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CSRとは提唱者のエロスやアレテーに極めて依存されるのではないか

皆様は「機動戦士ガンダムUC」(以下:UC)というアニメをご存じだろうか。このUCと似たような現象が筆者を含めた生活の中で感じたため、その備忘録として今回の執筆とする。

まず①UCについての軽い説明をしたのち、②UCとここで扱う登場人物について述べ、③生活の類似点についてまとめる。その後ネタバレとなるUCの結末は伏せた上で、④筆者の生活の今後について述べる。ガンダムの話をするわけではないので、ガンダムオタクの方向けの内容ではない。

①UCはガンダムシリーズをよく知らない方を想定して簡単に説明すると、大人の事情で行われる戦争を少年少女が止めようとするストーリーである。

②まず初めに断っておくが、筆者の生活圏内では実際の戦闘行為を有する戦争が行われているわけではない。サービス業を営んでいる会社員である。登場人物は主に3名で、筆者以外の2名は女性だ。UCの登場人物になぞって、筆者自身をバナージ、1人目の女性をミネバ、2人目をマリーダとする。なおこの人物についてもここに限定する置き換えでしかなく、実際のUCにおけるキャラクターとはなんら関係はない。またそれぞれのキャラクターの説明も割愛する。所属組織はバナージとミネバが地球連邦軍(以下:連邦)、マリーダはジオン公国軍(以下:ジオン)とし、これも実際には軍隊ではなく「〇〇株式会社」と捉えてもらう。

③連邦は地球の秩序のためにラプラスの箱(以下:箱)というものを求めた。箱とは、今日の社会ではCSRとでも呼ばれるべきものなのかもしれない。箱の中身は誰も知らない。定まっていないという言い方が正しいのかもしれない。CSRとはCorporate Social Responsibilityの意であり、日本語では「企業の社会的責任」と訳される。筆者が曖昧な定義を用いた理由は、社会的責任の範囲や内容は、誰がどのように定めて保証されているのかが不明なためである。ISO26000は、あくまでガイドでしかない。

そして、連邦が箱を求めた理由は、地球の秩序のためという聞こえの良い建前のお題目で、実際には連邦の維持のためという意が含まれていた。ジオンも、地球ではない別の場所の秩序のために、同じく箱を求めていた。

箱の存在そのものに、CSRの蓋然性について疑問を持ち始めた存在がいた。4年制大学の学歴ですらない、短期大学を卒業したばかりの若い女である。後で分かった話だがそれは複数いて、さらにこの者たちは所属する組織が違いながらも、ほぼ同じ時期に箱の存在について疑問を抱き、組織を懐疑的に見ていた。箱の中身そのものを見たことのない組織に、その疑問を解消させる手段は無い。いつしか彼女たちは、自分とは別の組織には箱があるのではないか、中身を知っている人がいるのではないかと思い始めた。

④ニュータイプと呼ばれる、物理的に距離が離れた状態であってもお互いの意思疎通が可能な能力を持ったバナージ、ミネバ、マリーダは、限定的な意思の疎通によってお互いが同じような悩みを抱えていることを知った。バナージは「箱は、箱が存在すると思う力、その存在が是であった場合にどのような使い方を想定出来るか、といった使用者のエロスやアレテーに極めて依存されるのではないか」と述べた。

宿泊や社会福祉などのサービス業は人間の生活要素である衣・食・住をすべて扱っている。つまり世の中のすべての要素が業務に直結する業界である。バナージは、その要素を得るための視座としてジェネラリズムを求めることにより、より純度の高い箱を確立出来ると考えた。ジェネラリストと対立する存在とはスペシャリストである。例えば企業会計におけるスペシャリストとして挙げられるAccountantはバナージの目的とする存在の逆であるため最初に除外された。しかしミネバやマリーダに自分の考えを話していくうちに、スペシャリストであるAccountantとは最もジェネラリストに近い存在なのではないかと思うようになった。

CSRの実現から最も遠い企業で、各々のCSRの実現に向けて出勤する彼ら。

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