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デンマークのフォルケホイスコーレとは。特徴や魅力を紹介



こんにちは。Rereです。
2023年にデンマークの某フォルケホイスコーレに約4ヶ月間留学していました。

時が経っても忘れたくない、
ホイスコーレの良さを知ってもらいたい、
という想いから記憶が新しいうちにホイスコーレについて綴ることにしました。

今回は、
デンマークのフォルケホイスコーレどんなところなのか、
何が多くの人の気持ちを惹きつけるのか、
ホイスコーレの特徴や魅力を紹介
していきたいと思います。

私はホイスコーレの理念に強く共感して、留学を決意したわけだけども、
改めてまとめていて、やっぱり特別で素敵な場所だなとつくづく思うのでした。

それではみていきましょう!

フォルケホイスコーレとは


フォルケホイスコーレ(Folkehøjskole)は、
1800年代半ばにN.F.S.グルントヴィグによってデンマークで生まれた大人向けのノンフォーマルな教育機関です。

現在はデンマークに約70校ほどあり、そのすべてが同じ目的を持っています。

その目的とは、

”Education that enables the individual not just to make a living, but to live a life.”

(個人が単に生計を立てるだけでなく、人生を生きることを可能にする教育)


よくホイスコーレは「人生のための学校」、「幸せを考えるための学校」、「自分を知るための学校」、「人々のための学校」などと言われることもありますが、まさにこの目的からもそう呼ばれる所以がわかります。

日本では、大企業に就職するためには良い大学に行かないといけない、
そのために義務教育や高等教育は受験に向けた教育に重きを置かれている一方で、

このホイスコーレは、他者や自分自身の心と会話して、自分の幸せや関心に基づいてとことん好きなことを学ぶことができる教育体制が整っています。

私自身も類を見ず、ある程度良い大学を出て
大企業に就職して生計は問題なく立てられてたけれども、

これだけで人生終わってしまっても良いのか、
他にやりたいことはあるのではないか、
と思うことがありました。

なんとなくこれで生きれているからいいやではなく、
自分が選択したやりたいことに挑戦しながら人生を生きることができたら
私の人生はもっと豊かになるだろうなと思った時、
ホイスコーレに行ってみたいと強く思うようになりました。

そんなホイスコーレは具体的にどのような場所なのか、特徴からみていきましょう。

フォルケホイスコーレの特徴


ホイスコーレの特徴は主に7つあります。

【特徴 1】 同じ屋根の下でともに暮らし、ともに学ぶ全寮制の学校
【特徴 2】 17歳以上であれば国籍問わず誰でも入学可能
【特徴 3】 入学試験や成績、資格は一切なし
【特徴 4】 多種多様な科目から自分の興味分野を選択し、好きなだけ取り組むことができる環境
【特徴 5】 自分を見つめ直す場所
【特徴 6】 対話を重んじる場所
【特徴 7】 学費が安い


【特徴 1】 同じ屋根の下でともに暮らし、ともに学ぶ全寮制の学校


フォルケホイスコーレは、全寮制の学校です。

約3〜6ヶ月間、生徒たちは一緒に暮らし、一緒に授業を受け、一緒に食事をし、一緒に掃除をし、一緒にイベントやプロジェクトを作ります。

友情、恋愛、パーティー、真夜中の議論、別れなどさまざまなことを経験します。

年齢や価値観、バッググラウンドが異なる人たちと同じ場所で長い時間を共に過ごすことで

他者を理解していくなかで、新しい発見が日々ありました。

ホイスコーレで過ごすことは、自身の精神面だけでなく、社会性や協調性も養うことができます。



【特徴 2】 17歳以上であれば国籍問わず誰でも入学可能


フォルケホイスコーレは、17歳以上であれば国籍や宗教、学歴、性別問わず誰でも入学できる全寮制の学校です。

年齢の上限はありません。

学年もないので、全生徒が同じ立場です。
私がいた学校は19歳〜24歳くらいの年齢層が最も多くて、最年長は60歳でした。

日本では高校→大学→就職とストレートに進む人が多いけれど、デンマークではそれぞれのタイミングでギャップイヤーをとってホイスコーレに来ていました。

年齢も学歴も過去の経験もばらばらな人たちが集まって同じ屋根の下で暮らす

刺激的な毎日が容易に想像いただけるかと思います。

また、生徒と先生の関係性も対等です。
私の先生は、よく「私は教える立場だけど、生徒から教わることもたくさんあるから、立場は対等だよ」と言っていました。

いくつになっても学びたい意欲がある人にはそのチャンスを与えてくれる場所です。



【特徴 3】 入学試験や成績、資格は一切なし


フォルケホイスコーレに通うために入学試験や特別な資格は必要ありません

成績もありません

単位や成績のことなどいろいろなしがらみを排除して、自分の好きなことを生き生きと学べる環境があります。
生徒たちもライバルではなく、助け合い刺激し合う仲間というのがしっくりきます。

自分は何がしたいのか、何が得意なのか、模索し学びながら、
自分の人生の生き方を見つけることが大事なので、
そこに他人の評価は必要ない、ということかもしれません。

ただし、修了しても学位にはならないのであらかじめ認識しておく必要があります。



【特徴 4】 多種多様な科目から自分の興味分野を選択し、好きなだけ取り組むことができる環境


デンマークには大まかに7種類のフォルケホイスコーレがあり、幅広いコースや専門科目を提供しています。

  • 総合
    文学、歴史学、心理学、教育学、政治学、経営学、経済学、環境学、情報学、家政学、国際文化学、ITなど幅広い科目を学ぶことに重点を置いている。

  • 専門学校
    音楽、映像、デザイン、芸術、ジュエリー、絵画、陶芸など、特定の分野に特化している。

  • スポーツ
    コースの約半分がスポーツ/体操/野外生活に特化している。

  • クリスチャンまたはスピリチュアル
    聖書学校、または人間生活に対するスピリチュアルなアプローチに特化している。

  • ライフスタイル
    食事、運動、自己啓発などに特化している。

  • ユース向け
    16歳から19歳までのユースを対象としている。

  • シニア向け
    高齢者を対象としている。短期コースのみの開講が認められている。

かなり幅広く科目が網羅されているので、自分の関心分野を見つけることができそうですね。

私は、2つめにあたるアート専門の学校に通っていました。

ホイスコーレでは敷地内にあるワークショップが24時間使い放題です。

学校自体が大きくないので、夜中まで作業していてもすぐに自分の部屋に戻ることができます。

私は、夜中の2時ごろまで作業に没頭することが多々ありましたが、
それだけとことん好きなことに時間を費やせるとても恵まれた環境でした。



【特徴 5】 自分を見つめ直す場所


フォルケホイスコーレは、人生に迷った人が自分を見つめ直すために来たり、今の状況を休憩してリフレッシュしに行く場所でもあります。

基本的に約3〜6ヶ月のセメスターごとに申し込みしますが、時間とお金が許せば、何回でも延長することができます。

またいつでも戻ってくることもできます。

同じ学校に居続けることも、違う学校に行くこともできます。

私が通った学校でも来ている人の目的はさまざまでした。

  • 今通っている大学に疲れた。専攻が自分に合っているかわからなくて一度違うことをしてみようと思った

  • 大学に行く前に自分が何に興味があるのか考えたい

  • 音楽家を目指していて、音楽にどっぷり浸かった生活がしたい

  • 社会人を経験して、新しいことに挑戦したい、もっと自由に生きる選択をしてみたかった

  • 今の仕事に疲れて、少し休憩したい。

授業以外の時間には比較的多くのフリータイムがあります。

そこで、自分の好きなことに打ち込んだり、友達をHyggeを楽しんだり、仲間や教師から刺激を受け、さまざまな過ごし方をしていきながら、自分について考える時間を持ったり、自分の能力に自信が持てるようになることができます。

フォーマルな教育制度は、効率、成績、労働市場に向けた専門性を重視し、
自分の人生について内省する余地をほとんど与えない。

一方、フォルケホイスコーレは、
学ぶ喜びを再発見し、人生の中で自分の進むべき道を見つけ、
新しい自分を見つけることに重きを置いている

そこが多くの人を魅了しているところではないか、と私は思います。



【特徴 6】 対話を重んじる場所


フォルケホイスコーレでは、みんなで話し合う機会がたくさんあります。

何か新しいイベントを始める時、
学校内で問題が起こった時、
常に他者との対話を大切にしています。

週に1回小グループで集まって自分の調子がどうか、
困ったことはないかなどを共有する場があります。

何か問題があればみんなで集まって納得いくまで話し合う。

例えばルームメイトとそりが合わないときに、先生が介入するのではなく、生徒同士でこの子とこの子が変わったらどうだろうかと話し合って、
自分たちで解決したのを先生には報告するだけ。

そうやって民主主義的解決方法を自然に学んでいきます



【特徴 7】 学費が安い


フォルケホイスコーレは、留学費用が他の留学に比べて安いです。

学費、食費、宿泊費、研修旅行費などを全て合わせても月10〜20万円程度です。(設備などが多い専門学校は高い印象)

これは物価が高いデンマークではとてもリーズナブルです。

なぜ安いのかというと、フォルケホイスコーレの運営費の約半分はデンマーク政府が支援してくれているので、個人の負担が少なくなっています。

私のようなインターナショナルの学生もその恩恵を受けられるのがとてもありがたいことです。

恩恵をただ享受するのではなく、インターナショナルの学生として何かコミュニティにプラスになるようなことをしたいと思って過ごしていました。


以上がフォルケホイスコーレの特徴と魅力でした!

ホイスコーレの概念を言語化するのはとても難しいのですが、少しでも魅力が伝わっていたら嬉しいです!

そして間違いなく、私にとってフォルケホイスコーレに行ったことは人生のターニングポイントになっています。

何か行き詰まった時に初心に戻れる場所な感じがしています。

私の人生で、このタイミングで、あの場所で、出会った仲間とともに、この経験ができて本当に良かったと心の底から思います。


次はなぜ私がこのフォルケホイスコーレに留学を決めたかについて書いていこうと思います。

また、フォルケホイスコーレ留学に必要な手続きについてステップごとにまとめた記事はこちらをご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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