としての前後のつながりはあまり気にしてなかったがこのフレーズを受け取った時私は確かに震えた、目の前に美しい花はなかったが。

 あの時は確か2020年の今くらいの時期の早朝であったと思う、新規の物件の外構工事の乗り込み(私は建設業界で働いている)に備え、現場付近のセブンイレブン
の駐車場でサボ休憩していた。当時BBHFは現在のバンド名に変更(Bird Bear Hare and Fishって名前だったんだ、めちゃ長い)し、別レーベルで再出発したてであった。私はは数ヶ月前からリニューアル、新譜リリースの情報は掴んでいたもののイマイチ食指の動かない状態だった。SNSで感想だけチェックして作品そのものはサブスクのライブラリに登録してそのままであった。あの時は転勤、担当替えといった仕事、いわゆる俗な物事を覚えるのにいっぱいいっぱいで好きなものを取り込む余裕がなかったんだと思う。ほんとうは音楽見たいな芸術(あるいは娯楽)だって生活と地続き、俗世にあるものなんだけど直接自分の収入や評価に関わらないから優先度は負けてしまう。今思えばたいした困難ではなかったかもしれないが好きでも新しいものに手を出せない時はあるみたいだ。この曲だってたった5分程度だし収録されてるミニアルバムも通しで30分もないが満腹でもう入らないよーーって気分だったのだ。
 だからあの時、社用車内で初めて再生して冒頭のフレーズを耳にした時、ボーカルがなんて言っているかを理解した時は心を揺さぶられたのだ。再生ボタンを押すまでの関心は左手のセブンコーヒーにあったが右手のiphoneに釘付けになったのである。音楽って時間芸術なので本当は1フレーズでどうこう言うのは浅いのかもしれない、でも乾いた感受性はその冒頭の一撃でビッショビショのグッショグショだったのである。(衝撃で持ってたコーヒーを落としたりはしなかったなー マンガとかドラマでは良くあるのにねー)
 ちなみに後で試聴した当曲のMVではイントロが始まる前にショートドラマがあり、おそらく仕事のやらかしで絞られたであろうお兄ちゃんが社用携帯を河川敷にブン投げるところから始まる。非常にスカッとして憧れる絵面だが、そうはならずに今日も現場で絞られている、携帯もまだぶん投げてない。
 さらにちなみにBBHFはこの曲が収録されているミニアルバム"Family"の他にも同時期に"mirror mirror"というミニアルバムをリリースしている日本的な(Jpop的な)歌メロとエレクトロポップの融合した素晴らしい作品なので知らない人はチェックしてみてね!!

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